メイドと武器商人
メイドと並走する何か
頭上、正体不明。
現状、迎撃確率6%
回避をした場合、魔導列車は崩壊の可能性高し。
迎撃を推奨。
今のままでは迎撃を完遂するのは不可能です。ですから私は拳を作りながらも叫びます。
「ご主人様!」
私の意図を読み取ってくれるかのようにご主人様と私の間に魔導回路が繋がり、ご主人様の魔力が私の体へ供給が開始されます。
ああ、ご主人様のが私の体の中に! 以下自粛
魔力供給が開始されたことにより厳重に封印が施されている私の体内のリミッターの一部を解除。普段は動かしていないパーツも魔力を通されることによって起動を開始。これにより今の私は只のリップスではなくスーパーリップスへと変わったわけです。
全身のパーツが問題なく駆動していることを確認し終えた私は振りかぶっていた拳を全力で振り抜き、魔導列車を潰そうとしているであろう巨大な物へとぶつけます。
ぶつかったのはおそらくは巨大な拳。
それなりの重量がある巨腕と私の細い腕がめり込み、その後に粉砕。
巨腕は細かな部品をばら撒き、音を立てながら散っていきました。
拳を放ったままの姿勢で固まっていた私ですが膝をつき体の各所に取り付けられている排気口から熱気を排出。体が熱く、煙が上がっているのが自分でもよくわかります。
リミッター解除は大きな力を得ますがそのあとに一時的に動きが悪くなるのが難点ですね。まぁ、僅かな間ですか。
「こんな化け物がいる屋敷に暗殺に入ろうとしてたのか……」
部品の雨が降る中、なぜかどんよりとした様子のアオイが屋根の上へと上がってきます。
「これはそうそう使えませんよ。なによりご主人様の許可がないと使えません」
「それは主から離れないお前にはリスクにもならないじゃないか」
そう言われればそうですね。
私はご主人様から離れることなんてそうありませんし。ですがこれは使わないに越したことはない力です。
「ガハハハハハ! やるじゃないか! 俺様のマッスルアームを凌ぐとはな!」
「どちらさまで?」
突然聞こえた声に驚きはしますごそれを悟らせないように無表情を貫きながら声のする方へと振り向きます。
「は?」
振り向いた先は横、そこには大きなずんぐりとしたゴーレムが魔導列車と並走するように地響きを上げながら走っていました。その光景に思わず間抜けな声を上げながら口を開けぱなしにしてしまいました。
あの、この魔導列車結構速いはずなんですが……
「ガハハハハハ! そんなちんちくりんな形のくせに傷一つねえとはな! いい腕の創造主に作られたみたいだな」
「いや、俺は機械人形ではないんだが……」
「んな細かいことは気にすんなよ! ガハハハハハ!」
気さくな声がゴーレムから聞こえてきますがなんでしょう、この違和感。
ゴーレムの顔は微動だに動いていないのに声が楽しそうに聞こえるからでしょうか?
「やぁ、おバカのナーハルトン。久しぶり。相変わらず バカみたいなゴーレムを作ってるのかい」
「ご主人様⁉︎」
列車に開いた大穴からめんどくさそうにしながら吹き荒れる風にドレスをはためかせながら姿を見せたご主人様に驚き、慌てて足のアンカーを解除すると車内に飛び込みご主人様を守るべく前に立ちます。
「ん? あー! あー! お前は! えーとあれだ! どれだ?」
ゴーレムが困惑したような声音を出しながらも表情を変えることなくご主人様へと目を向けます。
「……」
「……」
しばらくの間、ゴーレムが駆けるたびに上がる地響きの音だけが響き、ご主人様とゴーレムは無言で見つめあっていました。
なにあのゴーレム! 私と場所変わってくれませんかね⁉︎ そうしたら私がご主人様と見つめ合えるのに!
「なんか邪なことを考えてるなぁ」
私同様にご主人様を守るために車体の上から車内へと飛び降りてきたアオイが呆れたような視線を私へと向けてきます。
ご主人様と正面から見つめ合えるのになんてすごいご褒美だとおもうんですがね?
「歪んでるなぁ。まぁ、人の恋愛には口は出さんがな」
「恋愛ではありません。忠誠心です」
「はいはい」
わかりましたよと言わんばかりに手を振って適当に答えられた感が半端ありませんね。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 誰かと思えばお前! 黒の錬金術師か!」
突然ゴーレムが大声をあげます。もちろん無表情です。
「ようやく思い出したのかい? 相変わらずその体についてる頭は飾りかというくらいに頭が悪いね。ナーハルトン」
ご主人様がバカにするように肩をすくめると走っていたゴーレムの体が大きく震えます。
「相変わらず陰険そうな面と微妙な髪色をしやがって! それに俺様は青の錬金術師さまだ!」
「微妙じゃない! 茶色! そろに知らなかったのかい? 今は錬金術師のことをクズというんだよ?」
ご主人様が息を吐くように嘘をつきます。まぁ、顔がにやけてますしあんなのに引っかかるバカはいないでしょう。
「なに⁉︎ 本当か!」
「え、信じるんですか?」
まさか信じる人がいるんですか?
ゴーレムの表情を見ても全くわかりませんが声音はかなり本気で驚いているような感じでしたが……
そんなゴーレムにご主人様は屈託のない笑顔を向けます。
「うん、嘘に決まってるじゃん」
「この陰湿なガキャァァァァァァァァ!」
いや、騙される方が悪い感じがしますが……
あとご主人様いい笑顔ですね! ぜひ一枚撮っておかないと!
