鬼の彼女と不思議なお話

Axsl

0.5話プロローグ

ちょっと暖かくなってきた5月の昼過ぎ、私は一年生の廊下を歩ている。確か彼は一年二組の教室にいるはずだ。
「うーんそれにしても…」
なぜかみんなの視線を感じる。確かに二年生が一年生の廊下を歩いているのは珍しいけどそんな見るかな?そんなことを思いながら一年二組の教室を探す。
「あれって…」
「うんあの美人の…」
そんな会話が聞こえる。どこかに入学したそばから噂になるほどの美人がいるのだろうか?そうだとしたら一度見てみたいなぁ。周りの視線をよそにそんなことを考える去年のミス庄山はキョロキョロとお目当ての教室を探す。
「あ、あった」
そして彼女は見つけた教室に向かって一直線に向かっていく。扉を開けると一気に視線が集まるのを感じた。え?そんなに目立つこれ?不思議に思いながらも躊躇なく要件を言い放つ。
藤村真人ふじむらまさと君居る?」
その一言を放った瞬間教室が急に騒めく。
「え?真人君何したの!?」
「なんで真人が…」
そんな疑問や嫉妬のようなもの。さらには妬みまでも感じる。なぜそんな騒がしくなるのかわからないがいずれにしろ要件があるのは藤村真人だけなのだ。しかしなかなか呼んだ本人は出てこない。仕方がないので近くの人に聞いてみることにした。
「ねぇ。藤村真人君って知らない?」
近くにいた女子にそう話しかける。その子は背は自分より少し高いかなってくらいでそれほど目立ったタイプじゃないように見える。
「え。えーっと」
そういい教室を見回すと何かを見つけたようにあ、と言いすぐこちらに向き直る。
「あそこにいるのが藤村君です」
彼女が指さしたほうを見るとなんでおれ?と混乱した顔をした彼を見つけた。そりゃそうだ。あの事を知られているとは露にも思っていないだろう。そう考えると少し優越感を感じる。彼のほうに歩いていくと何かをあきらめたような顔になった。そうだ。あきらめろ。私は君の秘密を知っているのだ。そう言いたくなるのを抑えて彼に話しかける。
「放課後、話があるの。ちょっとここまで来てくれる?」
そういって集合場所が書いてある紙を手渡す。するとまた教室が騒がしくなった。
「え?これってまさか!」
「なんでこいつなんかに」 
今度は疑問は薄れ代わりに興味や更に大きくなった嫉妬、妬み、怨嗟まで聞こえる。紙を渡された本人は何のことだかわからない様子でキョトンとしている。しかしもうここにいる理由もなくなったのでこの教室から出ようと踵を返す。
「忘れずに絶対来てね。」
そう言い残して。教室から出て行ったとたんさらに一年二組の教室が騒がしくなった。なんだ私のことで騒いでたのではなかったんだ。ちょっと自意識過剰かな。そう思うと少しだけ恥ずかしくなってしまった。

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