メイドと武器商人
メイドと戦乙女武器
銀狐が刀を構えるよりも速く、私は踏み込みます。炎は厄介ではありますがそれを纏う前に頭でも殴って気を失わせようと考えましたが。
「炎よ! 舞え!」
殴られるのを防ごうと再び炎が銀狐を纏います。
「それはもう見ましたよ」
ですが私は速度を落とすことなく疾走を続け、拳を振りぬきます。しかし、拳を炎に当たる寸前で止め、それを幾度も繰り返していきます。
普通の拳なら意味がないことでしょう。ですが私が行っているのは普通の拳を放っているわけではありません。普通の人では出し得ない速度で繰り出される拳は衝撃波を放ち、炎の壁を突き破ります。
「ぐっ!」
ひたすらに連打する拳から放たれる衝撃波は炎の壁を吹き飛ばし、防御が意味をなくした銀狐へと突き刺さり鈍い肉を打つ音を響かせていきます。
「あぁぁぁぁ!」
私の拳に殴りつけられた銀狐の叫びと共に眼の前に広がっていた炎が消失。代わりに赤く輝く刀が私へと振るわれます。それを体を逸らすことで躱しましたが、切っ先が僅かに私のメイド服へとかすります。かすった部分が一瞬にして炭化したことに私は目を見開きます。
ドラゴンの皮を加工して作られたメイド服が炭化するとは! 恐ろしい熱量です。
さすがにドラゴンの皮をも炭化するような攻撃をまともに受けるのはまずいので距離をとり、今までより遥かに多い量の魔導液体を使い分厚いナイフを作り上げます。ただし、ただのナイフと思うなかれ。
しかし、うぅ…… 魔導液体を使用して武器を作ったせいか胸元のメイド服に徐々に隙間ができてしまいます。
動くとパタパタと音を立てながら揺れる胸元に少しばかりの悲しみを感じながらもあの脅威の炎刀を避けやすくなったと思うことにします。
「死ね!」
炎を揺らしながら炎刀が弧を描きます。わざわざ全部受けるのもバカらしいので避けれるものは避けます。ですがいまいち炎の効果範囲がわからないのでメイド服が僅かに切り裂かれ炭化したりしていきます。
ご主人様から頂いたメイド服を傷物にしてくれた恨みは晴らさしていただきます!
「メイドの力を見せてやります!」
魔導液体で作り上げた分厚いナイフへと魔力回路を通じて魔力を流します。するとナイフは甲高い音を上げながら刃の部分だけが振動していきます。
そのナイフを交差するように振るい、迫る炎刀を受け止めます。
すると金属のぶつかり合う音が響き、割れかけている仮面の奥の銀狐の瞳が大きく開いたのがわかります。
私の作り上げたナイフ二本は炎刀に燃やされることなく鍔迫り合いをしていたからでしょう。
予想通りですが私の特別製ナイフは炎刀の超高熱の刃や炎に煽られても溶ける気配も感じさせません。
それどころか削り取るような音を上げながら炎刀から火花を上げさしています。
それに気づいたらしい銀狐は炎刀を引き戻すと即座に突きを放ってきます。狙いは眼のようですがそれを首を振ることで躱し、僅かに頬を突き焦がしてきますが、突き伸ばされた炎刀に向かいナイフを立て続けに叩きつけてやります。
「あなたの切り札はこの刀のようですし、これを壊さしていただきます」
振動するナイフへとさらに魔力を流し込み、振動音がさらに激しくなります。そのままさらに炎刀へと刃を叩きつけると銀狐の持つ炎刀からひび割れるような音が聞こえてきました。
「なっ⁉︎」
「あ、意外ともろかったですね」
慌ててヒビの入った炎刀を引く銀狐ですがそんな絶好の隙を黙って見ててやる義理はありません。今度は私から踏み込み、左右の手に握る振動ナイフを繰り出します。
その斬撃を銀狐が炎刀で受けるたびに炎刀から何かが欠けるような音が響き、銀狐の防御が雑になっていっているのがわかります。
まぁ、まともに受ければ炎刀を切断しかねませんからね。
戦乙女武器、振動ナイフ。
ただの振動するナイフと思うなかれ。
このナイフは魔力すら切り裂くのです。
つまりこれを防ぐ手立てというのは躱す、もしくは丈夫で魔力密度の高い武具で防ぐしかないのです。例えを挙げるならば魔剣とか聖剣とかいった真の武器と呼ばれる一級品の部類のものですね。
つまり、振動ナイフでの攻撃を受けきれない炎刀は二級品ということです。
「っ! 炎刀よ! 燃やせ!」
最後の悪あがきと言わんばかりに炎刀から炎を解き放つ銀狐ですがそれは悪手というものです。
振動ナイフは魔力すら切り裂きます。
迫る炎は私が繰り出す振動ナイフで瞬く間に切り裂いてやるとあっさりと霧散。
その消えた炎の奥からは鋼の切っ先が飛び出してきますが、それを再び振動ナイフを合わせるように繰り出してあげます。
すでに魔力を炎として放出してしまった炎刀は少しばかりの魔力を纏った丈夫な剣でしかありません。そんな丈夫な剣レベルでは振動ナイフは止めれません。
私が繰り出した斬撃はまるでバターを切り裂くかのように炎刀を切断。
炎刀を切り捨てた際に振動ナイフを手から離し、拳を作り上げます。
「ご主人様を危険に晒した罰を受けなさい!」
作り上げた拳を銀狐の割れかけた仮面に向けて私は全力で振りぬき、仮面を叩き割るのでした。
「やっぱり武器より拳の方が蹂躙してる感がありますよね」
