メイドと武器商人
メイドとぱんち
キラキラしたご主人様の視線から逃げる様にして私は魔導液体を纏った脚へと眼をやり、思わず息を飲み込みました。
脚へと纒わした魔導液体は透明な武装へと変わるはずなのですが脚に纏っている魔導液体は白く濁り、さらに私がイメージした形から大きくかけ離れた形へと変わっていたからです。わかりやすく言うと溶けていました。
「魔導液体は熱には強いはずなんですが……」
液体と名が付いている魔導液体ですが熱などには強いものです。ですから蒸発するということはないはずなんですがね。普通ならば使用するたびに不純物が混ざり黒くなるまでは使えるはずなのですが……
武器を作るときの様に脚の魔導液体を変化さすいめーじをしてみますが全く変化が見られませんでした。
「うーん」
腕を組み軽く足を振り回し、使えなくなった脚の魔導液体を飛ばしながら思案します。
幸いなことに銀狐の方も炎剣の刃に軽く指を這わせて刃に傷がないかを確認している様でしたので攻撃はありませんでした。
「どうやら俺の炎刀の方が強い様だな」
やがて剣に歪みなどがないかを確認を終えたらしき銀狐は仮面越しであるというのになぜか笑ったとわかりました。
あれはどうやら炎剣ではなくエントウというらしいですね。トウということは刀と呼ばれるものなんでしょうか? 確か東の国の鍛治職人のみが作れるとかいうものでしたね。情報としては知っています。
あれはさすがにご主人様も扱っていません。あのような魔剣や妖刀といった物はご主人様の取引に使われたことがありません。
なによりご主人様の錬金術では似た様なものは作れても魔剣や妖刀といったたった一振りで戦局を覆すような物は作り上げることができませんからね。
今銀狐が振るっている炎刀とやらはまさにそういった力を持つ妖刀と呼ばれるにふさわしいものなのでしょう。
まぁ、確かに私の武装は使い物にならなくされてしまいましたが勝ち誇られるのは僅かばかり頭にくるものがあります。
それを顔に出さない様にしながら私は再び魔導液体を使い、今度は両手にナイフ作り上げると構えます。
「はっ!」
今度は私から仕掛けます。
一瞬にして彼我の距離を詰め寄り一閃。並みの使い手ならばこれで頭と体をさよならできるほどの速度で繰り出しましたが銀狐は容易いと言わんばかりに易々と反応。透明な刃は縦に構えられた炎剣もとい炎刀で楽々と受け止められ一瞬にして蒸発してしまいます。
さすがにこれには顔に驚きが出てしまいましたがすかさず今度は反対のナイフを閃かし、防御の隙間を狙います。しかし、それは即座に炎刀を翻し炎を先ほどまでは纏うだけだった刃がまるで壁になるかのように銀狐を覆い隠した焰で容易く防がれ、さらには迸る焔で武器まで壊してくれます。
舌打ちを一つしながら手にしていたナイフが蒸発したのを確認した私はナイフがなくなった手を素早く握りしめるとそのまま拳を突き進め焔の壁へと突っ込まします。途端、腕を舐めるように這う炎とよくわからなくなった痛覚系回路から伝わる痛みを無視して多分そこにいるであろう銀狐に向けてそのまま拳を振りぬきます。
「メイドパァァァァァァンチ!(焔付き)」
「あぎゃ⁉︎」
振り抜いた拳の先から何かに当たる感触、そして間抜けな声が聞こえたことからそこに銀狐がいて、さらには攻撃が当たるようです。
どうやらこの炎は魔力で生み出されたものではあるようですが壁としての役割は果たしてはいないようです。あっさり拳は抜けましたし。
「とりあえずもう一発いっときますか」
少しばかり焔の勢いが緩やかになった炎の壁へと今度は反対の手に魔導液体を分厚く纒わし手甲のようにすると、先ほどよりも鋭く拳を突き出します。
今度は炎が腕にまとわりつくのすら許さないほどの速度を出して繰り出すとその速さから生じた拳圧が炎の壁を吹き飛ばし、先ほど放った拳がどうやら顔面にクリーンヒットしたらしく狐の仮面がひび割れた状態の銀狐の姿が目に入ります。
まあ、そんなことは正直あんまり関係ないので私はよろめく銀狐に向かい容赦なく反対の拳をひび割れた仮面へと叩き込むのでした。
