メイドと武器商人
メイドと突然の遠出
「突然だけど遠出するよ」
『は?』
ご主人様の要望でケーキを焼き、それを屋敷のテラスにて提供している最中、ご主人様が唐突にそう告げ、紅茶の入ったカップに口をつけます。
私は新たに切り分けたケーキを持ったまま固まり、アオイはというと刀の手入れをしているのか紙をくわえたままの状態で固まっています。
「ん? 聞こえなかった?」
私達二人が固まっていることに気づいたご主人様がカップをテーブルへと置き尋ねてきます。
「遠出をするよ。具体的には隣国のアルバーンにだけど。依頼受けたしね」
「アルバーンですか?」
「うん」
隣国アルバーン。
ご主人様が家を構える混沌の街バーティアから魔導列車で三時間程移動した先にある魔導国家の名前です。
機械と魔導が融合しつつある世界の中で「魔導こそが世界を導く! だって魔を導くって書くし!」とかを本気で言っちゃってる国家です。
そうなると私の頭の中には疑問符が浮かぶわけです。
「魔導国家アルバーンと取引ですか?」
「なんで二回聞くのさ?」
ムッとした顔のご主人様も愛らしいものです。ですがそんな愛らしい顔をされても私は確認する必要があるのです。
魔導国家アルバーンとの取引。
すでにこの字面だけで違和感がありまくりです。
「なぁ、取引するものはなんだ?」
どうやら私と同じかどうかはわかりませんが違和感を持ったのかアオイが口を挟んできます。
「ん? ああ、取引するのは型落ちした銃だね」
それをきいて私とアオイは意図せずに二人で顔をしかめます。
魔導国家が普通の武器を取引で入手しようとしているという違和感。
これが魔力を帯びた剣や銃であるのならば、いや、それでも違和感は残りますがそれなりに納得はしたことでしょう。
ですがなんの魔力も帯びていない武器の取引を持ちかけてくるのが怪しすぎます。
「なにと取引なんだ? せっかくの魔導国家との取引なんだ。金じゃないんだろ?」
「鋭いねアオイ。そう今回の報酬はお金じゃないよ」
嬉しそうな笑顔を浮かべるご主人様の顔の価値には敵わないでしょうがお金以外の物との取引というのはご主人様にしては珍しいですね。
大体はお金なんですがごく稀に欲しいものがあるとそれと交換という事もしますが本当に稀です。
「ということはなにか欲しいものがあったのでしょうか?」
「うん、リップスの妹を作るための材料だね! メルエムアンからボディは受け取ったけど肝心の物がなかったからね」
なるほど妹を作るのに必要な物との取引でしたか。違和感は残りますが納得はしました。
今回の取引は完全に利益などを無視したご主人様の趣味であるということが。
ですがアルバーンからの取引内容に違和感があるのも事実です。この街、混沌の街バーティアで事が起こるのであれば大半のことは軽く収める事ができます。
ですが隣国とはいえ他国に行くとなるとそれなりに準備が必要となるでしょう。
「わかりました。準備いたします。取引用の武器の方の準備はご主人様にお任せしてもよろしいのでしょうか?」
「そうだね。そっちはぼくがやるよ。他は任せるよ?」
「はい、了解しました」
ご主人様の言葉に返事を返し、アオイの方へと今度は視線を送ります。
するとアオイも理解はしていると言わんばかりに頷き返してきます。
「敵意あるやつを斬ればいいだけだろ?」
荒事ではやはり狂犬は役に立ちますね。
その通りです。ご主人様に害をなすものは私とアオイで叩き潰せばいいんですから。
アオイが側についたのを確認したのちにご主人様の元から離れ、旅の準備を思案します。
ますばご主人様の姿を収めるためのカメラとデータディスクをトランクケースいっぱいに詰め込まなければ!
『は?』
ご主人様の要望でケーキを焼き、それを屋敷のテラスにて提供している最中、ご主人様が唐突にそう告げ、紅茶の入ったカップに口をつけます。
私は新たに切り分けたケーキを持ったまま固まり、アオイはというと刀の手入れをしているのか紙をくわえたままの状態で固まっています。
「ん? 聞こえなかった?」
私達二人が固まっていることに気づいたご主人様がカップをテーブルへと置き尋ねてきます。
「遠出をするよ。具体的には隣国のアルバーンにだけど。依頼受けたしね」
「アルバーンですか?」
「うん」
隣国アルバーン。
ご主人様が家を構える混沌の街バーティアから魔導列車で三時間程移動した先にある魔導国家の名前です。
機械と魔導が融合しつつある世界の中で「魔導こそが世界を導く! だって魔を導くって書くし!」とかを本気で言っちゃってる国家です。
そうなると私の頭の中には疑問符が浮かぶわけです。
「魔導国家アルバーンと取引ですか?」
「なんで二回聞くのさ?」
ムッとした顔のご主人様も愛らしいものです。ですがそんな愛らしい顔をされても私は確認する必要があるのです。
魔導国家アルバーンとの取引。
すでにこの字面だけで違和感がありまくりです。
「なぁ、取引するものはなんだ?」
どうやら私と同じかどうかはわかりませんが違和感を持ったのかアオイが口を挟んできます。
「ん? ああ、取引するのは型落ちした銃だね」
それをきいて私とアオイは意図せずに二人で顔をしかめます。
魔導国家が普通の武器を取引で入手しようとしているという違和感。
これが魔力を帯びた剣や銃であるのならば、いや、それでも違和感は残りますがそれなりに納得はしたことでしょう。
ですがなんの魔力も帯びていない武器の取引を持ちかけてくるのが怪しすぎます。
「なにと取引なんだ? せっかくの魔導国家との取引なんだ。金じゃないんだろ?」
「鋭いねアオイ。そう今回の報酬はお金じゃないよ」
嬉しそうな笑顔を浮かべるご主人様の顔の価値には敵わないでしょうがお金以外の物との取引というのはご主人様にしては珍しいですね。
大体はお金なんですがごく稀に欲しいものがあるとそれと交換という事もしますが本当に稀です。
「ということはなにか欲しいものがあったのでしょうか?」
「うん、リップスの妹を作るための材料だね! メルエムアンからボディは受け取ったけど肝心の物がなかったからね」
なるほど妹を作るのに必要な物との取引でしたか。違和感は残りますが納得はしました。
今回の取引は完全に利益などを無視したご主人様の趣味であるということが。
ですがアルバーンからの取引内容に違和感があるのも事実です。この街、混沌の街バーティアで事が起こるのであれば大半のことは軽く収める事ができます。
ですが隣国とはいえ他国に行くとなるとそれなりに準備が必要となるでしょう。
「わかりました。準備いたします。取引用の武器の方の準備はご主人様にお任せしてもよろしいのでしょうか?」
「そうだね。そっちはぼくがやるよ。他は任せるよ?」
「はい、了解しました」
ご主人様の言葉に返事を返し、アオイの方へと今度は視線を送ります。
するとアオイも理解はしていると言わんばかりに頷き返してきます。
「敵意あるやつを斬ればいいだけだろ?」
荒事ではやはり狂犬は役に立ちますね。
その通りです。ご主人様に害をなすものは私とアオイで叩き潰せばいいんですから。
アオイが側についたのを確認したのちにご主人様の元から離れ、旅の準備を思案します。
ますばご主人様の姿を収めるためのカメラとデータディスクをトランクケースいっぱいに詰め込まなければ!
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