全スキル保持者の自由気ままな生活

ノベルバユーザー255253

37話 キマイラと竜巻

 そして今回のダンジョン攻略に終止符を打つであろう日がやってきた。
 そして俺は昨日のおかげで今日は快調だった。
 朝も早く起きれたしな。

 「おはよう、ご主人様」

 「おう、おはよう」

 「……今日でダンジョン攻略出来るかな?」

 「別に出来なくてもいいだろう。そうなったら外へ向かえばいいだけなんだからな」

 まあ、100階層から引き返さなくてはならないけれど。
 転移結晶は残念ながら1人用だ。
 だから天谷の転移結晶に俺が乗っていくのは無理だ。
 100階層で終わりじゃなくてまだ続いているのなら、のちに引き返すのは面倒くさくなるからな。

 「……うん!そうだよね。ご主人様、頑張ってね!」

 「ああ、ありがとな」

 エルの応援にはこのダンジョンにいる間、すげえお世話になったよな。
 お礼にダンジョン制覇を見してあげたいなぁ。
 と、俺は思うのだった。


 「おはよう」

 「おはよう!」

 俺たちがちょうど準備を終えた時に、テンションの高い女子(妹)と、普通のテンションの男子(天谷)がやってきた。

 「ああ、おはよう」

 「おはよう!」

 こちらも挨拶しておく。

 「で、もう行くの?」

 「ああ、今日は急がないといけないからな」

 「りょーかい」

 こうして無茶な進行をする俺たちの一日が始まるのだった。

 82階層は山脈エリアだった。
 ……ここのダンジョンって下に行けば行くほど面積が広くなってないか?
 70階層代は1キロぐらいだったのに対して、ここは5キロ近くあるぞ……。
 飛翔で飛ぼうにしてもドラゴンが基本そこら中にいるわけだし、飛びづらい。
 あいつら殲滅することができたら、もしくはドラゴンの攻撃くらっても大丈夫なくらいの結界を張るんだったら飛翔と重力魔法のコンボで行くんだけどな……。
 あ!あれがある!

 「〈重力魔法〉メテオ!」

 俺がそう唱えると、ダンジョンなのに空から隕石が落ちてきてドラゴンにぶち当たった。
 ドゴゴゴオオオオオオオッッ!!
 と盛大な音を立てて落下する隕石達。
 そして全滅するドラゴン達。
 ……この魔法ってつくづくドラゴンに縁があるよね。
 この魔法を使う機会って今のところドラゴンにしかないぞ。

 「……お兄ちゃん、何今の魔法?」

 「メテオって言う魔法だけど?」

 「そうじゃなくて!!……はぁ、やっぱりお兄ちゃんは人外だね。もう人じゃないよ」

 「酷!?」

 失礼な!俺はちゃんと人の範疇……なはず。

 「そんなことより、さっさと渡るぞ!いつ魔物が現れるか分からないからな」

 「そうだね」

 そして、飛翔と重力魔法を使い、山の頂上に登る。
 ……やっぱりこんだけ高いところになってくると、高山病とか心配だな。
 まあ、今のところみんなピンピンしてるから大丈夫だと思うんだけど。

 「大丈夫か?今のところしんどい人はいるか?」

 一応確認しておく。あまり感情に出さない人はこういうのは溜めておくからな。
 それこそ危険だ。今のうちに治療した方が良い。

 「大丈夫」

 「私は大丈夫だよ!」

 「私も!」

 天谷も奏音もエルも大丈夫そうだな。
 扉は頂上にあった。
 そこにはやっぱりと言うべきかドラゴンの死体があった。
 十中八九ここに番人としてのドラゴンがいたんだろう。
 それを俺のメテオで一撃と……。
 なんか可哀想なことしたな。
 そんなドラゴンさんのアイテムはキッチリいただくことにしました。

 「じゃあ次だ!次!」

 こうして82階層は突破した。

 85層まで入ってすぐに俺はメテオを撃ちまくった。
 魔力枯渇?そんなの魔力超回復があるから大丈夫なんだよ!
そして全滅するドラゴン。
 それを続け、飛翔で飛んでいくと普通にここまで来ることができた。

 「大丈夫だよな」

 「「「うん」」」

 大丈夫とはもちろん体調のことである。
 こんだけ上がり下りをしていたら、もしかしたらさっきは元気でも今は分からないかもしれないからな。

 「じゃあ行くか」

 俺は扉を開く。

 そこには羊、蛇、ライオンの姿をしたキマイラがいた。
 ……これは結構やるかもな。
 とりあえず、先制攻撃としてガルバドメスで攻撃してみる。もちろん水の魔弾で。
すると、

 「「「ギャアアアアアアッッ!!」」」

 キマイラの首全員が叫ぶと、魔弾はボロボロに溶けてなくなった。

 「……これは面倒だな」

 叫び声に腐敗、もしくは魔弾自体が融解した感じか?
 それでも不用意には近づきたくない。

 「どうするのこれ!」

 「分からん。とりあえず攻めるしかないな」

 あの厄介な能力がないんだったら直接攻めに行っても良いんだけど……。
 投擲は大丈夫か?もしトルリオンがダメになったら、俺結構ショックだぞ。
 ……まあ、今はそれしか手は無いようだしやるか!

