雑食無双ヨルムン
プロローグ?
大陸が震える音が響き、さらには海が揺れる。
大陸は徐々に小さくなってきてはいるがそれに呼応するかのように海の水位が下がり新たな陸地が姿を見せる。
ガツガツガツガツ
グビグビグビグビ
聞こえるのは何かを咀嚼する音、そして何かを飲み干す音である。
それは大きな口を開けると草木の生い茂る平野に齧り付くと岩や木などは存在しないかのように噛み砕く。
それは喉が乾くと海に顔を浸すと再び口を大きく開けるとジュースを飲みように海水を啜る。
「あ〜、お腹が減るぅ!」
海から顔を上げたそれは大気を震わせるような大きな声を上げる。事実、空気を震わすほどの音量で叫ばれた言葉はそれだけで衝撃波となり大地を削り取り海を荒れさした。
それは大きく、天にも届くほどの大きさの蛇であった。黒く輝く蛇の皮膚は宝石のように美しい光沢を放っていた。もしその皮膚で装飾品を作ればどれほどの値段が付くかわからないほどである。
ぎゅるるるるるるるる
そんな巨大な蛇から大きな音が鳴り響く。
別にこれは何かをしているわけではなく先にこの蛇が大声で叫んだ通り空腹を表す生理衝動である腹の音である。
「…… することないからまたたべるとするかのぅ」
特に天敵もいない蛇は再び巨体をのそりと動かし近くの山にかぶりついた。一応はその世界ではそこそこの大きさで有名であった山だったが蛇が齧ったことで山として見られないような大きさになってしまった。
一応は蛇の体に向かい決死の覚悟を決めたかのような鎧を着た騎士やローブをきた魔法使いらしき者たちの姿も見られ蛇に攻撃をしているのだが蛇にとっては全く意味がなく痛痒も感じていないのが現実である。
それでも大陸を食らうような巨体が身じろぎを軽くするだけで攻撃になるようで騎士や魔法使いらしき者たちは悲鳴をあげながら押しつぶされたり吹き飛ばされたりしていた。
そんな見えないことなんぞ気にすることなく蛇はひたすらに食い続ける。
『そこまでだ! 蛇、いや暴食蛇ヨルムンガンド!』
ただ青空があっただけの空から声と共に轟音が響き、食事をしていた蛇に巨大な雷撃が叩きつけられる。
「ババババババ⁉︎」
突然叩きつけられた雷撃に痺れたかのように蛇、ヨルムンガンドは食べる手を止め、面倒くさげに空を見上げる。
ヨルムンガンドの視線の先には四対の羽根を羽ばたかせ、光り輝く輪を頭上に浮かべ、手には光り輝く剣を持った天使の姿があった。
「なんかようかのぅ? セラフィー、我は今この大陸を食うので忙しいんじゃが?」
『だまらっしゃい! あなたはこれでいくつの大陸を食べたと思ってるんですか!』
「まだ三つじゃ、あと二つも残っとるじゃないかのう?」
『あと二つしか残ってないんです! 大陸作るのにどれだけの力がいると思ってるんですか!』
バサバサと羽根を動かしながら力説してくるセラフィーにヨルムンガンドは面倒くさげな眼を向ける。
「我には関係ないからのう」
『あなたに関係なくてもその大陸に住む種族には関係あるんです!』
「黙るがいい、ぺったんこ」
『ぺた⁉︎』
「相変わらず神は胸が抉れるように、いや壁みたいなやつしか作らんからの、あやつ貧乳好きじゃし」
『わ、私は神に仕える最上級四天使の中では一番胸がある方なんですぅぅ!』
涙を浮かべながら光の剣を振りかざしたセラフィーと暴食蛇ヨルムンガンドが激突する。
それはもう周りなど全く省みないような戦いであった。セラフィーの光の剣は大地を海を切り裂き、ヨルムンガンドは今まで食べた鉱物を弾丸のようにして吐き出す。しかもどちらも力が有り余るような存在である。必然的にその戦いは天災規模のものとなり周囲に壊滅的な被害を撒き散らしていた。
そんな戦いが一週間も続くとヨルムンガンドが食べるまでもなくすでに大陸は荒廃し尽くしていた。しかし、そんな誰も見届けない戦いにもついに終止符が打たれようとしていた。
『ダッシャァァァァ!』
天使が神の使いとは思えない掛け声をあげ、血に濡れながらも光の剣を振り抜き、ヨルムンガンドの体をいくつも切り裂いていく。しかし、ヨルムンガンドも尾を振り回し応戦し、天使に少なくない傷を負わしていた。
「いだぁぁぁぁ⁉︎ 我の体を切り刻みおってぇ! 我は刺身ではないんじゃぞ!」
『蒲焼にして差し上げます!』
天使の言葉に呼応するように光の剣がさらに光量を増し熱を発する。そして斬られるごとにヨルムンガンドの体から香ばしい匂いが漂う。
