世界再生記

高木礼六

プロローグ

俺の名前は天田統あまたすべる。この町にある高校に在学中の、至って普通の高校生だ。

容姿はまあまあ、他の人と比べればそれなりに整っている方だとは思う。

勉強はそれなりだ。ペンを握らせれば学年で中の中、至って凡才、ま、勉強はしていないのだから当たり前なのだけれども。

だが、運動に関しては確固たる自信がある。何をやらせても軽くこなしてしまうだけの技量はある。

野球をすれば、エース並のストレートは投げれるし、四番と同じぐらいの距離は飛ばせる。

サッカーをすれば、部員顔負けの巧みなフェイントで鮮やかにかわし、綺麗な弧を描いて絶妙なコースにシュートを決めれる。

だが、俺の本当にすごいのはこれ、弓道だ。


この高校の弓道部は強豪なのだけれども、その中でも俺だけは別格、弓道の全国大会で華々しく優勝、それも参加するたびに連続で。

狙った的は決してはずさない、殆どが十点の黄色部分を射抜いてきた。

その終始一貫衰えない厳格かつ威厳溢れる佇まいから、皆は俺の事を神童と呼んでいる、恥ずかしいからやめてほしいけど。


そんなスポーツ万能な俺なのだけれども、どうしたことか、意図しないところで意図していないものを射抜いてしまったようだ。


「俺にもついにこの時が来てしまったのか、くー、この手紙一枚で俺の人生が薔薇色に染まったぜー!」


統は軽いフットワークで目的地へと向かっていった。
その手に持つのは一枚の手紙だ。
可愛らしいピンクの模様にウサギの柄なんかまでついている。
中身は既に読んだ。完璧なる恋文だった、少なくとも統の中では。


ー放課後に、屋上で待ってますー


ただそれだけだった。外面だけじゃなく、字までも丸く、可愛らしい。


だけれども統は年頃の高校生、こんなベタなやり方が本当に存在するのか、怪しさも覚えるはず。

本当にこれは好意を寄せている相手からなのか、もしかしたら、俺をからかうためだけの、いたずらなんじゃないのか、男からなんじゃないのか、そういう考えが少しは過るはず。


そこで発生するのが童貞問題だ。 

統は彼女いない歴=年齢、はじめてのラブレターに舞い上がってしまい、そんなこと微塵も想像できなかった。

だから、何の疑いもなく、屋上にいってしまった。

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