全スキル保持者の自由気ままな生活
75話 消滅と霧散
 「では続いて二年生の絶対零度耐久の試合を行いたいと思います!それでは皆さん、専用のボックスに入ってください!」
 これをどうやるかはまだ説明していなかったよな?
 絶対零度耐久は用意されたボックスに入り、その中から魔道士が氷魔法を使用して温度を-百度近くに引き下げ、いつまでその場所に居られるとかというのがこの競技の説明だ。
   
 流石に本当に絶対零度まで下げるわけにはいかない。
 そうしたら本当に死者が出るかもしれないからな。
 「それでは……レディー……ゴー!」
 開始の合図とともに、中に一斉に氷の魔法が降り注いだ。
 ……うわぁ……。
 耐えきれなくなったのか、開始数秒で続々とリタイアする人が増えた。
 「おーっと!ここで残っているのはEクラス2と、Sクラスだ~~っ!!」
 10チーム以上出場して、数秒後、残ったのはこの2チームとなった。
 ……それだけ寒かったということだろうな……。
 「二人とも微動だにもしていない!この冷気の中、凄まじい精神力です!」
 やはり二人とも氷の魔導士ということで、寒さ耐性がついているんだろう。
 はたまたそれは別のスキルによって成り立っているのかどうかは俺が知る由も無いけど。
 もう片方のE1は氷の魔導士がいないため、この試合を捨て、大血闘でミサタを起用している。
 「おおっとっ!これは勝負が決まるかっ!?」
 アルベルトは余裕の表情を見せ、キリスは苦悶の表情になりかけていた。
 あ、キリスというのは今出場している氷魔導師のことな。造形魔法を得意としている使い手だ。
 「決まった~~っ!キリス選手ダウン!アルベルト選手はまだまだ余裕を見せている!」
 キリスには悪かったが、この勝負はアルベルトが勝つと思っていた。
 前に会った時とは練度が違いすぎる。
 「勝負あり!結果は三位Eクラス2!二位Sクラス!一位Eクラス3となりました!」
 あの寒さの中でよく頑張っと思うよ。
 並外れた根性がいるしな。
 アルベルトに関してはどこかの雪山で修行してきたんだろうか?
 全く寒さを感じているように感じなかった。
 「それでは続いて三年生です!準備をしてください!」
 どうにも終わったっぽかったので俺は控室に戻り、そこで試合を観戦することにした。
 控室に着くと同時に開始のアナウンスが聞こえてきた。
 「始めっ!」
 その言葉が聞こえた瞬間、俺は悪寒を感じた。
 この魔力……楓を越すのか……?
 こんな奴がこの学園にいたんだな……。
 
 「って生徒会長かよ!」
 誰もいない控室にて俺はツッコんでしまう。
 この魔力の正体は宣誓をしていたあの綺麗な生徒会長だった。
 「あの人が……」
 俺はあたりの状況を千里眼で確認する。
 ……辺りの温度が急激に下がっているな……。
 このままだったらマズイかも……。
 そう思った俺は闘技場へと転移した。
 闘技場の中には吹雪が吹き荒れていた。
 「おい!やめろ!」
 俺の声は聞こえていないのか、彼女は魔法を発動し続ける。
 ……このままだったら本当に凍死なんてことがあり得るぞ!
 「仕方ない……」
 俺は自身のレベルを解放して、魔力を反発させ、魔法を霧散させた。
 こんな神業のようなことが出来るのも、〈魔力操作〉と桁外れの魔力があるおかげだ。
 「……」
 彼女は自身の魔法が破られたことに驚愕していたのか、茫然自失としていた。
 
