雑食無双ヨルムン
ヨルムン、揺れない
「ふん、だったらさっさと距離を詰めてきたらどうだ?」
どこまでも余裕の面をしおって。今に見ておれよ、若造が! こちらは伊達に長生きはしとらんということを見せつけてくれるわ。
そう心に決めると我はイラつきながらしゃがみこむ。
『おっとぉ、ヨルムンどうしたぁ! もよおしたか! もよおしたのかぁ⁉︎ そんな変態行為を公衆の面前でしていいのかぁぁぁぁぁ!』
「やかましいわ!」
この我の行為をわざわざ説明する声はうざいのう。なにを言ってるかはわからんが凄まじく人を不快にさせるし。しかし、今はその怒りも目の前のバルドルにぶつけてくれるわ!
さて、我がしゃがみこんだのは当然リングである。ではなぜしゃがみこんだか。
それは攻撃するためじゃ。
この闘技場のリングはどうやら平べったい石を幾重にも重ねて作り上げていたようじゃ。それはバルドルに向かい突っ込んだ時に我が踏み砕いたし間違いない。
じゃったらな。
「掴んで放り投げることも可能じゃろう!」
石の継ぎ目に無理やり指を差し込みただ腕力のみで持ち上げる。持ち上げてみるとそれはそこそこ大きな四角い形をしておる。
『なんとぉ⁉︎ ヨルムン、リングの石を持ち上げたぁ! なんたる力ぁ! バルドルの槍を掴み放り投げた時に見せた力はやはり見間違いではなかったようだぁ!』
掴んだ石を頭上に持ち上げたまま体の向きをバルドルの方へと向け笑う。
「確かに我が近づいてもお主をボコるどころか優れた槍の使い手であるお主に可憐な美少女である我がボコられるという未来が見えるんじゃが……」
「なにが言いたい」
我が話している間も油断なくこちらを見ているバルドルじゃが心なしか槍を持つ手に力が入っておるようじゃな。
「簡単じゃよ。近づいてボコられるなら近づかなければいいだけなんじゃからな!」
言うや否や我は手にしていた石版を体を捻りバルドルへと向け、放り投げた。
「ぬ!」
高速で回転しながら飛翔する石版を見たバルドルが目を細めておるが我の予想したとおり槍では受けようとせずに躱す。躱された石版はそのまま飛び続け観客席のある壁に直撃し大いに壁を凹ましくだけ散りおった。
「我の知る限りではな。槍というのはある程度以上の大きさのものには対象できんもんじゃ」
まあ、剣であれなんであれ武器とは対生き物をメインにしておるからのう。決して対物を考えては作られてはおらぬのじゃ。
仮に受けれた手としても武器が壊れるかもしくは使い手が壊れるじゃろうて。
今回のバルドルは確実に後者じゃろう。槍で石版を潰してもおそらくは潰した石版の破片を回避することはできんじゃろうからな。
「では次行くぞ?」
再び石版を引っぺがした我はまた適当に放り投げる。しかも今度は片手に一枚ずつの二枚投げじゃ!
「くっ!」
槍では受けれないことは分かっとるならの。あちらは避けるしかできんわけじゃし。
そんなことは構わずに我はひたすらに石版を投げ続ける。
バルドルはというと槍では受け止めることができないがためにひたすらに避け続けているようじゃがその動きも少しづつじゃが悪くなってきとるし、我が飛ばす石版を躱すのがギリギリになってきとる。
『バルドルどおしたぁ! お前の力はその程度かぁ! 全裸美少女に負ける程度なのかぁ! そしてヨルムン! どうしたぁ! お前の胸はそれだけ動いて微塵も揺れんのかぁぁぁぁぁぁ!』
さらに声が煽っとるのか我を侮辱しとるのかわからんがバルドルにも少しばかり焦りのようなものが見えるのう。
ま、美少女に負けとるから仕方あるまいて!
あとは我が投げた石版の破片のせいじゃの。投げてぶつかるたびにそこいら中に石版がリングに突き刺さったりして確実にバルドルの動きを阻害し始めとる。
「こんなのはどうじゃ?」
なかなか命中せんから少し数を増やしてみた。というのも引っぺがした石版を蹴り砕き石の砲弾としてバルドルに放っただけじゃがな。
「ちっ! なんて馬鹿力だ!」
飛来する石の砲弾をバルドルは槍を駆使して弾きながら悪態をつきよる。
あ、小さくなったら槍でも弾けるんじゃとたな。忘れとったわ。
となると混ぜるか。
次に行うのは片手で掴んだものはそのまま投げる! 反対で掴んだものは蹴り砕くという動きじゃ。
これで壊せないでかい石版と数だけはある石の砲弾が同時に発生するわけじゃからの。
そして我の目論見通りバルドルの当たる確率が高くなった。石版は防げないため回避をとるとそこに物量で押しつぶさんとばかりに石の砲弾が殺到するわけじゃからな。石の砲弾を迎撃しようとすれば今度は石版が飛んでくるもんじゃからまともに防御なんぞ取れるわけがないわけじゃし。
「む、掴むものがなくなったぞ」
調子に乗って投げまくっていたからの、我の周辺にはすでに掴んで投げれる石版の姿が見当たらなくなっておった。
「勝機!」
今まで散々石をぶつけられ体や顔から血を流していたバルドルの瞳が輝き槍を構えるとリングを砕くほどの勢いで我に向かい突っ込んできた。
どこまでも余裕の面をしおって。今に見ておれよ、若造が! こちらは伊達に長生きはしとらんということを見せつけてくれるわ。
そう心に決めると我はイラつきながらしゃがみこむ。
『おっとぉ、ヨルムンどうしたぁ! もよおしたか! もよおしたのかぁ⁉︎ そんな変態行為を公衆の面前でしていいのかぁぁぁぁぁ!』
「やかましいわ!」
この我の行為をわざわざ説明する声はうざいのう。なにを言ってるかはわからんが凄まじく人を不快にさせるし。しかし、今はその怒りも目の前のバルドルにぶつけてくれるわ!
