全スキル保持者の自由気ままな生活

ノベルバユーザー255253

41話 これから

 ファフニールを倒した後、新たな道繋がった。
 だけどそれは階段じゃなく、真っ直ぐ続いた道だった。
 これまでとは違う。今回はやっと最下層を突破することが出来たんだ!

 「……やっと終わったんだね」

 「……ああ、今回は流石にダメかと思った」

 「無茶しないで……!心配したんだよ……!」

 「ごめんな、エル」

 (今回はみんなに心配かけちゃったな)

 みんなの応援、特に天谷のあの叫びが無ければ今頃どうなっていたか分からない。
 神様には感謝してもしきれないな。

 (それでこの奥には何があるんだ?)

 やっぱりここの到達者にご褒美の為の部屋なのだろうか。
 とりあえずは行ってみないと分からない。

 「俺たちはこのまま進むけど、どうする?帰りたいんだったら帰っていいんだぞ?」

 「いや、最後まで付き合うよ。俺たちはそこまで疲れていないしな」

 「そうだね」

 じゃあ全員参加ということで。
 あの中には何があるのか?という期待を抱いて俺たちは奥へと進むのだった。


 「ふう……。ようやくここに人が現れるのか」

 一人の少女は部屋のような場所でくつろいでいた。

 「久しぶりに人の子と出会うな。……少し緊張してるかも……」

 そしてその後すぐに、透たちはやってくる。
 この少女が透を瀕死に追いやった本体であるということも知らずに。


 「どれだけ続くんだろうな?」

 俺たちは確実に下に階段で降りるより歩いた。

 「なあ、エル……っ!!」

 俺は今とてつもなく驚いていた。
 だって後ろにいたはずのエルたちが突然いなくなってるんだから。

 〈ふふふっ、よく来たね。到達者君〉

 「おいっ!!何者だ!エルたちをどこにやった!?」

 「ふふっ、心配しなくてもあの子たちはみんな無事だよ。今は君を探している真っ最中だ」

 俺の目の前に急に少女が現れた。

 「……どうしてそんなことが分かるんだ?」

 「それは私が君たちを切り離したからね」

 (嘘……だろ?いや、エルたちが俺の後ろにいないのは多分こいつがやったに違いない)

 十分警戒しておかないとな。

 「そう嫌わないでくれよ。人の子と話すのは久しぶりなんだから」
  
 (なんだこいつ?隙が見えない……)

 俺の目ですら、コイツの隙を見れない。
 これはアイツ以上……いや、もしかして。

 「その顔、何か思いついた?」

 「お前ってファフニールか?」

 「ふふっ、あはは!やっぱり君は面白いね!うん、正解だよ。私は原初の龍 ファフニール。100階層でいた奴もそうだけど、私は“オリジナル”と言ったところかな?」

 やっぱりな。アイツは強かったはしたが、原初の龍らしくはなかった。
 知性もそこまであるように感じられなかったしな。
 さらにこの少女はあのファフニールよりも強い。
 それなら残る選択肢は龍の本体か、神か悪魔かってことになる。
 ダンジョンマスターがドラゴンだったら必然的にドラゴンになるはず。

 俺は頭の中で瞬時にこのことを考え、答えてみたら合っているようだった。

 「何の用だ?俺は早く仲間と合流したいんだけど?」

 「そんなつれないこと言わないでよー!人と喋るの自体久しぶりなんだから。それでね、君、ここで修行しないかい?」

 「……何でだ?」

 「はっきり言うけど、私の分身程度で苦戦しているようだったら、この世界の本当の敵には勝つことなんて無理だよ」

 ……どういうことだ?

 「試しに私のレベルを測ってみたらいいよ」

 「……〈鑑定〉」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<名前>原初の龍 ファフニール
<レベル>3867946
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「……っ!」

 (流石にこれはありえねぇ……っ!!)

 まさかの7桁。
 分身の100倍以上のレベルだ。
 こんなのに勝てるのか?
 いや、こんな敵がもし現れたとして、俺に勝てるのか?
 俺は誰にも負けないように強くなると言ったが、これではいつか本当に大切なものを守れなくなるかもしれない。

 (ここは強くなるために教えてもらうのが最善だろうな)

 いや、ここで放置はできない。
 
 「何年だ?何年でそのレベルまでいく?」

 「うーん……、君のレベルだったらちょうど1年ぐらいといったところかな」

 なるほど……。それならOKだな。
 他にも色々回ろうと思ってたけど、みすみす強い人に教えてもらう機会を無くすのは良くないだろう。

 「じゃあ、仲間もここに呼んでくれ。みんなで話がしたい」

 「わかった」

 すると、俺たちの上からワームホールのような穴が開き、そこから天谷、奏音、エルの順番に落ちてきた。

 「うわっ」

 「「きゃあああっ!」」

 「グヘッ!」

 天谷が奏音とエルの下敷きになっていた。

 「おーい、お前ら大丈夫だったか?」

 「ご主人様!?それはこっちのセリフだよ!」

 まあ、俺もいきなりいなくなったのは焦ったけどな。
 そして若干大丈夫じゃない人が1名。
 天谷だ。
 重くないとはいえ、流石に2人に乗られると辛いものがあるのだろう。

 「そして、話があるんだけど……」

 「何の話?」

 「……それは天谷にも聞いてもらいたいから、とりあえず退いたれ」

 「うわわ、ごめんなさい!」

 「ごめん!大丈夫?」

 「あ、うん。大丈夫。それで透。話したいことって?」

 「ああ、それはーー」

 俺はこのダンジョンから出ず、しばらくファフニールのところで修行することを説明した。
 あの少女がファフニールということを知った時は随分警戒していた。

 「俺は期間の一年間、ここで特訓するつもりだ。お前らはどうしたい?」

 「私はご主人様のものだよ。だから一生ついていく」

 「私も守られるだけじゃなくて、他人を守れるほど強くなりたい!」

 「俺だって……!みんなに、透に負けていられない!」

 「満場一致だな。それでどうだ?」

 俺はファフニールに確認を取る。

 「もちろん。でも食事とかそこまでないけど大丈夫?」

 「ああ」

 食糧問題についてはすでに解決済みだ。
 創造を使えば何の心配もない。
 毒もないしな。

 「じゃあ、早速始めるよ!」

 こうして俺たちは一年の期間、ファフニールの元で修行することになった。

 

 そして月日は流れ、一年後ーー。

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