全スキル保持者の自由気ままな生活
70話 カレー
みんなのところに戻ってみると、ヘトヘトの状態で倒れていた。
 「もう……しんどい……」
 「疲れた~~!」
 「俺はもうダメだ……。お前ら俺を置いて先に行け……!」
 最後の一人は大袈裟すぎる気がしたが、それほどみんな頑張ったのだろう。
 「よーし!じゃあご飯作るぞー!」
 俺はみんなに呼びかける。
 『動けない……』
 まさかの全員同じ反応が返ってきた。
 (マジかいっ!!)
 いや、そこは共同作業として頑張ろうよ!
 ……まあいいか。
 今日はみんなも疲れているんだろうし、ご飯は楓に作ってもらうからそれで万事解決なんだけども……。
 すると楓が俺より一歩前に出た。
 「初めまして、でいいのかな?私を知っている人もいると思うけど自己紹介しておくね。私は涼川楓。今日は透の付き添いで来たんだ」
 (付き添いって……。楓は俺の母さんか?)
 『……』
 みんなは硬直していた。
 (あっれ?楓ってそんなに有名だったっけ?)
 何故か硬直しながらも眼だけは輝いているんだが……。
 俺には分かる。あれは憧れの人に会えた的な感じだ!
 「じゃあ今日はカレーを作りたいと思います」
 「イエ~~~~~~~~~~イ!」
 俺が楓の提案に全力で肯定した。
 カレーは嫌いじゃない。
 かといって好きと言われると、うーん……てなるのが俺だ。
 でも久しぶりの楓の手料理が食べられるのは嬉しい!
 「かれーって何?」
 「ねぇ知ってる?」
 「いや……どこの国の食べ物なんだ?」
 まさか……カレーを知らないだとっ!?
 ……おい勇者。いただきますを伝えたんだったら他のも伝えたんだよな?
 なら仕事しろ!!?
 カレーが無いとはどういうことだっ!?
 (全くこれだから勇者は……)
 どうせ、自分は辛いのがダメだったからあえてカレーを広めたくなかったんだろう。
「じゃあ早速作っていくね」
 今回使用する材料はルウ、牛もも肉(これはドラゴンのもも肉で代用)、玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、サラダ油、水だ。
 まずドラゴンの肉を使っているというのですでにお腹が減ってくる!
 「みんなが食べられるように甘口、中辛、辛口の全て作るね」
 その為に俺はガスコンロを三つ分用意する。
 もちろん、材料はドラゴン肉以外は創造で作る。
 今から買い出しに行くのも面倒くさいしな。
 ドラゴン肉ならアイテムボックスに入っているし。
 まずは玉ねぎの皮をむき、縦半分に切る。そしてそのさらに半分をみじん切りに、一個分を乱切りにする。
 にんじん、じゃがいもは皮をむき、食べやすい大きさの乱切りにする。
 これが楓のすごいところで、この作業にかかった時間、わずか5秒。
 ありえない速さで野菜を切り分けていく。
 
 これが楓のあだ名〈超絶万能美少女〉という意味だ。
 この超絶という意味は何も美少女だけにかかっているわけでは無い。
 万能をはるかに超える才能を持っているから、それを称えて俺が〈超絶万能美少女〉と呼んでいるわけだ。
 そして、あっという間に野菜は切り分けられ、次の工程に入る。
 次は炒める作業だ。
 まずはどの鍋にもサラダ油を入れ、ドラゴン肉を投入し、しっかり焼き色がつくように炒める。
 これは流石に早くすることはできない。
 無理に早くすると味が悪くなってしまうからな。
 そしてしばらく炒め、肉に火が通ってきたら一旦取り出し、次は野菜を入れる。
 玉ねぎ(みじん切り)→玉ねぎ(乱切り)
→にんじん→じゃがいもの順に炒めていく。
 (この作業を一人でこなしていること自体すごすぎるだろ……)
 全く料理ができない俺にとっては尊敬の極みだ。
 そして野菜も炒め上がったようで、鍋にそれぞれ肉を投入していた。
 
 玉ねぎがしんなりしたら水を投入した。
 そして中火で煮込むこと約15分。
 沸騰したことにより湧き上がってきたアクを大体取り除く。
 アクは旨味の一つらしいので、完全には取り除かないらしい。
 
 そして一旦火を止め、ルウを投入する。
 焦げないように注意しながらかき混ぜていく。
 弱火で10分ほど煮込み、とろみがついたところでカレーが完成した。
 「出来た~~~~~っ!!」
 ガスコンロの辺りからスパイシーないい匂いがしてきた。
 「いい匂い……!」
 「……初めて嗅いだ匂いだ……」
 みんなもカレーが気になっているようだ。
 「この中で辛いのがいける人ってどれくらいいるの?」
 そこで楓が、誰がどの辛さのカレーにするのか決める為にみんなに問いかけた。
 「俺は全然大丈夫だぞ!」
 「私はちょっと無理かな……」
 「どっちでもない」
 まさにどっちもどっち。
 だいたい均等に別れた。
 「じゃあ取り分けようか」
 そしてみんなの分を均等にルーを入れていく。
 ご飯は俺特製最上級の品種改良を施された米を使用した。
 え?いつしたのかって?
