床ぺろリスト! 魔法? 一発しか撃てませんが?
ぶつかり合い
「てりゃぁぁぁぁぁ!」
「ぬがぁぁぁぁぁ!」
魔法使いとは思えないような雄叫びを上げながら闘技場で二人が拳と短杖でどつきあう。どちらも小さくない傷を負い、血を流しているのだがそれがどうしたと言わんばかりに攻撃の手は緩まない。そこに仲間だからとかそういった手心は一切存在しない。
「らちがあかないわね」
口元の血を乱暴に拭いつつサブリナがイラつくようにつぶやく。
「とっと倒れろ、チビ」
同じように流れる血を拭いながらネイトがサブリナを挑発する。いや、挑発とも言えない幼稚なものであるが。
「ち、チビっていうなぁぁぁ!」
コンプレックスを刺激されたサブリナは容易くそれに乗せられ再び砲弾のような速度でネイトへと突っ込み、がむしゃらに拳打を繰り出していく。
「大気に蒼なる力よ」
拳を繰り出しながらサブリナは自身の魔法のイメージを形作るために詠唱を開始する。
「その力を持って我が眼前に立ちふさがる」
サブリナが杖ではなく指輪を触媒にしているのは自身の近接攻撃と組み合わせるためである。なにせ使えるのは一発。しかし、最上級の魔法である。使えば倒れる魔法であるが当たれば敵も必ず消し飛ばす。まさしく一撃必殺の魔法。それを自身の体の小ささを武器にし格闘で殴りつけた時に回避不可能の一撃を繰り出す。それこそが彼女の本来の戦い方である。
「我、幻想を持って最強を作りし」
そしてネイトもまた自身の魔法のイメージを創るべくして詠唱を始める。
「白き幻想を持って我が障害を討ち滅ぼせ」
サブリナの指輪に練り上げられた魔力が集まる。そしてネイトも詠唱を開始すると同時に足元に巨大な魔法陣が展開されていく。
それを見たサブリナが焦ったように拳を繰り出し、限界まで魔力の籠った指をネイトへと叩きつける、がネイトはそれを短杖で受け止める。
「ち! 敵を斬り裂け!吹き荒れる暴風の刃!」
「我が願いを叶えよ! 召喚! フランガルハ!」
詠唱を終えるのは同時。
サブリナは指輪を介し魔法を発動。不可視の風の刃がネイトをバラバラ死体にするべく牙を剥く。
対してネイトも短杖で魔法を発動。ただし、杖から魔法を放つわけではなく足元に敷かれた巨大な魔法陣がそれに応えた。
吹き荒れる暴風が放たれネイトに牙を剥くその瞬間、不可視の狂刃は突如として現れた翠の巨大な腕に突き刺さり切り刻んでいくが現れた翠の腕は健在だった。
「ちっ! 間に合わなかった!」
未だ吹き荒れる暴風を発動しているサブリナは毒づきながらも荒れ狂う暴風を巧みに操り、ネイトへと風の刃を疾らせる。普段は攻撃力を重視して一瞬で魔力使い切るのだが魔力をある程度制御へと回すことで少しの時間だけ操ることができるのだ。
「VAAAAAAAAAA!」
魔法陣からの咆哮だけで威力不足の吹き荒れる暴風はけし飛ばされ、さらにもう一本の翠の腕が現れ、さらには巨大な顎が姿を表す。
「ほぅ! 召喚術! それも古の竜、いや、龍か!」
召喚の魔法陣を食い破り姿を現した巨大な龍を見てアトワントが興奮したような声を上げる。
巨大な翠の龍の頭の上にはネイトが力尽きたように倒れているのだが、サブリナは無視して魔法のカバンに手を突っ込みひたすらにポーションを飲んでいた。
「ふ、ふふふ! マジックポーションを飲んだ私はまだ倒れないわよ!」
魔力を回復するマジックポーションはかなり高価なものであり、また店にそうそう並ばない貴重品なので私闘で使うならば明らかに赤字であるがネイトしか目に入っていない単純なサブリナはすでに目の前の龍をぶっ飛ばすことしか頭にないようだ。
「さぁ、くたばれトカゲ野郎!」
先ほどよりも膨大な魔力を練り上げ、圧倒的なまでの風の魔力を作り上げたサブリナはそれを指輪へと注ぎ込んでいく。
それを見たファラは危険を感じ取り魔法のカバンから守護の魔法が込められた指輪を取り出すと指にはめる。
「吹き荒れる暴風!」
先ほどよりも太く、さらに鋭さを増した風の刃がネイトの召喚した龍フランガルハへと迫る。
「フ、フランガルハよ…… 臆せず受けて立つのだ」
召喚で完全に魔力を使い切ったネイトの弱々しい声を受けて? 再びフランガルハが咆哮を放つが吹き荒れる暴風は微塵も威力を落とさず、周囲の空間を斬り伏せながら直進していく。
フランガルハも並の一撃ではないと気づいたのか口腔内に眩いばかりの光を灯し、
「VAAAAAAAAAA!」
咆哮と共にそれを吐き出した。
吐き出した光は龍のブレス。龍特有の凝縮された魔力を破壊の力に変換された死の閃光である。
「うぉい⁉︎ 人の家でなんてもんを吐き出すんじゃ⁉︎」
アトワントが手に持っていた杯を落とすほどに驚愕、横に控えていたフリードも膝を抱えて座り込んでいたポメラも畏怖の表情に変わり二人で幾重にも防御の魔法を編み込んでいく。
片や限界以上の魔力が注ぎ込まれた人類の作り出した最上級魔法、片や天災とも伝えられる龍のブレス。
「しぃぃぃぃぃねぇぇぇぇぇぇぇ!」
「VAAAAAAAAAAAAAAA!」
激突すればどうなるかわからない魔力の塊が今、ぶつかり合った。
