雑食無双ヨルムン
きずいたら沈んでた
「ボスぅ! あいつが! あの痴女が」
「なんだお前ら、まだ積荷を奪ってねぇのかよ!」
船から姿を現したボスと呼ばれる男はそこらの海賊共よりはるかに大きな体をしており、ガイコツを模した印が入った帽子をかぶっておった。やはりガタイがいいやつがボスと呼ばれるんじゃな。
海賊共がボスと呼ぶ男にすがりつくように欠けていく姿はなんとなく親鳥に餌を貰うような微笑ましさがあるように見えたんじゃが見かけが完全に悪役にしか見えんからのぅ。正直気持ち悪すぎる。
眉をひそめながら見ていたんじゃがその視線に気づいたのかボスと呼ばれてた男がこちらを睨みつけながら背中の大剣を引く抜いておった。
「うちのもんが世話になったそうじゃないか、嬢ちゃん」
「世話? お主バカか? いうことを聞かんからそうなるんじゃよ。昔の言葉でいう自業自得というや……」
言葉を告げている途中で頭な衝撃が走り我の視界からボスと呼ばれていた男が消える。
いや、消えたんじゃなくて我の顔が横に向けさせられているのか。そして何より頭が非常に痛い。
「驚いた。頭を吹き飛ばすつもりで殴ったんだが?」
目だけを動かしてみると我の顔の横には大剣の姿があった。おそらくは一気に間合い詰めて振り抜かれたんじゃろう。我の皮膚は傷ひとつついてはいないんじゃがそれでもなんとなく腹がたつのう。
「我もちょっぴりおどろいたぞ? さっきのやつらは槍で突いただけで腕と槍が壊れよったからの」
我に叩きつけられた大剣は先ほど海賊共が突き刺してきた槍とは違い壊れておらず、さらにはそれをふるったボスも特に負傷をしている様子は見られん。つまりは我だけが痛みを感じるというとてつもなく不愉快な現状というわけじゃ。
「鍛え方が違うんだよ!」
「おぉぉ⁉︎」
止まっていたはずの大剣なさらに力を込めたのか軽々といった感じに我は吹き飛ばされる。
「なんというバカ力なんじゃ」
誰にも聞こえないように呟いていると空と海が交互に上下に変わりながらしばらくすると海水のみが目に入るようになる。
また海の中とか、困るんじゃがな。
しかし、あのボスとやらを倒すのもなんだか手間がかかりそうじゃしのう。楽〜に船に乗りたいんじゃがな。全力を出したら、と言ってもどれくらい力が出るかもわからんし、それにまた痛む気がするし、それはやだしのう。
腕を組みながら考えこんでいると背中が何かにぶつかる。視線を背中のほうへ向けるとどうも一番底まできたようじゃな。
再び上の方を見ると二隻の船が未だに争いを続けているようじゃし。
ん?二隻の船?
海上に浮かぶ二隻の船を見た瞬間に我は閃いた。
それはもう、頭が一瞬にして冴え渡るような感じに。
「べぐににずきのごずびぶゃぶないのゔ」
海中だから水が入ってくるのを忘れておった。喋った際にはいりこんできた海水を飲み込みながら、海底でしっかりと立ち上がる。
そうと決まれば話は早い。
我は先ほど船に向かって飛んだ時と同じ要領で力を足へと込め、飛び跳ねる。どうも我が飛ぶと下にあるのが割れたり潰れたりするんじゃよな。別に壊したいわけじゃないんじゃが。
水中を超高速で浮上していると頭が少し痛かったんじゃが、魚の群れらしきものが眼前に現れたのでとりあえず掴んでおくとしよう。この魚も我の経験値として我が糧となってもらうとしよう。
みるみるうちに海上、ではなく船底が近づいてくるのが見える。
気付いたら簡単なことなんじゃよな。わざわざ相手を倒さんでもいいわけじゃし。相手の流儀で戦う理由なんてないわけじゃよな。だったら、
だったら戦ってる場所を潰しちゃえばいいわけなんじゃよな?