 楓がルーを作り始めた時ぐらいに炊飯器を作っておいたからそこに米を研いで炊いたのだ。 
 (……ちょっと余りそうだな)
 でもみんなのおかわりがあると思うからこのぐらいが丁度いいのかもしれないな)
 今日は景気良くご飯を振る舞う流れだからな。
 そうじゃなかったらドラゴン肉なんか使うわけないじゃん。
 ……まぁ創造で作ったドラゴン肉は使うかもしれないけどさ……。
 『いただきます』
 今日は福神漬けは無しだ。
 カレーの本来の味を知ってもらいたいからな。
 最初はそのままのカレーの感想を聞きたい。
 みんなは俺が用意したスプーンでカレーを食べていく。
 「何これ……!こんなの食べたことないっ!?」
 「美味しすぎる……!なぜ私たちはこんな旨味の終着点のような料理を知らなかったんだ!」
 「美味しすぎてほっぺたがとろけちゃうよ~~」
 みんな絶賛のようだ。
 俺も一口すくって食べてみる。
 (これは……美味すぎる!!)
 流石はドラゴンの肉といったところだろう。
 これ、もしかしたら全ての料理に組み込んだら全部旨くなるんじゃないか?
 米とルーのマッチングが最高すぎる!
 しかもこれは材料だけの味じゃないと思う。
 多分楓の料理の腕も旨味に加算しているのだろう。
 これは世界最高のカレーと言っても過言ではないっ!!
 「美味しいね!」
 楓を見ると、満面の笑顔で俺に言ってきた。
 「これはまた作らねば……」
 今回は楓に作ってもらったが、いざとなればエルに頼む。
 俺はそう思うのだった。
 『おかわり!!』
 食べるタイミングはみんな違うのに、なぜかほぼ同時におかわりがやってきた。
 カレーとなると、食事のスピードが変わるのか……?
 これをとにかくたくさん食べたいと思うのは俺も同じだけどな!
 「はいはーい。ちょっと待ってね」
 楓がみんなの器を取り、一人ずつカレーを入れていく。
 米の方は問題ない。
 あり余りまくるほど炊いておいたからな。
 たとえ100人で食い漁ってもなくならないだろう。
 「はい、お待たせー」
 楓がすぐにおかわりを持っていく。
 それをみんなはものすごい勢いで食べていく。
 それが30分ほど続いた。
 みんなはお腹いっぱいになって、俺が建設したテントに入ってぐっすり眠っていった。
 「今日は楽しかったね」
 「そうだな……」
 「それで透は魔導演武祭は出るの?」
 「うーん……。はっきり言うと、それに俺が出ると、料理以外は殆ど勝ててしまうんだよなぁ……」
 決闘だったら負ける気がしないし、○○メートル走とかでも負けない。
 逆にこのステータスに追いつける人がいたら引くレベルだ。
 「透の料理は致命的だよね……」
 「……それは言わないでほしい……」
 ホントに料理は無理!
 俺には料理が永久に出来ない呪いでもかかっているのだろうか?
 「出るんだったら全力で潰しに行くけど、今回の裏の目的としては、みんなで頑張ってもらう方向だから出なくてもいいかなって思ってる」
 今回の祭。
 理事長からは虐め解消という意味合いで鍛えてほしいと言われたのに、俺が出るのは筋違いといったもんだろう。
 「でも、最後にはクラスで最も強い人が出る大血闘があるよ?」
 (なんだその大血闘って……。物騒すぎるだろ……)
 「じゃあその時だけは出ようかな」
 はっきり言ってみんなを育てたのに俺だけそう言うのに出ないというのは……。
 何のためにしているんだって話だ。
 「じゃあもっと強くならなきゃね」
 「俺はレベリングしなくてもいいんだぜ?」
 何たって一年の差がある。
 たった1カ月で埋められる差ではないだろう。
 「別にいいよ。頑張ることが大事なんだし」
 「そうだな」
 まさに的を得ている答えだな。
 「じゃあ私たちももう寝ようか?」
 「じゃあまた明日な」
 「うん。おやすみ」
 「おやすみ」
 そうして俺たちは各々のテントに入って行くのだった。
 「もう……しんどい……」
 「疲れた~~!」
 「俺はもうダメだ……。お前ら俺を置いて先に行け……!」
 最後の一人は大袈裟すぎる気がしたが、それほどみんな頑張ったのだろう。
 「よーし!じゃあご飯作るぞー!」
 俺はみんなに呼びかける。
 『動けない……』
 まさかの全員同じ反応が返ってきた。
 (マジかいっ!!)