「ぬがぁぁぁぁぁ!」
魔法使いとは思えないような雄叫びを上げながら闘技場で二人が拳と短杖でどつきあう。どちらも小さくない傷を負い、血を流しているのだがそれがどうしたと言わんばかりに攻撃の手は緩まない。そこに仲間だからとかそういった手心は一切存在しない。
「らちがあかないわね」
口元の血を乱暴に拭いつつサブリナがイラつくようにつぶやく。
「とっと倒れろ、チビ」
同じように流れる血を拭いながらネイトがサブリナを挑発する。いや、挑発とも言えない幼稚なものであるが。
「ち、チビっていうなぁぁぁ!」
コンプレックスを刺激されたサブリナは容易くそれに乗せられ再び砲弾のような速度でネイトへと突っ込み、がむしゃらに拳打を繰り出していく。
「大気に蒼なる力よ」
拳を繰り出しながらサブリナは自身の魔法のイメージを形作るために詠唱を開始する。
「その力を持って我が眼前に立ちふさがる」
サブリナが杖ではなく指輪を触媒にしているのは自身の近接攻撃と組み合わせるためである。なにせ使えるのは一発。しかし、最上級の魔法である。使えば倒れる魔法であるが当たれば敵も必ず消し飛ばす。まさしく一撃必殺の魔法。それを自身の体の小ささを武器にし格闘で殴りつけた時に回避不可能の一撃を繰り出す。それこそが彼女の本来の戦い方である。
「我、幻想を持って最強を作りし」
そしてネイトもまた自身の魔法のイメージを創るべくして詠唱を始める。
「白き幻想を持って我が障害を討ち滅ぼせ」
サブリナの指輪に練り上げられた魔力が集まる。そしてネイトも詠唱を開始すると同時に足元に巨大な魔法陣が展開されていく。
それを見たサブリナが焦ったように拳を繰り出し、限界まで魔力の籠った指をネイトへと叩きつける、がネイトはそれを短杖で受け止める。
「ち! 敵を斬り裂け!吹き荒れる暴風の刃!」
「我が願いを叶えよ! 召喚! フランガルハ!」
詠唱を終えるのは同時。
サブリナは指輪を介し魔法を発動。不可視の風の刃がネイトをバラバラ死体にするべく牙を剥く。
対してネイトも短杖で魔法を発動。ただし、杖から魔法を放つわけではなく足元に敷かれた巨大な魔法陣がそれに応えた。
吹き荒れる暴風が放たれネイトに牙を剥くその瞬間、不可視の狂刃は突如として現れた翠の巨大な腕に突き刺さり切り刻んでいくが現れた翠の腕は健在だった。
「ちっ! 間に合わなかった!」
未だ吹き荒れる暴風を発動しているサブリナは毒づきながらも荒れ狂う暴風を巧みに操り、ネイトへと風の刃を疾らせる。普段は攻撃力を重視して一瞬で魔力使い切るのだが魔力をある程度制御へと回すことで少しの時間だけ操ることができるのだ。
「VAAAAAAAAAA!」
魔法陣からの咆哮だけで威力不足の吹き荒れる暴風はけし飛ばされ、さらにもう一本の翠の腕が現れ、さらには巨大な顎が姿を表す。
「ほぅ! 召喚術! それも古の竜、いや、龍か!」
召喚の魔法陣を食い破り姿を現した巨大な龍を見てアトワントが興奮したような声を上げる。
巨大な翠の龍の頭の上にはネイトが力尽きたように倒れているのだが、サブリナは無視して魔法のカバンに手を突っ込みひたすらにポーションを飲んでいた。
「ふ、ふふふ! マジックポーションを飲んだ私はまだ倒れないわよ!」
魔力を回復するマジックポーションはかなり高価なものであり、また店にそうそう並ばない貴重品なので私闘で使うならば明らかに赤字であるがネイトしか目に入っていない単純なサブリナはすでに目の前の龍をぶっ飛ばすことしか頭にないようだ。
「さぁ、くたばれトカゲ野郎!」
先ほどよりも膨大な魔力を練り上げ、圧倒的なまでの風の魔力を作り上げたサブリナはそれを指輪へと注ぎ込んでいく。
それを見たファラは危険を感じ取り魔法のカバンから守護の魔法が込められた指輪を取り出すと指にはめる。
「吹き荒れる暴風!」
先ほどよりも太く、さらに鋭さを増した風の刃がネイトの召喚した龍フランガルハへと迫る。
「フ、フランガルハよ…… 臆せず受けて立つのだ」
召喚で完全に魔力を使い切ったネイトの弱々しい声を受けて? 再びフランガルハが咆哮を放つが吹き荒れる暴風は微塵も威力を落とさず、周囲の空間を斬り伏せながら直進していく。
フランガルハも並の一撃ではないと気づいたのか口腔内に眩いばかりの光を灯し、
「VAAAAAAAAAA!」
咆哮と共にそれを吐き出した。
吐き出した光は龍のブレス。龍特有の凝縮された魔力を破壊の力に変換された死の閃光である。
「うぉい⁉︎ 人の家でなんてもんを吐き出すんじゃ⁉︎」
アトワントが手に持っていた杯を落とすほどに驚愕、横に控えていたフリードも膝を抱えて座り込んでいたポメラも畏怖の表情に変わり二人で幾重にも防御の魔法を編み込んでいく。
片や限界以上の魔力が注ぎ込まれた人類の作り出した最上級魔法、片や天災とも伝えられる龍のブレス。
「しぃぃぃぃぃねぇぇぇぇぇぇぇ!」
「VAAAAAAAAAAAAAAA!」
激突すればどうなるかわからない魔力の塊が今、ぶつかり合った。
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