「うーむ、我、もしかして美味いんじゃね?」
自分の焼ける匂いに涎を垂らして反応したヨルムンガンドのその隙を天使が見逃すはずがなかった。
『光の剣よ! 名を奪え!』
涎をながし我慢しきれないかのように自分の尻尾を食べようとしていたヨルムンガンドの巨体をくぐり抜け、一閃でヨルムンガンドの首を切り裂いた。おびただしい量の血が流れ大地を赤く染めていく。
「あぁ! しまった」
食欲に負けたヨルムンガンドの頭が体とお別れを告げる前にセラフィーは光の速さで空を駆けヨルムンガンドの体をぶつ切りにし、燃やし尽くしていた。
「おのれぇ!」
首だけとなったヨルムンガンドが地面を転がり海へと落ちる。セラフィーはというと体を徹底的に斬りつけ最早原形がわからないほどのミンチ、または、燃えかすにしていた。
『ヨルムンガンド、あなたの名を奪わせていただきました。これによりあなたは今までの力を発揮できなくなるでしょう』
「ふん、我が死んでも第二、第三の我が現れるのじゃからな! 覚えとけよ!」
負け惜しみと言わんばかりに怒鳴るヨルムンガンドにセラフィーは慈悲深い? 笑みを向けてきた。
『ええ、第二、第三のあなたなんて我らが主も面倒なことこの上ないと暴食嘆いておいででしたよ。というかあなた不死ですし。ですから』
セラフィーが手を掲げると手の中に黄金に輝く鎖が現れる。それを見た瞬間にヨルムンガンドの顔色が変わる。
『封印の鎖です。これで縛り付けて封印して差し上げます』
「やにきまっとるじゃろが!」
『神威!』
ヨルムンガンドの抗議などを無視し放たれた黄金の鎖はヨルムンガンドの頭を縛り付け身動きはおろか言葉を発することも禁じる。
「! ーー!!」
『はっはっはっは! 何言ってるかわかりませんね』
朗らかに笑う天使は焦土と化した地上へと降りると勢いよく駈け出す。向かう先にはヨルムンガンドの頭があった。
「んー! んん!」
『海の底で封印されてこい! この蛇野郎が!』
セラフィーにより全力で蹴り飛ばされた。首は音速を超える速度で空を飛び、かなりの滞空時間がたってからぽしゃんという音を立て海へと沈んでいったのであった。
大陸は徐々に小さくなってきてはいるがそれに呼応するかのように海の水位が下がり新たな陸地が姿を見せる。
ガツガツガツガツ
グビグビグビグビ
聞こえるのは何かを咀嚼する音、そして何かを飲み干す音である。
それは大きな口を開けると草木の生い茂る平野に齧り付くと岩や木などは存在しないかのように噛み砕く。
それは喉が乾くと海に顔を浸すと再び口を大きく開けるとジュースを飲みように海水を啜る。
「あ〜、お腹が減るぅ!」
海から顔を上げたそれは大気を震わせるような大きな声を上げる。事実、空気を震わすほどの音量で叫ばれた言葉はそれだけで衝撃波となり大地を削り取り海を荒れさした。
それは大きく、天にも届くほどの大きさの蛇であった。黒く輝く蛇の皮膚は宝石のように美しい光沢を放っていた。もしその皮膚で装飾品を作ればどれほどの値段が付くかわからないほどである。
ぎゅるるるるるるるる
そんな巨大な蛇から大きな音が鳴り響く。
別にこれは何かをしているわけではなく先にこの蛇が大声で叫んだ通り空腹を表す生理衝動である腹の音である。
「…… することないからまたたべるとするかのぅ」
特に天敵もいない蛇は再び巨体をのそりと動かし近くの山にかぶりついた。一応はその世界ではそこそこの大きさで有名であった山だったが蛇が齧ったことで山として見られないような大きさになってしまった。
一応は蛇の体に向かい決死の覚悟を決めたかのような鎧を着た騎士やローブをきた魔法使いらしき者たちの姿も見られ蛇に攻撃をしているのだが蛇にとっては全く意味がなく痛痒も感じていないのが現実である。
それでも大陸を食らうような巨体が身じろぎを軽くするだけで攻撃になるようで騎士や魔法使いらしき者たちは悲鳴をあげながら押しつぶされたり吹き飛ばされたりしていた。
そんな見えないことなんぞ気にすることなく蛇はひたすらに食い続ける。
『そこまでだ! 蛇、いや暴食蛇ヨルムンガンド!』
ただ青空があっただけの空から声と共に轟音が響き、食事をしていた蛇に巨大な雷撃が叩きつけられる。
「ババババババ⁉︎」
突然叩きつけられた雷撃に痺れたかのように蛇、ヨルムンガンドは食べる手を止め、面倒くさげに空を見上げる。