 「おい!」
 俺は彼女の前に来ると、碧眼だった彼女の目が、青色に変わっていた。
 そして再び魔法が発動された。
 
 「……そろそろいい加減にしろよ……!」
 俺はその魔法を唱える前に魔力を霧散させた。
 人の魔力というものは殆ど生命力に近いエネルギーだ。
 魔力を霧散させたら、たとえそれがどれだけ強い敵だとしても簡単に気を失ってしまう。
 「こ、こ、これはどういうことでしょうっ!?ボックスの中でさらに魔力が高まったと思えばミーナ選手が倒れ、そこにはトオル選手が立っているっ!?」
 アナウンスも今の俺たちの状況についていけてないのだろう。
 とても慌てている。
 俺はレベルを封印して、生徒会長を背負い退場口へと向かった。
 「待て!」
 退場口から金髪のいかにも面倒くさそうな男がやってきた。
 「ミーナに何をしたんだっ!?」
 「彼女の暴走を止めただけだ」
 「なら……なぜミーナは気絶している!!」
 「魔力を霧散させたからだ。しばらくは目が覚めないだろう」
 「なぜそんな事を……!」
 「一つ聞くが、お前は生徒会長が傷ついてもいいのか?あの場で取れる最善の選択がこれだったんだよ」
 「くっ……。別にお前が助けなくても俺が助けたんだ!」
 「は?」
 その瞬間俺はあまりの発言に自分の耳を疑った。
 「……お前はふざけてんのか?何で控室にいた俺よりも助けるのが遅いんだよ。それで助ける?ギャグもほどほどにしろ」
 「お前……!あと少ししたら俺だって助けられたんだ!」
 「はぁ……あれを見てみろ」
 俺は倒れている生徒を指差す。
 「俺の助けが少しでも間に合わなかったらあそこにいた生徒は全員死んでいた」
 「そんなの……!」
 「生徒会長が無事なら他のやつはどうなってもいいのか?とんだ外道だな」
 「くっ……」
 「邪魔だ。生徒会長を医務室に連れて行かないといけないし、俺もこのあと競技があるんでね」
 「……」
 男は俺の前から退こうとしない。
 「はぁ……。“どけ”っ!」
 言霊を使い、強制的に退かせる。
 俺はそのまま進み医務室を目指した。
 
 「ありがとうね。彼女のことは後は私に任せて」
 「ありがとうございます」
 医務室の先生に生徒会長を渡し、俺は控え室に戻った。
 これをどうやるかはまだ説明していなかったよな?
 絶対零度耐久は用意されたボックスに入り、その中から魔道士が氷魔法を使用して温度を-百度近くに引き下げ、いつまでその場所に居られるとかというのがこの競技の説明だ。
   
 流石に本当に絶対零度まで下げるわけにはいかない。
 そうしたら本当に死者が出るかもしれないからな。
 「それでは……レディー……ゴー!」
 開始の合図とともに、中に一斉に氷の魔法が降り注いだ。
 ……うわぁ……。
 耐えきれなくなったのか、開始数秒で続々とリタイアする人が増えた。
 「おーっと!ここで残っているのはEクラス2と、Sクラスだ~~っ!!」
 10チーム以上出場して、数秒後、残ったのはこの2チームとなった。
 ……それだけ寒かったということだろうな……。
 「二人とも微動だにもしていない!この冷気の中、凄まじい精神力です!」
 やはり二人とも氷の魔導士ということで、寒さ耐性がついているんだろう。
 はたまたそれは別のスキルによって成り立っているのかどうかは俺が知る由も無いけど。
 もう片方のE1は氷の魔導士がいないため、この試合を捨て、大血闘でミサタを起用している。
 「おおっとっ!これは勝負が決まるかっ!?」
 アルベルトは余裕の表情を見せ、キリスは苦悶の表情になりかけていた。
 あ、キリスというのは今出場している氷魔導師のことな。造形魔法を得意としている使い手だ。
 「決まった~~っ!キリス選手ダウン!アルベルト選手はまだまだ余裕を見せている!」
 キリスには悪かったが、この勝負はアルベルトが勝つと思っていた。
 前に会った時とは練度が違いすぎる。
 「勝負あり!結果は三位Eクラス2!二位Sクラス!一位Eクラス3となりました!」
 あの寒さの中でよく頑張っと思うよ。
 並外れた根性がいるしな。
 アルベルトに関してはどこかの雪山で修行してきたんだろうか?
 全く寒さを感じているように感じなかった。
 「それでは続いて三年生です!準備をしてください!」
 どうにも終わったっぽかったので俺は控室に戻り、そこで試合を観戦することにした。
 控室に着くと同時に開始のアナウンスが聞こえてきた。
 「始めっ!」
 その言葉が聞こえた瞬間、俺は悪寒を感じた。
 この魔力……楓を越すのか……?
 こんな奴がこの学園にいたんだな……。
 