そうしたらわざわざ面倒なことをする必要はないわけじゃしな。
戦ったら負ける気はせんが戦い続けるのも暑苦しいしの。
眼前に迫った船底にぶつかる直前に腕を交差させ頭を守るとそのまま一気に突っ込んだ。
両手に泣きたきなるような衝撃を受け、勢いが少しばかり落ちたが船底を叩き割り、船内へと侵入を果たす。
「登場!」
木片をぶちまけながら船内に入る。さらには我が開けた穴からは海水がはいりこんできたきている。ついでに周りの壁にも拳や蹴りをデタラメにはなちさらに穴を開け、さらに海水を注ぎ込んでやる。しかし、我の跳躍はまだ止まらず、船底にいた海賊共が海水を浴びながらぽかんとした様子で我を見上げている間にさらに天井をぶち壊し上昇してゆく。
天井や壁をぶち破るたびに体のあちこちが痛むが体自体に傷などは見られず、衝撃による痛みだけが体の内部に響いてるようじゃ。
上に上がるにつれて海賊共の数も増え、壁を壊すついでに吹っ飛んでいく輩も増えていく。やがて飛ぶ勢いが収まり、着地した部屋は細長い筒がやたらと並べられた部屋じゃった。
「なんじゃこれは?」
筒の横にある黒い球体を見て首をかしげるとなぜか腹がちりちりと痛むんじゃが…… あっ! これは我がこの船に飛んできた時に我の腹にぶちこまれたやつじゃないのか?
この筒に入れて撃ってたような感じなんじゃがよくわからんのう。
手の上で黒い球体を遊んでおるとバタバタと走り回る音が聞こえてきおる。
「あいつか! あいつが船に穴を開けベェ⁉︎」
「うるさい、考え中じゃ」
やかましく騒ぎ立てるものだから遊んでいた黒い球体を投げつけると海賊はなにやら血を撒き散らしながら吹っ飛び、壁にも穴が開きおった。投げるだけでこの威力なのか。しかし、あの筒を使ってた方が強かった気がするんじゃが。筒を使えたら船なんてすぐ沈める気がするんじゃがのぅ。
…………!、あ、これを我が投げつければいいのか!
「なんだお前ら、まだ積荷を奪ってねぇのかよ!」
船から姿を現したボスと呼ばれる男はそこらの海賊共よりはるかに大きな体をしており、ガイコツを模した印が入った帽子をかぶっておった。やはりガタイがいいやつがボスと呼ばれるんじゃな。
海賊共がボスと呼ぶ男にすがりつくように欠けていく姿はなんとなく親鳥に餌を貰うような微笑ましさがあるように見えたんじゃが見かけが完全に悪役にしか見えんからのぅ。正直気持ち悪すぎる。
眉をひそめながら見ていたんじゃがその視線に気づいたのかボスと呼ばれてた男がこちらを睨みつけながら背中の大剣を引く抜いておった。
「うちのもんが世話になったそうじゃないか、嬢ちゃん」
「世話? お主バカか? いうことを聞かんからそうなるんじゃよ。昔の言葉でいう自業自得というや……」
言葉を告げている途中で頭な衝撃が走り我の視界からボスと呼ばれていた男が消える。
いや、消えたんじゃなくて我の顔が横に向けさせられているのか。そして何より頭が非常に痛い。
「驚いた。頭を吹き飛ばすつもりで殴ったんだが?」
目だけを動かしてみると我の顔の横には大剣の姿があった。おそらくは一気に間合い詰めて振り抜かれたんじゃろう。我の皮膚は傷ひとつついてはいないんじゃがそれでもなんとなく腹がたつのう。
「我もちょっぴりおどろいたぞ? さっきのやつらは槍で突いただけで腕と槍が壊れよったからの」
我に叩きつけられた大剣は先ほど海賊共が突き刺してきた槍とは違い壊れておらず、さらにはそれをふるったボスも特に負傷をしている様子は見られん。つまりは我だけが痛みを感じるというとてつもなく不愉快な現状というわけじゃ。
「鍛え方が違うんだよ!」
「おぉぉ⁉︎」
止まっていたはずの大剣なさらに力を込めたのか軽々といった感じに我は吹き飛ばされる。
「なんというバカ力なんじゃ」
誰にも聞こえないように呟いていると空と海が交互に上下に変わりながらしばらくすると海水のみが目に入るようになる。
また海の中とか、困るんじゃがな。
しかし、あのボスとやらを倒すのもなんだか手間がかかりそうじゃしのう。楽〜に船に乗りたいんじゃがな。全力を出したら、と言ってもどれくらい力が出るかもわからんし、それにまた痛む気がするし、それはやだしのう。
腕を組みながら考えこんでいると背中が何かにぶつかる。視線を背中のほうへ向けるとどうも一番底まできたようじゃな。
再び上の方を見ると二隻の船が未だに争いを続けているようじゃし。
ん?二隻の船?
