浮遊図書館の魔王様

るーるー

第119話 まどろっこしくなりました

「お疲れ様〜 紙魔法ペーパークラフト凄いね〜」


 汗をかきながら戻ってきたビリアラに労いの言葉をかける。
 ビリアラは無表情のままぺこりと軽く頭を下げる。でも尻尾は褒められて嬉しいのか凄くブンブンと千切れんばかりに左右に揺れていた。


『では三回戦ですが……』
「もうまどろっこしいです」


 ウサギが実況を続けようとしたところを女神ラヴリが遮った。


「これ以上見世物になるのはゴメンですし、三点分をかけてやりませんこと?」


 ラヴリがこちら、主にわたしを見ながら言ってくる。ふむ、確かに一回でやったほうがわたしの読書の時間が確保できるしね。


「のりましょう。その提案」
「え、レキが答えちゃうの?」


 わたしが考えている間にレキが勝手に答えちゃったし。よっぽど戦いたかったんだろうね。観戦中もやたらと剣をカチカチとさしてたし、それに横のアルもめっちゃやる気だしてるね。


「……まぁ、浮遊図書館こちらは問題ないよ? でも、そっちはあと二人しかいないんじゃないの?」
「ええ、ですからタルメアの勇者である武蔵丸を出してもよろしいですか?」


 横を見なくてもきっとレキは凄く笑顔というか好戦的な顔をしてるんだろうな〜 武蔵丸と戦いたがってたし。


「はぁ、いいよ。それで」
「それは嬉しいぴょん!」
「ふふん! 武蔵丸! 後悔さしてあげるのよ!」


 小さくため息をつきながら了承すると武蔵丸とタルメアが嬉しそうな声を上げる。


「なら私からはアイリスの出番よね〜」
「うむ、女神はドンと本でも読んでるんじゃな!」


 のほほんとした知識の女神カナデとその勇者である魔女のような服装をアイリスがリングに上がってきた。


わたくしからわたくしの勇者であるゼシカが出ます」
「御身の望みのままに」


 愛情の女神ラヴリが宣言するといつの間に姿を現したのかラヴリの傍に黒ずくめの男が膝を付き頭を下げていた。


「こちらはこの三人で相手よ。そちらはだれが出るのかしら?」


 そんなの浮遊図書館で一番好戦的な奴らに決まってるじゃないか。


「レキ、切っていいよ」
「はい♡」


 レキが満面の笑みを浮かべながらリングに上がる。そろそろ戦わしとかないと爆発しそうだし。


「オレ! オレもでる!」


 アルが身を乗り出しながら手を上げてくる。好戦的すぎる。


「ダメー」
「なんでだよ!」


 アルの意見を却下するとアルは文字通りわたしの腕に噛み付いてきた。結界があるから痛くないけどね。


「だってアルはマーテと出たじゃない」
「あれはサポートじゃん!」
「一回は一回だよ」
「むー」


 納得いかないとばかりにアルは頬を膨らまし、座り込む。拗ねたのかブツブツと何から言ってるし。


「じゃが、レクレ、アルがでないとなると誰がでるんじゃ?」


 ベアトリスが疑問符を浮かべながら訪ねてきた。ふふふ、安心したまえ、ちゃんと考えてるよ。


「ユール、真紅一号dd暴れたくない?」
「いいんですか?」


 ユールが楽しそうな声を上げながら横に控えさしていた真紅一号を見上げていた。


「そちらの三人は決まったようですね。ウサギ!」


 こちらを眺めていたラヴリがリングニに上がる三人が決まったと同時に話しかけてき、次いでウサギに向かい声をかける。
 進行の役目を奪われていたウサギはリングの上でいじけていたが声をかけられた瞬間、仮面越しでも判るくらいに瞳を輝かしていた。進行奪われてどんだけショック受けてたんだよ。


『それでは女神サイド!、戦いに出るのは女神タルメアの勇者、武蔵丸! 女神カナデの勇者、アイリス! め女神ラヴリの勇者、ゼシカだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
『ワァァァァァァァァァ!!!』


 割れんばかりの歓声のと言わんばかりの音量が観客席から響き渡った。観客も暇なんだな~


『続きまして~ 浮遊図書館サイド~ 魔王レクレ! その従者レキ! 宰相ユールだぁぁぁぁぁ!』
『わぁぁ!』


 あれ、女神たちの時より歓声少なくない?


『以上の六名によるライブラリ全体を使っての戦いになります』
「また範囲でが広いな~ リング意味ないじゃん」
『それでは戦いのはじまりだぁぁぁぁぁぁぁ!』


 わたしの独白を無視して、ウサギは戦闘開始を告げたのだった。

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