「姉様、野蛮」
「炎よ! 舞え!」
殴られるのを防ごうと再び炎が銀狐を纏います。
「それはもう見ましたよ」
ですが私は速度を落とすことなく疾走を続け、拳を振りぬきます。しかし、拳を炎に当たる寸前で止め、それを幾度も繰り返していきます。
普通の拳なら意味がないことでしょう。ですが私が行っているのは普通の拳を放っているわけではありません。普通の人では出し得ない速度で繰り出される拳は衝撃波を放ち、炎の壁を突き破ります。
「ぐっ!」
ひたすらに連打する拳から放たれる衝撃波は炎の壁を吹き飛ばし、防御が意味をなくした銀狐へと突き刺さり鈍い肉を打つ音を響かせていきます。
「あぁぁぁぁ!」
私の拳に殴りつけられた銀狐の叫びと共に眼の前に広がっていた炎が消失。代わりに赤く輝く刀が私へと振るわれます。それを体を逸らすことで躱しましたが、切っ先が僅かに私のメイド服へとかすります。かすった部分が一瞬にして炭化したことに私は目を見開きます。
ドラゴンの皮を加工して作られたメイド服が炭化するとは! 恐ろしい熱量です。
さすがにドラゴンの皮をも炭化するような攻撃をまともに受けるのはまずいので距離をとり、今までより遥かに多い量の魔導液体を使い分厚いナイフを作り上げます。ただし、ただのナイフと思うなかれ。
しかし、うぅ…… 魔導液体を使用して武器を作ったせいか胸元のメイド服に徐々に隙間ができてしまいます。
動くとパタパタと音を立てながら揺れる胸元に少しばかりの悲しみを感じながらもあの脅威の炎刀を避けやすくなったと思うことにします。
「死ね!」
炎を揺らしながら炎刀が弧を描きます。わざわざ全部受けるのもバカらしいので避けれるものは避けます。ですがいまいち炎の効果範囲がわからないのでメイド服が僅かに切り裂かれ炭化したりしていきます。
ご主人様から頂いたメイド服を傷物にしてくれた恨みは晴らさしていただきます!
「メイドの力を見せてやります!」
魔導液体で作り上げた分厚いナイフへと魔力回路を通じて魔力を流します。するとナイフは甲高い音を上げながら刃の部分だけが振動していきます。
そのナイフを交差するように振るい、迫る炎刀を受け止めます。
すると金属のぶつかり合う音が響き、割れかけている仮面の奥の銀狐の瞳が大きく開いたのがわかります。
私の作り上げたナイフ二本は炎刀に燃やされることなく鍔迫り合いをしていたからでしょう。
予想通りですが私の特別製ナイフは炎刀の超高熱の刃や炎に煽られても溶ける気配も感じさせません。
それどころか削り取るような音を上げながら炎刀から火花を上げさしています。
それに気づいたらしい銀狐は炎刀を引き戻すと即座に突きを放ってきます。狙いは眼のようですがそれを首を振ることで躱し、僅かに頬を突き焦がしてきますが、突き伸ばされた炎刀に向かいナイフを立て続けに叩きつけてやります。
「あなたの切り札はこの刀のようですし、これを壊さしていただきます」
振動するナイフへとさらに魔力を流し込み、振動音がさらに激しくなります。そのままさらに炎刀へと刃を叩きつけると銀狐の持つ炎刀からひび割れるような音が聞こえてきました。
「なっ⁉︎」
「あ、意外ともろかったですね」
慌ててヒビの入った炎刀を引く銀狐ですがそんな絶好の隙を黙って見ててやる義理はありません。今度は私から踏み込み、左右の手に握る振動ナイフを繰り出します。
その斬撃を銀狐が炎刀で受けるたびに炎刀から何かが欠けるような音が響き、銀狐の防御が雑になっていっているのがわかります。
まぁ、まともに受ければ炎刀を切断しかねませんからね。
戦乙女武器、振動ナイフ。
ただの振動するナイフと思うなかれ。
このナイフは魔力すら切り裂くのです。
つまりこれを防ぐ手立てというのは躱す、もしくは丈夫で魔力密度の高い武具で防ぐしかないのです。例えを挙げるならば魔剣とか聖剣とかいった真の武器と呼ばれる一級品の部類のものですね。
つまり、振動ナイフでの攻撃を受けきれない炎刀は二級品ということです。
「っ! 炎刀よ! 燃やせ!」
最後の悪あがきと言わんばかりに炎刀から炎を解き放つ銀狐ですがそれは悪手というものです。
振動ナイフは魔力すら切り裂きます。
迫る炎は私が繰り出す振動ナイフで瞬く間に切り裂いてやるとあっさりと霧散。
その消えた炎の奥からは鋼の切っ先が飛び出してきますが、それを再び振動ナイフを合わせるように繰り出してあげます。
すでに魔力を炎として放出してしまった炎刀は少しばかりの魔力を纏った丈夫な剣でしかありません。そんな丈夫な剣レベルでは振動ナイフは止めれません。
私が繰り出した斬撃はまるでバターを切り裂くかのように炎刀を切断。
炎刀を切り捨てた際に振動ナイフを手から離し、拳を作り上げます。
「ご主人様を危険に晒した罰を受けなさい!」
作り上げた拳を銀狐の割れかけた仮面に向けて私は全力で振りぬき、仮面を叩き割るのでした。
「やっぱり武器より拳の方が蹂躙してる感がありますよね」
「姉様、野蛮」
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