ヨルムンガンドの視線の先には四対の羽根を羽ばたかせ、光り輝く輪を頭上に浮かべ、手には光り輝く剣を持った天使の姿があった。
「なんかようかのぅ? セラフィー、我は今この大陸を食うので忙しいんじゃが?」
『だまらっしゃい! あなたはこれでいくつの大陸を食べたと思ってるんですか!』
「まだ三つじゃ、あと二つも残っとるじゃないかのう?」
『あと二つしか残ってないんです! 大陸作るのにどれだけの力がいると思ってるんですか!』
バサバサと羽根を動かしながら力説してくるセラフィーにヨルムンガンドは面倒くさげな眼を向ける。
「我には関係ないからのう」
『あなたに関係なくてもその大陸に住む種族には関係あるんです!』
「黙るがいい、ぺったんこ」
『ぺた⁉︎』
「相変わらず神は胸が抉れるように、いや壁みたいなやつしか作らんからの、あやつ貧乳好きじゃし」
『わ、私は神に仕える最上級四天使の中では一番胸がある方なんですぅぅ!』
涙を浮かべながら光の剣を振りかざしたセラフィーと暴食蛇ヨルムンガンドが激突する。
それはもう周りなど全く省みないような戦いであった。セラフィーの光の剣は大地を海を切り裂き、ヨルムンガンドは今まで食べた鉱物を弾丸のようにして吐き出す。しかもどちらも力が有り余るような存在である。必然的にその戦いは天災規模のものとなり周囲に壊滅的な被害を撒き散らしていた。
そんな戦いが一週間も続くとヨルムンガンドが食べるまでもなくすでに大陸は荒廃し尽くしていた。しかし、そんな誰も見届けない戦いにもついに終止符が打たれようとしていた。
『ダッシャァァァァ!』
天使が神の使いとは思えない掛け声をあげ、血に濡れながらも光の剣を振り抜き、ヨルムンガンドの体をいくつも切り裂いていく。しかし、ヨルムンガンドも尾を振り回し応戦し、天使に少なくない傷を負わしていた。
「いだぁぁぁぁ⁉︎ 我の体を切り刻みおってぇ! 我は刺身ではないんじゃぞ!」
『蒲焼にして差し上げます!』
天使の言葉に呼応するように光の剣がさらに光量を増し熱を発する。そして斬られるごとにヨルムンガンドの体から香ばしい匂いが漂う。
「うーむ、我、もしかして美味いんじゃね?」
自分の焼ける匂いに涎を垂らして反応したヨルムンガンドのその隙を天使が見逃すはずがなかった。
『光の剣よ! 名を奪え!』
涎をながし我慢しきれないかのように自分の尻尾を食べようとしていたヨルムンガンドの巨体をくぐり抜け、一閃でヨルムンガンドの首を切り裂いた。おびただしい量の血が流れ大地を赤く染めていく。
「あぁ! しまった」
食欲に負けたヨルムンガンドの頭が体とお別れを告げる前にセラフィーは光の速さで空を駆けヨルムンガンドの体をぶつ切りにし、燃やし尽くしていた。
「おのれぇ!」
首だけとなったヨルムンガンドが地面を転がり海へと落ちる。セラフィーはというと体を徹底的に斬りつけ最早原形がわからないほどのミンチ、または、燃えかすにしていた。
『ヨルムンガンド、あなたの名を奪わせていただきました。これによりあなたは今までの力を発揮できなくなるでしょう』
「ふん、我が死んでも第二、第三の我が現れるのじゃからな! 覚えとけよ!」
負け惜しみと言わんばかりに怒鳴るヨルムンガンドにセラフィーは慈悲深い? 笑みを向けてきた。
『ええ、第二、第三のあなたなんて我らが主も面倒なことこの上ないと暴食嘆いておいででしたよ。というかあなた不死ですし。ですから』
セラフィーが手を掲げると手の中に黄金に輝く鎖が現れる。それを見た瞬間にヨルムンガンドの顔色が変わる。
『封印の鎖です。これで縛り付けて封印して差し上げます』
「やにきまっとるじゃろが!」
『神威!』
ヨルムンガンドの抗議などを無視し放たれた黄金の鎖はヨルムンガンドの頭を縛り付け身動きはおろか言葉を発することも禁じる。
「! ーー!!」
『はっはっはっは! 何言ってるかわかりませんね』
朗らかに笑う天使は焦土と化した地上へと降りると勢いよく駈け出す。向かう先にはヨルムンガンドの頭があった。
「んー! んん!」
『海の底で封印されてこい! この蛇野郎が!』
セラフィーにより全力で蹴り飛ばされた。首は音速を超える速度で空を飛び、かなりの滞空時間がたってからぽしゃんという音を立て海へと沈んでいったのであった。
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