床ぺろリスト! 魔法? 一発しか撃てませんが?
完璧の中の完璧
「いくわよ!」
「はぁ」
「憎々しい怨敵たる太陽め、我を照らすとは……」
朝早くにテンションが高いサブリナと比べ髪はぼさぼさでやる気のないファラ、そして憎々しげに太陽を睨む目元に隈を作っているネイトの三人が迷宮都市カーディナスの門に集まっていた。
「なんで一人で行かないの? 僕、今日は休みなんだけど」
欠伸を噛みしめるようにきながらファラがつぶやく。
毎日勤勉に働いているファラは一週間のうちに大体二日ほど休みを取っている。
そして今日はその休みの日であったのだが朝からサブリナに叩き起こされ、そこで殴り合いになったのだ。女性が朝方に行う行為としては野蛮極まりないだろう。
「友達でしょ⁉︎」
「前から思ってたけどねサブリナ、君、友達を便利屋かなにかと勘違いしてないかい?」
大きくため息をつきながらも帰ろうとしないファラ。なんだかんだで付き合いがいいのである。
「ネイトも付いてきてくれるわよね!」
「報酬はきっちり三等分だぞ?」
しっかりと報酬の話を先に持ってくるネイト。そんなネイトの発言にサブリナ軽く舌打ちをして答える。どうやら報酬を独り占めする予定だったようだ。
「どうでもいいよ。さっさと行くよ」
再度欠伸をし口を大きく開けたファラが催促するとサブリナが胸を張る。
「よし、カルーバ村まで頼まれてた物を運ぶわよ!」
運搬といってもそこは魔法使い。荷馬車などを使わなくとも品物は全てサブリナの魔法のカバンの中へと収まっている。
魔法のカバンは元来一人前の魔法使いになるための最終試験と呼ばれるアイテムであり、ファラ、ネイト、サブリナの三人は魔法使いの師匠から許可され自身で作成したものである。最終試験と言われるだけのことはあり作る難易度は高くない、さらには中に収納できる量は作り上げた魔法使いに魔力量、技量によって異なるのだが今回の依頼である百リットル分の飲みものを収納しているサブリナはとても性格と使う魔法はどうあれとても優秀な魔法使いと言えるであろう。
そう言い放つとサブリナは勢いよく歩き出した。が、すぐにファラ、ネイトの二人は足を止める。
ネイトとファラはすぐにサブリナが歩きだしていたのに気付いていたがすでに歩みを止めているが、サブリナは気づくことなく歩き続けていた。
「ねぇ、ネイト。サブリナがいつ気づくか賭けない?」
「うむ、あの大木までであろうな」
「なら僕はね……」
挙句賭けまで始める始末である。
サブリナにさきほど言った友達の意味はどうやらこの二人にも別の意味で使われているようだ。
「あ、振り返った」
「ち、あともう少しであったというのに」
ネイトの指差した大木まであと少しというところでなにかの異変に気付いたのか誰もいない後ろへとサブリナは振り返っていた。
振り返ったサブリナが後ろに二人がいないことに気づきわたわたと慌てた様子でファラ達の方へと走り寄ってきた。
「ちょっと! なんで付いてこないのよ!」
「いやだってねぇ」
「うむ」
憤るサブリナに対して二人は顔を見合わせ、ある方向を指差す。
『カルーバ村はサブリナが向かってた方向とは真逆だから』
ファラとネイトが告げた真実にサブリナは言葉にならないかのように口を開閉さしている。
「わ、わかってたなら早く言ってくれればいいじゃない!」
「え? そんなことしたら僕が賭けに負けちゃうじゃない?」
ファラが催促するようにして手を出し、その上にネイトが渋々といった様子で金貨を乗せているところであった。
「か、賭けまで⁉︎」
「サブリナは方向音痴だからね。いっそ首輪でもつける?」
ファラが魔法のカバンから取り出したのは犬などに使うような首輪だった。それを取り出したのはファラの瞳はキラキラと輝いていてSっ気が全開であった。
「ねぇ! 友達だよね⁉︎ 私達友達だよね⁉︎」
「そうだぞファラ!」
あまりの暴言に泣きそうになるサブリナを見兼ねたかのようにネイトも声を上げる。
「ネイト……」
そんなネイトの姿を見てサブリナは感激したかのような表情となった。
「なんですネイト。なにか文句でもあるんですか?」
少しばかりムスッとした表情を浮かべたファラとネイトの視線が火花を散らすように交錯する。
しかし、ネイトのほうが皮肉げに笑い先に視線を逸らした。
「首輪だけでは完璧ではない! このうさ耳をつけてこそ完璧と言えるだろう」
そう言いネイトが自身の魔法のカバンから取り出したのはうさ耳を模した被り物であった。
「な、なんと!」
「いやいやいや! そんな完璧なんて私は求めてないからね⁉︎」
 
ネイトの手に収まるうさ耳もどきを見たファラは落雷を受けたかのような衝撃を受けているようだった。
「ネイト! 君、冴えてるね!」
「えっ⁉︎」
サブリナがさらに驚いている間にファラは親指を立てネイトに賞賛の意を送る。それに応えるかのようにネイトも同じように親指を立て応えた。
「え、あの…… 私いやなんですけど?」
ジリジリと摺り足でかつ異様な重圧を放ちながら間合いを詰めるようにしてくるファラとネイトにビビるサブリナ。
しかし、覚悟を決めると踵を返し一気に駆け出した。それも全力疾走で。
「あ! 逃げた!」
「むぅ! 逃がすか!うさ耳!」
駆け出したサブリナをファラは首輪と鎖を、ネイトはうさ耳の被り物を手にサブリナを追いかける羽目となった。その方角は奇しくもカルーバ村の方角であった。
「はぁ」
