天白家の日常(連載版)
結果もやっぱり収束する
全ての道はローマに通ずという言葉がある。
この言葉の意味は、目的までの手段や方法は、何通りもあることのたとえだ。
つまり、道は幾つもあるが結果は同じところに収束する、という意味でも捉えることができるのではないだろうか?
つまり、
「全ての道はバカも通る」
「最近、使郎が何をいってるのかわからなくなる時があるわ。病気?」
隣を歩く然が何故か心配そうな目を向けてくる。やめろ、なんかお前の憐れんだような瞳は僕の精神力をけずるんだよ。
「いや、病気じゃないよ。というかローマなんだよ! ローマ!」
「本当に病気じゃないの?」
「ちがうよ! つまり道を歩いて行けばローマに行けるんだよ」
「パスポートがないから不法入国ね」
「夢の海外旅行!」
「忍術が使えないから水の上を歩くのは無理じゃないかしら」
「お前! 夢がないな!」
「……いえ、使郎が何時もよりおかしいだけよ」
ああ、わかってる。よくわかってるさ。いつもとテンションが違うことくらいよくわかってるさ。
明日からは夏休み。みんな嫌でもテンションが上がる。そう、鞄に入ってるこいつ。
「通知表さえなければな!」
「また低かったの? 小遣い減らされるわよ」
我が天白家の小遣いは通知表の結果に左右される。つまり1年間に3回のチャンスがあるわけだ。逆にいうと3回小遣いが下がる可能性もあるわけだが……
「……然はどうだったんだよ」
「大体、3、4よ。たまに5があったわ」
 
……然さん、それは10段階評価の5ですか?
「普通に考えなさい。私達の学校は5段階評価よ」
5とか見たことないよ!
「使郎のはまたアヒルの行列なの?」
「どうせ2ばっかりだよ!」
ほとんどアヒルが行列してるし。4とか5とか激レアだよ。
「ま、まぁ、勉強なんて社会に出たら必要ないしな」
「少なくとも因数分解とかは使わないと思うわ」
「だろ⁉︎ つまり成績悪くても常識人ならば社会では生きていけると思うだよ」
「そこは否定するわ」
まさかの否定が入りました。
「使郎が常識人ということを私は否定するわ!」
「なんでそこだけ自信満々と言うか力強く言うんだよ!」
「使郎が常識人だなんて神が認めても私が認めないわ」
「そこまでかよ!」
仲間内では唯一の常識人である僕が神からも認められないなんてこの世に神はいない!
というかなんで僕はこんなにけなされなければならないんだよ!
「ところで使郎、話は360度変わるけど、私も言いたいことがあるわ」
360度回ったら話が元に戻ってしまうんだがな。
「なんだよ」
「さっきローマ云々を話してたけど、今帰ってるのは家なわけよね?」
「そうだな」
「ローマの話を引用するなら、どんなに言い訳を並べていても最終的に家に帰るという結果になるわよね」
「そうだよね」
どんなに言い訳しても家ってのは近づいてくる。
通知表をもらった瞬間、それは僕の小遣いが減らされるののカウントダウンだったのだろう。
通知表は家と通ず。
天白家は今日も平和です。(小遣いピンチ)
この言葉の意味は、目的までの手段や方法は、何通りもあることのたとえだ。
つまり、道は幾つもあるが結果は同じところに収束する、という意味でも捉えることができるのではないだろうか?
つまり、
「全ての道はバカも通る」
「最近、使郎が何をいってるのかわからなくなる時があるわ。病気?」
隣を歩く然が何故か心配そうな目を向けてくる。やめろ、なんかお前の憐れんだような瞳は僕の精神力をけずるんだよ。
「いや、病気じゃないよ。というかローマなんだよ! ローマ!」
「本当に病気じゃないの?」
「ちがうよ! つまり道を歩いて行けばローマに行けるんだよ」
「パスポートがないから不法入国ね」
「夢の海外旅行!」
「忍術が使えないから水の上を歩くのは無理じゃないかしら」
「お前! 夢がないな!」
「……いえ、使郎が何時もよりおかしいだけよ」
ああ、わかってる。よくわかってるさ。いつもとテンションが違うことくらいよくわかってるさ。
明日からは夏休み。みんな嫌でもテンションが上がる。そう、鞄に入ってるこいつ。
「通知表さえなければな!」
「また低かったの? 小遣い減らされるわよ」
我が天白家の小遣いは通知表の結果に左右される。つまり1年間に3回のチャンスがあるわけだ。逆にいうと3回小遣いが下がる可能性もあるわけだが……
「……然はどうだったんだよ」
「大体、3、4よ。たまに5があったわ」
 
……然さん、それは10段階評価の5ですか?
「普通に考えなさい。私達の学校は5段階評価よ」
5とか見たことないよ!
「使郎のはまたアヒルの行列なの?」
「どうせ2ばっかりだよ!」
ほとんどアヒルが行列してるし。4とか5とか激レアだよ。
「ま、まぁ、勉強なんて社会に出たら必要ないしな」
「少なくとも因数分解とかは使わないと思うわ」
「だろ⁉︎ つまり成績悪くても常識人ならば社会では生きていけると思うだよ」
「そこは否定するわ」
まさかの否定が入りました。
「使郎が常識人ということを私は否定するわ!」
「なんでそこだけ自信満々と言うか力強く言うんだよ!」
「使郎が常識人だなんて神が認めても私が認めないわ」
「そこまでかよ!」
仲間内では唯一の常識人である僕が神からも認められないなんてこの世に神はいない!
というかなんで僕はこんなにけなされなければならないんだよ!
「ところで使郎、話は360度変わるけど、私も言いたいことがあるわ」
360度回ったら話が元に戻ってしまうんだがな。
「なんだよ」
「さっきローマ云々を話してたけど、今帰ってるのは家なわけよね?」
「そうだな」
「ローマの話を引用するなら、どんなに言い訳を並べていても最終的に家に帰るという結果になるわよね」
「そうだよね」
どんなに言い訳しても家ってのは近づいてくる。
通知表をもらった瞬間、それは僕の小遣いが減らされるののカウントダウンだったのだろう。
通知表は家と通ず。
天白家は今日も平和です。(小遣いピンチ)
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