脚へと纒わした魔導液体は透明な武装へと変わるはずなのですが脚に纏っている魔導液体は白く濁り、さらに私がイメージした形から大きくかけ離れた形へと変わっていたからです。わかりやすく言うと溶けていました。
「魔導液体は熱には強いはずなんですが……」
液体と名が付いている魔導液体ですが熱などには強いものです。ですから蒸発するということはないはずなんですがね。普通ならば使用するたびに不純物が混ざり黒くなるまでは使えるはずなのですが……
武器を作るときの様に脚の魔導液体を変化さすいめーじをしてみますが全く変化が見られませんでした。
「うーん」
腕を組み軽く足を振り回し、使えなくなった脚の魔導液体を飛ばしながら思案します。
幸いなことに銀狐の方も炎剣の刃に軽く指を這わせて刃に傷がないかを確認している様でしたので攻撃はありませんでした。
「どうやら俺の炎刀の方が強い様だな」
やがて剣に歪みなどがないかを確認を終えたらしき銀狐は仮面越しであるというのになぜか笑ったとわかりました。
あれはどうやら炎剣ではなくエントウというらしいですね。トウということは刀と呼ばれるものなんでしょうか? 確か東の国の鍛治職人のみが作れるとかいうものでしたね。情報としては知っています。
あれはさすがにご主人様も扱っていません。あのような魔剣や妖刀といった物はご主人様の取引に使われたことがありません。
なによりご主人様の錬金術では似た様なものは作れても魔剣や妖刀といったたった一振りで戦局を覆すような物は作り上げることができませんからね。
今銀狐が振るっている炎刀とやらはまさにそういった力を持つ妖刀と呼ばれるにふさわしいものなのでしょう。
まぁ、確かに私の武装は使い物にならなくされてしまいましたが勝ち誇られるのは僅かばかり頭にくるものがあります。
それを顔に出さない様にしながら私は再び魔導液体を使い、今度は両手にナイフ作り上げると構えます。
「はっ!」
今度は私から仕掛けます。
一瞬にして彼我の距離を詰め寄り一閃。並みの使い手ならばこれで頭と体をさよならできるほどの速度で繰り出しましたが銀狐は容易いと言わんばかりに易々と反応。透明な刃は縦に構えられた炎剣もとい炎刀で楽々と受け止められ一瞬にして蒸発してしまいます。
さすがにこれには顔に驚きが出てしまいましたがすかさず今度は反対のナイフを閃かし、防御の隙間を狙います。しかし、それは即座に炎刀を翻し炎を先ほどまでは纏うだけだった刃がまるで壁になるかのように銀狐を覆い隠した焰で容易く防がれ、さらには迸る焔で武器まで壊してくれます。
舌打ちを一つしながら手にしていたナイフが蒸発したのを確認した私はナイフがなくなった手を素早く握りしめるとそのまま拳を突き進め焔の壁へと突っ込まします。途端、腕を舐めるように這う炎とよくわからなくなった痛覚系回路から伝わる痛みを無視して多分そこにいるであろう銀狐に向けてそのまま拳を振りぬきます。
「メイドパァァァァァァンチ!(焔付き)」
「あぎゃ⁉︎」
振り抜いた拳の先から何かに当たる感触、そして間抜けな声が聞こえたことからそこに銀狐がいて、さらには攻撃が当たるようです。
どうやらこの炎は魔力で生み出されたものではあるようですが壁としての役割は果たしてはいないようです。あっさり拳は抜けましたし。
「とりあえずもう一発いっときますか」
少しばかり焔の勢いが緩やかになった炎の壁へと今度は反対の手に魔導液体を分厚く纒わし手甲のようにすると、先ほどよりも鋭く拳を突き出します。
今度は炎が腕にまとわりつくのすら許さないほどの速度を出して繰り出すとその速さから生じた拳圧が炎の壁を吹き飛ばし、先ほど放った拳がどうやら顔面にクリーンヒットしたらしく狐の仮面がひび割れた状態の銀狐の姿が目に入ります。
まあ、そんなことは正直あんまり関係ないので私はよろめく銀狐に向かい容赦なく反対の拳をひび割れた仮面へと叩き込むのでした。
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