「憎々しい怨敵たる太陽め、我を照らすとは……」
朝早くにテンションが高いサブリナと比べ髪はぼさぼさでやる気のないファラ、そして憎々しげに太陽を睨む目元に隈を作っているネイトの三人が迷宮都市カーディナスの門に集まっていた。
「なんで一人で行かないの? 僕、今日は休みなんだけど」
欠伸を噛みしめるようにきながらファラがつぶやく。
毎日勤勉に働いているファラは一週間のうちに大体二日ほど休みを取っている。
そして今日はその休みの日であったのだが朝からサブリナに叩き起こされ、そこで殴り合いになったのだ。女性が朝方に行う行為としては野蛮極まりないだろう。
「友達でしょ⁉︎」
「前から思ってたけどねサブリナ、君、友達を便利屋かなにかと勘違いしてないかい?」
大きくため息をつきながらも帰ろうとしないファラ。なんだかんだで付き合いがいいのである。
「ネイトも付いてきてくれるわよね!」
「報酬はきっちり三等分だぞ?」
しっかりと報酬の話を先に持ってくるネイト。そんなネイトの発言にサブリナ軽く舌打ちをして答える。どうやら報酬を独り占めする予定だったようだ。
「どうでもいいよ。さっさと行くよ」
再度欠伸をし口を大きく開けたファラが催促するとサブリナが胸を張る。
「よし、カルーバ村まで頼まれてた物を運ぶわよ!」
運搬といってもそこは魔法使い。荷馬車などを使わなくとも品物は全てサブリナの魔法のカバンの中へと収まっている。
魔法のカバンは元来一人前の魔法使いになるための最終試験と呼ばれるアイテムであり、ファラ、ネイト、サブリナの三人は魔法使いの師匠から許可され自身で作成したものである。最終試験と言われるだけのことはあり作る難易度は高くない、さらには中に収納できる量は作り上げた魔法使いに魔力量、技量によって異なるのだが今回の依頼である百リットル分の飲みものを収納しているサブリナはとても性格と使う魔法はどうあれとても優秀な魔法使いと言えるであろう。
そう言い放つとサブリナは勢いよく歩き出した。が、すぐにファラ、ネイトの二人は足を止める。
ネイトとファラはすぐにサブリナが歩きだしていたのに気付いていたがすでに歩みを止めているが、サブリナは気づくことなく歩き続けていた。
「ねぇ、ネイト。サブリナがいつ気づくか賭けない?」
「うむ、あの大木までであろうな」
「なら僕はね……」
挙句賭けまで始める始末である。
サブリナにさきほど言った友達の意味はどうやらこの二人にも別の意味で使われているようだ。
「あ、振り返った」
「ち、あともう少しであったというのに」
ネイトの指差した大木まであと少しというところでなにかの異変に気付いたのか誰もいない後ろへとサブリナは振り返っていた。
振り返ったサブリナが後ろに二人がいないことに気づきわたわたと慌てた様子でファラ達の方へと走り寄ってきた。
「ちょっと! なんで付いてこないのよ!」
「いやだってねぇ」
「うむ」
憤るサブリナに対して二人は顔を見合わせ、ある方向を指差す。
『カルーバ村はサブリナが向かってた方向とは真逆だから』
ファラとネイトが告げた真実にサブリナは言葉にならないかのように口を開閉さしている。
「わ、わかってたなら早く言ってくれればいいじゃない!」
「え? そんなことしたら僕が賭けに負けちゃうじゃない?」
ファラが催促するようにして手を出し、その上にネイトが渋々といった様子で金貨を乗せているところであった。
「か、賭けまで⁉︎」
「サブリナは方向音痴だからね。いっそ首輪でもつける?」
ファラが魔法のカバンから取り出したのは犬などに使うような首輪だった。それを取り出したのはファラの瞳はキラキラと輝いていてSっ気が全開であった。
「ねぇ! 友達だよね⁉︎ 私達友達だよね⁉︎」
「そうだぞファラ!」
あまりの暴言に泣きそうになるサブリナを見兼ねたかのようにネイトも声を上げる。
「ネイト……」
そんなネイトの姿を見てサブリナは感激したかのような表情となった。
「なんですネイト。なにか文句でもあるんですか?」
少しばかりムスッとした表情を浮かべたファラとネイトの視線が火花を散らすように交錯する。
しかし、ネイトのほうが皮肉げに笑い先に視線を逸らした。
「首輪だけでは完璧ではない! このうさ耳をつけてこそ完璧と言えるだろう」
そう言いネイトが自身の魔法のカバンから取り出したのはうさ耳を模した被り物であった。
「な、なんと!」
「いやいやいや! そんな完璧なんて私は求めてないからね⁉︎」
 
ネイトの手に収まるうさ耳もどきを見たファラは落雷を受けたかのような衝撃を受けているようだった。
「ネイト! 君、冴えてるね!」
「えっ⁉︎」
サブリナがさらに驚いている間にファラは親指を立てネイトに賞賛の意を送る。それに応えるかのようにネイトも同じように親指を立て応えた。
「え、あの…… 私いやなんですけど?」
ジリジリと摺り足でかつ異様な重圧を放ちながら間合いを詰めるようにしてくるファラとネイトにビビるサブリナ。
しかし、覚悟を決めると踵を返し一気に駆け出した。それも全力疾走で。
「あ! 逃げた!」
「むぅ! 逃がすか!うさ耳!」
駆け出したサブリナをファラは首輪と鎖を、ネイトはうさ耳の被り物を手にサブリナを追いかける羽目となった。その方角は奇しくもカルーバ村の方角であった。
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