 いや、そこは共同作業として頑張ろうよ!
 ……まあいいか。
 今日はみんなも疲れているんだろうし、ご飯は楓に作ってもらうからそれで万事解決なんだけども……。
 すると楓が俺より一歩前に出た。
 「初めまして、でいいのかな?私を知っている人もいると思うけど自己紹介しておくね。私は涼川楓。今日は透の付き添いで来たんだ」
 (付き添いって……。楓は俺の母さんか?)
 『……』
 みんなは硬直していた。
 (あっれ?楓ってそんなに有名だったっけ?)
 何故か硬直しながらも眼だけは輝いているんだが……。
 俺には分かる。あれは憧れの人に会えた的な感じだ!
 「じゃあ今日はカレーを作りたいと思います」
 「イエ~~~~~~~~~~イ!」
 俺が楓の提案に全力で肯定した。
 カレーは嫌いじゃない。
 かといって好きと言われると、うーん……てなるのが俺だ。
 でも久しぶりの楓の手料理が食べられるのは嬉しい!
 「かれーって何?」
 「ねぇ知ってる?」
 「いや……どこの国の食べ物なんだ?」
 まさか……カレーを知らないだとっ!?
 ……おい勇者。いただきますを伝えたんだったら他のも伝えたんだよな?
 なら仕事しろ!!?
 カレーが無いとはどういうことだっ!?
 (全くこれだから勇者は……)
 どうせ、自分は辛いのがダメだったからあえてカレーを広めたくなかったんだろう。
「じゃあ早速作っていくね」
 今回使用する材料はルウ、牛もも肉(これはドラゴンのもも肉で代用)、玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、サラダ油、水だ。
 まずドラゴンの肉を使っているというのですでにお腹が減ってくる!
 「みんなが食べられるように甘口、中辛、辛口の全て作るね」
 その為に俺はガスコンロを三つ分用意する。
 もちろん、材料はドラゴン肉以外は創造で作る。
 今から買い出しに行くのも面倒くさいしな。
 ドラゴン肉ならアイテムボックスに入っているし。
 まずは玉ねぎの皮をむき、縦半分に切る。そしてそのさらに半分をみじん切りに、一個分を乱切りにする。
 にんじん、じゃがいもは皮をむき、食べやすい大きさの乱切りにする。
 これが楓のすごいところで、この作業にかかった時間、わずか5秒。
 ありえない速さで野菜を切り分けていく。
 
 これが楓のあだ名〈超絶万能美少女〉という意味だ。
 この超絶という意味は何も美少女だけにかかっているわけでは無い。
 万能をはるかに超える才能を持っているから、それを称えて俺が〈超絶万能美少女〉と呼んでいるわけだ。
 そして、あっという間に野菜は切り分けられ、次の工程に入る。
 次は炒める作業だ。
 まずはどの鍋にもサラダ油を入れ、ドラゴン肉を投入し、しっかり焼き色がつくように炒める。
 これは流石に早くすることはできない。
 無理に早くすると味が悪くなってしまうからな。
 そしてしばらく炒め、肉に火が通ってきたら一旦取り出し、次は野菜を入れる。
 玉ねぎ(みじん切り)→玉ねぎ(乱切り)
→にんじん→じゃがいもの順に炒めていく。
 (この作業を一人でこなしていること自体すごすぎるだろ……)
 全く料理ができない俺にとっては尊敬の極みだ。
 そして野菜も炒め上がったようで、鍋にそれぞれ肉を投入していた。
 
 玉ねぎがしんなりしたら水を投入した。
 そして中火で煮込むこと約15分。
 沸騰したことにより湧き上がってきたアクを大体取り除く。
 アクは旨味の一つらしいので、完全には取り除かないらしい。
 
 そして一旦火を止め、ルウを投入する。
 焦げないように注意しながらかき混ぜていく。
 弱火で10分ほど煮込み、とろみがついたところでカレーが完成した。
 「出来た~~~~~っ!!」
 ガスコンロの辺りからスパイシーないい匂いがしてきた。
 「いい匂い……!」
 「……初めて嗅いだ匂いだ……」
 みんなもカレーが気になっているようだ。
 「この中で辛いのがいける人ってどれくらいいるの?」
 そこで楓が、誰がどの辛さのカレーにするのか決める為にみんなに問いかけた。
 「俺は全然大丈夫だぞ!」
 「私はちょっと無理かな……」
 「どっちでもない」
 まさにどっちもどっち。
 だいたい均等に別れた。
 「じゃあ取り分けようか」
 そしてみんなの分を均等にルーを入れていく。
 ご飯は俺特製最上級の品種改良を施された米を使用した。
 え?いつしたのかって?