現状、迎撃確率6%
回避をした場合、魔導列車は崩壊の可能性高し。
迎撃を推奨。
今のままでは迎撃を完遂するのは不可能です。ですから私は拳を作りながらも叫びます。
「ご主人様!」
私の意図を読み取ってくれるかのようにご主人様と私の間に魔導回路が繋がり、ご主人様の魔力が私の体へ供給が開始されます。
ああ、ご主人様のが私の体の中に! 以下自粛
魔力供給が開始されたことにより厳重に封印が施されている私の体内のリミッターの一部を解除。普段は動かしていないパーツも魔力を通されることによって起動を開始。これにより今の私は只のリップスではなくスーパーリップスへと変わったわけです。
全身のパーツが問題なく駆動していることを確認し終えた私は振りかぶっていた拳を全力で振り抜き、魔導列車を潰そうとしているであろう巨大な物へとぶつけます。
ぶつかったのはおそらくは巨大な拳。
それなりの重量がある巨腕と私の細い腕がめり込み、その後に粉砕。
巨腕は細かな部品をばら撒き、音を立てながら散っていきました。
拳を放ったままの姿勢で固まっていた私ですが膝をつき体の各所に取り付けられている排気口から熱気を排出。体が熱く、煙が上がっているのが自分でもよくわかります。
リミッター解除は大きな力を得ますがそのあとに一時的に動きが悪くなるのが難点ですね。まぁ、僅かな間ですか。
「こんな化け物がいる屋敷に暗殺に入ろうとしてたのか……」
部品の雨が降る中、なぜかどんよりとした様子のアオイが屋根の上へと上がってきます。
「これはそうそう使えませんよ。なによりご主人様の許可がないと使えません」
「それは主から離れないお前にはリスクにもならないじゃないか」
そう言われればそうですね。
私はご主人様から離れることなんてそうありませんし。ですがこれは使わないに越したことはない力です。
「ガハハハハハ! やるじゃないか! 俺様のマッスルアームを凌ぐとはな!」
「どちらさまで?」
突然聞こえた声に驚きはしますごそれを悟らせないように無表情を貫きながら声のする方へと振り向きます。
「は?」
振り向いた先は横、そこには大きなずんぐりとしたゴーレムが魔導列車と並走するように地響きを上げながら走っていました。その光景に思わず間抜けな声を上げながら口を開けぱなしにしてしまいました。
あの、この魔導列車結構速いはずなんですが……
「ガハハハハハ! そんなちんちくりんな形のくせに傷一つねえとはな! いい腕の創造主に作られたみたいだな」
「いや、俺は機械人形ではないんだが……」
「んな細かいことは気にすんなよ! ガハハハハハ!」
気さくな声がゴーレムから聞こえてきますがなんでしょう、この違和感。
ゴーレムの顔は微動だに動いていないのに声が楽しそうに聞こえるからでしょうか?
「やぁ、おバカのナーハルトン。久しぶり。相変わらず バカみたいなゴーレムを作ってるのかい」
「ご主人様⁉︎」
列車に開いた大穴からめんどくさそうにしながら吹き荒れる風にドレスをはためかせながら姿を見せたご主人様に驚き、慌てて足のアンカーを解除すると車内に飛び込みご主人様を守るべく前に立ちます。
「ん? あー! あー! お前は! えーとあれだ! どれだ?」
ゴーレムが困惑したような声音を出しながらも表情を変えることなくご主人様へと目を向けます。
「……」
「……」
しばらくの間、ゴーレムが駆けるたびに上がる地響きの音だけが響き、ご主人様とゴーレムは無言で見つめあっていました。
なにあのゴーレム! 私と場所変わってくれませんかね⁉︎ そうしたら私がご主人様と見つめ合えるのに!
「なんか邪なことを考えてるなぁ」
私同様にご主人様を守るために車体の上から車内へと飛び降りてきたアオイが呆れたような視線を私へと向けてきます。
ご主人様と正面から見つめ合えるのになんてすごいご褒美だとおもうんですがね?
「歪んでるなぁ。まぁ、人の恋愛には口は出さんがな」
「恋愛ではありません。忠誠心です」
「はいはい」
わかりましたよと言わんばかりに手を振って適当に答えられた感が半端ありませんね。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 誰かと思えばお前! 黒の錬金術師か!」
突然ゴーレムが大声をあげます。もちろん無表情です。
「ようやく思い出したのかい? 相変わらずその体についてる頭は飾りかというくらいに頭が悪いね。ナーハルトン」
ご主人様がバカにするように肩をすくめると走っていたゴーレムの体が大きく震えます。
「相変わらず陰険そうな面と微妙な髪色をしやがって! それに俺様は青の錬金術師さまだ!」
「微妙じゃない! 茶色! そろに知らなかったのかい? 今は錬金術師のことをクズというんだよ?」
ご主人様が息を吐くように嘘をつきます。まぁ、顔がにやけてますしあんなのに引っかかるバカはいないでしょう。
「なに⁉︎ 本当か!」
「え、信じるんですか?」
まさか信じる人がいるんですか?
ゴーレムの表情を見ても全くわかりませんが声音はかなり本気で驚いているような感じでしたが……
そんなゴーレムにご主人様は屈託のない笑顔を向けます。
「うん、嘘に決まってるじゃん」
「この陰湿なガキャァァァァァァァァ!」
いや、騙される方が悪い感じがしますが……
あとご主人様いい笑顔ですね! ぜひ一枚撮っておかないと!
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