海上に浮かぶ二隻の船を見た瞬間に我は閃いた。
それはもう、頭が一瞬にして冴え渡るような感じに。
「べぐににずきのごずびぶゃぶないのゔ」
海中だから水が入ってくるのを忘れておった。喋った際にはいりこんできた海水を飲み込みながら、海底でしっかりと立ち上がる。
そうと決まれば話は早い。
我は先ほど船に向かって飛んだ時と同じ要領で力を足へと込め、飛び跳ねる。どうも我が飛ぶと下にあるのが割れたり潰れたりするんじゃよな。別に壊したいわけじゃないんじゃが。
水中を超高速で浮上していると頭が少し痛かったんじゃが、魚の群れらしきものが眼前に現れたのでとりあえず掴んでおくとしよう。この魚も我の経験値として我が糧となってもらうとしよう。
みるみるうちに海上、ではなく船底が近づいてくるのが見える。
気付いたら簡単なことなんじゃよな。わざわざ相手を倒さんでもいいわけじゃし。相手の流儀で戦う理由なんてないわけじゃよな。だったら、
だったら戦ってる場所を潰しちゃえばいいわけなんじゃよな?
そうしたらわざわざ面倒なことをする必要はないわけじゃしな。
戦ったら負ける気はせんが戦い続けるのも暑苦しいしの。
眼前に迫った船底にぶつかる直前に腕を交差させ頭を守るとそのまま一気に突っ込んだ。
両手に泣きたきなるような衝撃を受け、勢いが少しばかり落ちたが船底を叩き割り、船内へと侵入を果たす。
「登場!」
木片をぶちまけながら船内に入る。さらには我が開けた穴からは海水がはいりこんできたきている。ついでに周りの壁にも拳や蹴りをデタラメにはなちさらに穴を開け、さらに海水を注ぎ込んでやる。しかし、我の跳躍はまだ止まらず、船底にいた海賊共が海水を浴びながらぽかんとした様子で我を見上げている間にさらに天井をぶち壊し上昇してゆく。
天井や壁をぶち破るたびに体のあちこちが痛むが体自体に傷などは見られず、衝撃による痛みだけが体の内部に響いてるようじゃ。
上に上がるにつれて海賊共の数も増え、壁を壊すついでに吹っ飛んでいく輩も増えていく。やがて飛ぶ勢いが収まり、着地した部屋は細長い筒がやたらと並べられた部屋じゃった。
「なんじゃこれは?」
筒の横にある黒い球体を見て首をかしげるとなぜか腹がちりちりと痛むんじゃが…… あっ! これは我がこの船に飛んできた時に我の腹にぶちこまれたやつじゃないのか?
この筒に入れて撃ってたような感じなんじゃがよくわからんのう。
手の上で黒い球体を遊んでおるとバタバタと走り回る音が聞こえてきおる。
「あいつか! あいつが船に穴を開けベェ⁉︎」
「うるさい、考え中じゃ」
やかましく騒ぎ立てるものだから遊んでいた黒い球体を投げつけると海賊はなにやら血を撒き散らしながら吹っ飛び、壁にも穴が開きおった。投げるだけでこの威力なのか。しかし、あの筒を使ってた方が強かった気がするんじゃが。筒を使えたら船なんてすぐ沈める気がするんじゃがのぅ。
…………!、あ、これを我が投げつければいいのか!
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