 楓がルーを作り始めた時ぐらいに炊飯器を作っておいたからそこに米を研いで炊いたのだ。 
 (……ちょっと余りそうだな)
 でもみんなのおかわりがあると思うからこのぐらいが丁度いいのかもしれないな)
 今日は景気良くご飯を振る舞う流れだからな。
 そうじゃなかったらドラゴン肉なんか使うわけないじゃん。
 ……まぁ創造で作ったドラゴン肉は使うかもしれないけどさ……。
 『いただきます』
 今日は福神漬けは無しだ。
 カレーの本来の味を知ってもらいたいからな。
 最初はそのままのカレーの感想を聞きたい。
 みんなは俺が用意したスプーンでカレーを食べていく。
 「何これ……!こんなの食べたことないっ!?」
 「美味しすぎる……!なぜ私たちはこんな旨味の終着点のような料理を知らなかったんだ!」
 「美味しすぎてほっぺたがとろけちゃうよ~~」
 みんな絶賛のようだ。
 俺も一口すくって食べてみる。
 (これは……美味すぎる!!)
 流石はドラゴンの肉といったところだろう。
 これ、もしかしたら全ての料理に組み込んだら全部旨くなるんじゃないか?
 米とルーのマッチングが最高すぎる!
 しかもこれは材料だけの味じゃないと思う。
 多分楓の料理の腕も旨味に加算しているのだろう。
 これは世界最高のカレーと言っても過言ではないっ!!
 「美味しいね!」
 楓を見ると、満面の笑顔で俺に言ってきた。
 「これはまた作らねば……」
 今回は楓に作ってもらったが、いざとなればエルに頼む。
 俺はそう思うのだった。
 『おかわり!!』
 食べるタイミングはみんな違うのに、なぜかほぼ同時におかわりがやってきた。
 カレーとなると、食事のスピードが変わるのか……?
 これをとにかくたくさん食べたいと思うのは俺も同じだけどな!
 「はいはーい。ちょっと待ってね」
 楓がみんなの器を取り、一人ずつカレーを入れていく。
 米の方は問題ない。
 あり余りまくるほど炊いておいたからな。
 たとえ100人で食い漁ってもなくならないだろう。
 「はい、お待たせー」
 楓がすぐにおかわりを持っていく。
 それをみんなはものすごい勢いで食べていく。
 それが30分ほど続いた。
 みんなはお腹いっぱいになって、俺が建設したテントに入ってぐっすり眠っていった。
 「今日は楽しかったね」
 「そうだな……」
 「それで透は魔導演武祭は出るの?」
 「うーん……。はっきり言うと、それに俺が出ると、料理以外は殆ど勝ててしまうんだよなぁ……」
 決闘だったら負ける気がしないし、○○メートル走とかでも負けない。
 逆にこのステータスに追いつける人がいたら引くレベルだ。
 「透の料理は致命的だよね……」
 「……それは言わないでほしい……」
 ホントに料理は無理!
 俺には料理が永久に出来ない呪いでもかかっているのだろうか?
 「出るんだったら全力で潰しに行くけど、今回の裏の目的としては、みんなで頑張ってもらう方向だから出なくてもいいかなって思ってる」
 今回の祭。
 理事長からは虐め解消という意味合いで鍛えてほしいと言われたのに、俺が出るのは筋違いといったもんだろう。
 「でも、最後にはクラスで最も強い人が出る大血闘があるよ?」
 (なんだその大血闘って……。物騒すぎるだろ……)
 「じゃあその時だけは出ようかな」
 はっきり言ってみんなを育てたのに俺だけそう言うのに出ないというのは……。
 何のためにしているんだって話だ。
 「じゃあもっと強くならなきゃね」
 「俺はレベリングしなくてもいいんだぜ?」
 何たって一年の差がある。
 たった1カ月で埋められる差ではないだろう。
 「別にいいよ。頑張ることが大事なんだし」
 「そうだな」
 まさに的を得ている答えだな。
 「じゃあ私たちももう寝ようか?」
 「じゃあまた明日な」
 「うん。おやすみ」
 「おやすみ」
 そうして俺たちは各々のテントに入って行くのだった。
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