さて、我がしゃがみこんだのは当然リングである。ではなぜしゃがみこんだか。
それは攻撃するためじゃ。
この闘技場のリングはどうやら平べったい石を幾重にも重ねて作り上げていたようじゃ。それはバルドルに向かい突っ込んだ時に我が踏み砕いたし間違いない。
じゃったらな。
「掴んで放り投げることも可能じゃろう!」
石の継ぎ目に無理やり指を差し込みただ腕力のみで持ち上げる。持ち上げてみるとそれはそこそこ大きな四角い形をしておる。
『なんとぉ⁉︎ ヨルムン、リングの石を持ち上げたぁ! なんたる力ぁ! バルドルの槍を掴み放り投げた時に見せた力はやはり見間違いではなかったようだぁ!』
掴んだ石を頭上に持ち上げたまま体の向きをバルドルの方へと向け笑う。
「確かに我が近づいてもお主をボコるどころか優れた槍の使い手であるお主に可憐な美少女である我がボコられるという未来が見えるんじゃが……」
「なにが言いたい」
我が話している間も油断なくこちらを見ているバルドルじゃが心なしか槍を持つ手に力が入っておるようじゃな。
「簡単じゃよ。近づいてボコられるなら近づかなければいいだけなんじゃからな!」
言うや否や我は手にしていた石版を体を捻りバルドルへと向け、放り投げた。
「ぬ!」
高速で回転しながら飛翔する石版を見たバルドルが目を細めておるが我の予想したとおり槍では受けようとせずに躱す。躱された石版はそのまま飛び続け観客席のある壁に直撃し大いに壁を凹ましくだけ散りおった。
「我の知る限りではな。槍というのはある程度以上の大きさのものには対象できんもんじゃ」
まあ、剣であれなんであれ武器とは対生き物をメインにしておるからのう。決して対物を考えては作られてはおらぬのじゃ。
仮に受けれた手としても武器が壊れるかもしくは使い手が壊れるじゃろうて。
今回のバルドルは確実に後者じゃろう。槍で石版を潰してもおそらくは潰した石版の破片を回避することはできんじゃろうからな。
「では次行くぞ?」
再び石版を引っぺがした我はまた適当に放り投げる。しかも今度は片手に一枚ずつの二枚投げじゃ!
「くっ!」
槍では受けれないことは分かっとるならの。あちらは避けるしかできんわけじゃし。
そんなことは構わずに我はひたすらに石版を投げ続ける。
バルドルはというと槍では受け止めることができないがためにひたすらに避け続けているようじゃがその動きも少しづつじゃが悪くなってきとるし、我が飛ばす石版を躱すのがギリギリになってきとる。
『バルドルどおしたぁ! お前の力はその程度かぁ! 全裸美少女に負ける程度なのかぁ! そしてヨルムン! どうしたぁ! お前の胸はそれだけ動いて微塵も揺れんのかぁぁぁぁぁぁ!』
さらに声が煽っとるのか我を侮辱しとるのかわからんがバルドルにも少しばかり焦りのようなものが見えるのう。
ま、美少女に負けとるから仕方あるまいて!
あとは我が投げた石版の破片のせいじゃの。投げてぶつかるたびにそこいら中に石版がリングに突き刺さったりして確実にバルドルの動きを阻害し始めとる。
「こんなのはどうじゃ?」
なかなか命中せんから少し数を増やしてみた。というのも引っぺがした石版を蹴り砕き石の砲弾としてバルドルに放っただけじゃがな。
「ちっ! なんて馬鹿力だ!」
飛来する石の砲弾をバルドルは槍を駆使して弾きながら悪態をつきよる。
あ、小さくなったら槍でも弾けるんじゃとたな。忘れとったわ。
となると混ぜるか。
次に行うのは片手で掴んだものはそのまま投げる! 反対で掴んだものは蹴り砕くという動きじゃ。
これで壊せないでかい石版と数だけはある石の砲弾が同時に発生するわけじゃからの。
そして我の目論見通りバルドルの当たる確率が高くなった。石版は防げないため回避をとるとそこに物量で押しつぶさんとばかりに石の砲弾が殺到するわけじゃからな。石の砲弾を迎撃しようとすれば今度は石版が飛んでくるもんじゃからまともに防御なんぞ取れるわけがないわけじゃし。
「む、掴むものがなくなったぞ」
調子に乗って投げまくっていたからの、我の周辺にはすでに掴んで投げれる石版の姿が見当たらなくなっておった。
「勝機!」
今まで散々石をぶつけられ体や顔から血を流していたバルドルの瞳が輝き槍を構えるとリングを砕くほどの勢いで我に向かい突っ込んできた。
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