 「って生徒会長かよ!」
 誰もいない控室にて俺はツッコんでしまう。
 この魔力の正体は宣誓をしていたあの綺麗な生徒会長だった。
 「あの人が……」
 俺はあたりの状況を千里眼で確認する。
 ……辺りの温度が急激に下がっているな……。
 このままだったらマズイかも……。
 そう思った俺は闘技場へと転移した。
 闘技場の中には吹雪が吹き荒れていた。
 「おい!やめろ!」
 俺の声は聞こえていないのか、彼女は魔法を発動し続ける。
 ……このままだったら本当に凍死なんてことがあり得るぞ!
 「仕方ない……」
 俺は自身のレベルを解放して、魔力を反発させ、魔法を霧散させた。
 こんな神業のようなことが出来るのも、〈魔力操作〉と桁外れの魔力があるおかげだ。
 「……」
 彼女は自身の魔法が破られたことに驚愕していたのか、茫然自失としていた。
 
 「おい!」
 俺は彼女の前に来ると、碧眼だった彼女の目が、青色に変わっていた。
 そして再び魔法が発動された。
 
 「……そろそろいい加減にしろよ……!」
 俺はその魔法を唱える前に魔力を霧散させた。
 人の魔力というものは殆ど生命力に近いエネルギーだ。
 魔力を霧散させたら、たとえそれがどれだけ強い敵だとしても簡単に気を失ってしまう。
 「こ、こ、これはどういうことでしょうっ!?ボックスの中でさらに魔力が高まったと思えばミーナ選手が倒れ、そこにはトオル選手が立っているっ!?」
 アナウンスも今の俺たちの状況についていけてないのだろう。
 とても慌てている。
 俺はレベルを封印して、生徒会長を背負い退場口へと向かった。
 「待て!」
 退場口から金髪のいかにも面倒くさそうな男がやってきた。
 「ミーナに何をしたんだっ!?」
 「彼女の暴走を止めただけだ」
 「なら……なぜミーナは気絶している!!」
 「魔力を霧散させたからだ。しばらくは目が覚めないだろう」
 「なぜそんな事を……!」
 「一つ聞くが、お前は生徒会長が傷ついてもいいのか?あの場で取れる最善の選択がこれだったんだよ」
 「くっ……。別にお前が助けなくても俺が助けたんだ!」
 「は?」
 その瞬間俺はあまりの発言に自分の耳を疑った。
 「……お前はふざけてんのか?何で控室にいた俺よりも助けるのが遅いんだよ。それで助ける?ギャグもほどほどにしろ」
 「お前……!あと少ししたら俺だって助けられたんだ!」
 「はぁ……あれを見てみろ」
 俺は倒れている生徒を指差す。
 「俺の助けが少しでも間に合わなかったらあそこにいた生徒は全員死んでいた」
 「そんなの……!」
 「生徒会長が無事なら他のやつはどうなってもいいのか?とんだ外道だな」
 「くっ……」
 「邪魔だ。生徒会長を医務室に連れて行かないといけないし、俺もこのあと競技があるんでね」
 「……」
 男は俺の前から退こうとしない。
 「はぁ……。“どけ”っ!」
 言霊を使い、強制的に退かせる。
 俺はそのまま進み医務室を目指した。
 
 「ありがとうね。彼女のことは後は私に任せて」
 「ありがとうございます」
 医務室の先生に生徒会長を渡し、俺は控え室に戻った。
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