  「せいっ!!」

 俺は全力で投げる。
 トルリオンはキマイラの直線上を飛んでいく。
 今回も余裕で止められると思ったのか、なかなか叫ばない。
 そして直前になって叫んだ。
 だけどそこは神剣。
 ボロボロになることなくキマイラの体を貫通させた。

 「ほっ……」

 いやー、今のはすごいホッとしたな。
 ここでトルリオンがボロボロにされていたらそれこそ、メテオでドーン!とやるしかなかったと思う。
 思わず声が出ちゃったぜ!
 だけど貫通させただけじゃ流石に死ぬことはなかったのか。

 「「「グギャアアアアアアアッッ!!」」」

 と悲鳴を上げながらも、体は再生してきている。
 悲鳴には融解効果は無いのか、ガルバドメスの弾も通った。

 「フヒヒッ」

 ここから先は俺の永遠ターンだぜ!
 俺はそう思い、悲鳴を上げているキマイラに向かって水の魔弾を連射しまくる。
 キマイラはさらに悲鳴を上げていく。
 悲鳴の効果が無いと、魔弾は止まることなくキマイラの体を貫通していく。
 俺は100発ほど打ち終わったところでようやくキマイラを倒すことが出来た。
 ……やっぱりこれはガルバドメスだけじゃなくてアサルトライフルとか、1発の威力に秀でているショットガンとかを作るしかないな。
 ガルバドメスだけじゃ面倒くさい。雑魚敵排除には便利だけど。

 「終わったの?」

 「ああ、今回はトルリオン1発で死ななかったのは初めてだな」

 「ふぅーん。やっぱり強かったんだね」

 「そりゃあな。並大抵の攻撃をやったとしてもすぐに回復されちまう」

 「……それは面倒くさいね」

 「だろ!」

 俺がどれだけガルバドメスを撃ったか。
 指が疲れたわ!
 まあ、それでもこいつは倒すことが出来たんだけどな。

 「ご主人様、アイテム集め終わったよ!」

 ナイスエル!面倒くさいことを率先してやってくれるのは流石だな。
 じゃあエルのおかげでほぼノータイムで行けるな。
 そして俺たちは現れた扉のその奥に向かうのだった。

 それからの階層は特に変わったことはなく、俺のメテオからの飛翔でどんどん進んでいった。
 
 そして90階層。
 扉を開くとそこには何もなかった。
 ボス部屋なのに誰もいないってどういうことなんだ?
 
 「もしかしたら氷の分身の時みたいなのかもしれないから少し下がって待っててくれ」
 
 俺はそう言い、みんなが少し下がったのを確認してから前に進む。
 すると、そこには物体ではなく、気体が現れた。  
 そう、竜巻である。

 「クソッ!こんなのどう倒せばいいって言うんだよ!」
 
 俺は剣できれない奴には対処の仕方は分からないぞ!
 これは検索ツールさんの出番だな!

 〈スキル検索開始……合致スキル2件。表示します〉

 そこには〈消失〉と〈水魔法〉フォーエバーアイスの二つがあった。
 これは見てる暇ない!
 そう思った俺は消失には若干の恐怖を感じたからフォーエバーアイスの方をやってみる事にした。

 「〈水魔法〉フォーエバーアイス!」

 俺はそう唱えると、俺の体より前は絶対零度並みに温度が下がり、物体を持たない竜巻も凍った。
 これはいける!そう思った俺はトルリオンで思いっきり斬りつけた。

 「はあっ!」

 すると、倒すことが出来たのか巨大にあった竜巻が粉々に粉砕し、そこにはドロップアイテムが落ちていた。

 「寒い!」

 たしかにクソ寒い。
 俺より後ろはまだましなものの、前に行くとエゲツないぐらいに寒い。
 これはさっさと行かないとな。
 そう思った俺たちは扉に向けて一斉に走り出した。
 こうして俺たちは物体を持たない敵にも勝利することが出来た。

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