全スキル保持者の自由気ままな生活

ノベルバユーザー255253

77話 第四種目 古代文字解読クイズ

 結局、三年生は力を温存したかった為か、特に印象に残る選手は出ていなかった。

 「これは二年生が今回は強すぎますね!Sクラスはいつものことですが、Eクラスが上位に入るという本来ならあり得ないことが起きています!」

 そのあり得ないことをさせようとしたのは理事長だっつーの。
 俺はそう悪態をつきながら魔道具をみていた。
 
 結局、三年生で強いのはあの生徒会長だけなのか?
 他の奴らミサタやライオスに負けるのは仕方ないとしても、他のEクラスのメンバーにも負ける奴が結構いる。
 
 ……まあ俺が鍛えすぎたのかもしれないけどな。
 あの訓練法は俺だから出来ただけだ。
 他人がやろうとすると、ダンジョン最下層までをクリアして、そこからファフニールと同じ感じのダンジョンのラスボスと仲良くしないといけないからな。
 普通は無理だ。

 「では第四種目 古代文字解読クイズを行いたいと思いますので大会議室前へ集合してください!」

 ……大会議室ってどこなんだ?
 行ったことねぇぇぇぇっ!!

 「場所がわからない人は係の人に聞いてください!」

 あ、理事長完全にこれは俺に伝わるように行ったな……。
 だってこっち見ながらニヤニヤしてるんだもん。バレバレ。
 これで次の俺のハンデを伝えるんでしょ?どうせ。

 「俺が案内しましょうか?」

 「……ああ頼む……」

 ライオスって強面なのに結構優しいよね。
 いろんなことに気を使ってくれたり、俺がいないところでみんなに指示出していたし。
 リーダーシップも兼ね備えているよね。

 「そういえばライオスはどうして大会議室を知ってるんだ?」

 みんなも知っている様子だった。
 そこに俺は疑問を持った。

 「それは部活やクラスの集会とかでよく利用されているからですよ」

 「なるほどね……」

 集会か……。
 そういえば俺って一度もそういうのに参加したことがなかったなぁ……。

 「着きました。それじゃあ頑張ってください」

 「おう、ありがとな」

 俺はライオスに礼を言い、会議室の中に入った。

 中には人がほとんど揃っており、いかにも知性があるような人ばっかりだった。
 ……気まずい……。
 Sクラスから出るのは戦闘訓練の時にカーマを瞬殺していたオリビアさんだし……。
 もう一度言おう!気まずい!!

 「それでは今回のルールを発表します」

 係の先生からの説明が始まった。
 何でもクイズ形式で、知識系の魔法を使うのはアリなんだとさ。
 よほど、使われても問題ないほど難しい問題が揃っているんだろいな。

 「そしてカネヤマ トオル選手には理事長から手紙があります。読んでください」

 そう先生に渡された。
 えーっと何々?
 
 〈トオル君?これまで勝っていた脳筋の君にはこの勝負は厳しいだろう?何たってSクラスには、あの楓君よりも賢いオリビア君がいるんだからね。と言うわけでハンデは無しにしてあげるよ〉

 ………………………。
 ムカつくっ!!!
 なにその言い方!俺じゃ絶対に勝てないって!?
 その思い上がり、後悔するんだな!
 こちとら秘密兵器がある!
 今回もお願いします!叡智様!

 「分かりましたか?」

 「了解です……」

 この人、内容知っているんだろうか?
 そうだとしたら結構性格悪いと思うんだけど……。

 「ではまずは一年生から始めます」
 
 うるさいと集中できないのか、ここにはアナウンスの音は入っていない。
 多分、向こうから中継されているんだと思う。

 そして一年生が全員席に着いた。

 「では始めます。……この文字は?」

 「ラビトゥーン語です」

 「正解です」

 ……地味~。
 何か思ってたのと全然違うんだけどっ!? 
 もうちょっと盛り上がるものだと思っていたんだが……。
 ……これやめようかな?なんか面倒くさくなってきた。
 ……ダメだ……。
 俺こういう鬱モードに入ると絶対にその事柄に関してやる気が起きないんだ。

 「それでは第2問」

 みんながクイズに集中している間に俺は点数確認をする。
 えーっと……一位が確か10点で、二位から8、7、6、5、4、3、2、1、0点と得られる得点が下がっていくんだよな?
 俺が今、30点で、Sクラスは26点。
 ここで俺が勝負を放棄するなら絶対に抜かされるだろうな。

 うーん……もう数問だけ解いて帰ろう。
 なんかこういう陰湿なギスギスした雰囲気はなんか嫌いだ。

 「結果、一位Sクラス8点。二位Aクラス2点。それ以外は0てんとなりました」

 何とも抑揚のない司会だな……。

 「では次は二年生です。準備してください」

 やっと出番が回ってきた。
 ……暇すぎて寝るところだったぜ……。

 「それでは第1問。この文字を答えてください」

 そして俺以外の人の時が止まった。
 これが俺の言っていた最終秘密兵器バージョン2!
 新スキル〈時間支配〉だ!
 これはとんでもなく魔力をくうかわりに、時間を操れると言った破格の能力を持っているスキルだ。
 魔力面に関しては俺は人外なので問題無し!

 「えーっとこれは……」

 俺はみんなが止まっている中で調べ物をする。
 イメージイメージ……。

 「これか……」

 見ると、メイヤスト語と書かれていた。
 
「メイヤスト語ね……」

 そうして俺は時間支配を解除し、速攻でボタンを押す。

 「メイヤスト語ですか?」

 「……正解です」

 そんなに俺が合っていることが不満でしたか?
 そんなに不機嫌な顔をしなくても……。

 「それじゃあ第2問。ーー」

 そうしてクイズ大会は続いていった。

 そして五分後、誰にも答える暇を与えず、俺が完封勝ちをした。

 「な、な、なんとっ!?まさかの脳筋であるはずのトオル選手があのオリビア選手を下しました!!」

 とかアナウンスで言っているんだろうな。
 あの人、結構世間体を気にしないでディスってくるよね?

 「……どうしてあれが分かったの?」

 「あ、オリビアか。久しぶり」

 「……いいから質問に答えて……!」

 「それは俺のスキルを使ったんだよ。正々堂々勝負して俺が勝てるとでも思ってるのか?」

 「……それは……そうは思わないけど……」

 「だろ?」

 俺に知恵で勝負すること自体が間違っているんだ。
 そんなの俺が勝てるわけないじゃん。

 「じゃあ俺はもう戻るわ。何のスキルだったのかは、多分楓に聞けば分かると思うぞ」

 そう言って俺は手を振り、大会議室を後にした。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品