メイドと武器商人
メイドと着せ替えご主人様
ご主人様の仕事部屋にはやたらと大きな机が設置されています。そこには武器調達の依頼書であったり新しい武器の企画書や画期的な物まであるわけですから色々と普通の人が目にしたら即座に証拠隠滅をはかるために目にした人間を殺さなければいけないほどの書類です。
そしてその書類の数々は机の上に塔のように積み重ねられており、机に座る人物の姿が見えなくなるほどの量なわけです。さらに言えば書類は机の上だけでは積み上げることもできないので仕事部屋の至る所に積み重ねられています。
正直な話、毎日少しづつでも書類仕事をしてくださればこんな芸術的なまでの書類による白い空間などは出来上がりませんがご主人様はその…… 気分屋で書類仕事がとても嫌いなので全くやってくれないわけです。
「ふんふんふふーん♪」
そんな書類仕事大嫌いなご主人様が! 仕事部屋に入ると窓から即座に逃げ出そうとしていたご主人様が鼻歌を歌いながら書類仕事をしています。
今日は特に外に出ての取引などがないとはいえご主人様が屋敷にて大嫌いな書類仕事をしているわけなんです! 今日はいつもブーたれていられている姿からは想像ができないほどの活力に満ち溢れています!まぁ、ブーたれてるご主人様も可愛いのですがやる気に満ち溢れたご主人様というのもまた良いものなのです。良いものなのです!〔大事なことなので二回言いました〕
ご主人様のペンを持つ手が閃く度に書類が宙を舞います。いや、決して遊んでいるわけではないんですがね。現に落ちてきた書類を掴み軽く目を通すと不備が見当たらないくらいに完璧に仕上げられているわけですから。
私はというと物凄い速度で宙を舞う書類を次から次へと掴み取ると項目ごとにまとめていきます。けっして遊んでいるわけではないのです。
そんな風にご機嫌なご主人様が塔の如く立ちふさがる書類を鼻歌混じりに恐ろしい速度で仕事を片付け、私が宙を舞う書類を掴み片付けていると控えめなノックが響きます。
「どうぞ」
私が短くも了承の返事を返すと音を立てないように注意しながら扉が開かれ、隙間から顔を出したの我が妹筆頭の無表情顔のフィルでした
「姉様、フルーティ様、準備できたよ」
「万端ですか?」
「ん、姉様の百倍はできるから万端」
親指を立てながらそんなことを言ってきます。
さ、さすがに百倍はないはずです。確かに私は家事が苦手ではありますがさすがに百倍は……
「フィルご苦労様」
「ん、これくらいできるメイドたるフィルには余裕」
すでに机の上の書類はほぼなくなり、顔が見えるようになったご主人様がにっこりと笑いながらフィルに労いの言葉をかけると無表情顔でありながらも少しばかり頰を赤らめながらフィルが照れたように答えます。
ああ、ご主人様からの労いの言葉!
私は戦闘面で労いの言葉をかけていただいたことは幾度もありますが家事について褒められた記憶は全くありません。
一度料理を作ってキッチンを半壊、さらに作った料理をご主人様にお出ししてからは「ケーキとお茶を入れる以外はキッチンに入るの禁止!」と言い渡されてしまいましたし。
なぜか私がケーキやお茶以外の物を作ろうとするとキッチンが消し飛んだりするのは謎ですね。
閑話休題。
屋敷には私以外の人がいることはほとんどありませんがなぜフィルがいるのか? それは私が家事が全くできないということもなくはありませんが母様たるメルエムアンの提案です。
母様曰く、「娘が箱入りになる状態はまずい!」とのことで家事ができない私を使っているご主人様の屋敷に定期的に妹達を派遣してくるわけです。
母様は自分の作った娘がが大好きでたまりませんからね。自分が気に入り、且つ娘を預けても問題ない人物にしか娘を譲ったりはしませんしね。
といっても母様が娘を譲ったりしたのは片手ほどの数しかりません。それほどに母様の眼はきびしいのです。
フィルから聞いた話では母様の屋敷では他にもメイドたる妹が沢山いるため大した仕事がないので家事のできないメイドがいるご主人様の屋敷は順番待ちになる位の人気スポットになっているそうです。いろいろと姉としては複雑な心境です。決して私が家事のできないメイドではないはずです。
「そろそろ時間かな?」
手にしていたペンを置き、椅子にもたれかかるようにしながら大きく伸びをするご主人様。その視線は部屋に備え付けられている柱時計へと向けられています。
「はい、もう少しで予定の時刻になります」
「ホストだからゲストを待たすわけにはいかないよね」
軽やかに椅子から飛び降りるとご主人様は部屋の扉へと向かい歩き出します。今日の仕事はこれまでのようです。ですが普段のご主人様の仕事量から考えるのであれば今日だけでざっと三カ月分の仕事をしているわけです。十分と言えるものです。
「ではご主人様の着飾りを開始しましょうか」
「ん!」
「え……」
ウキウキとして扉を開けようとしていたはずのご主人様が急に戸惑いの声をあげます。はて、どこに戸惑う要素があるというのでしょうか?
「ホストはゲストをもてなすモノです。ならば然るべき服装というものがあります」
「え、このままでよくない?」
「そんなヨレヨレの寝巻きのままで客人の前に出ると?」
「勿体無い」
 
フィルはどうやらご主人様を着飾る気満々のようです。その捕食者の気配を感じとったご主人様はすかさず扉を開けはなち逃亡を試みます。
それを追うようにフィルも扉から飛び出しご主人様を追いかけていきます。
「まぁ、ご主人様は体力がありませんからすぐに捕まるでしょう」
しばらくして私の予想通りにご主人様の悲鳴が屋敷内に響き渡るのでした。
そしてその書類の数々は机の上に塔のように積み重ねられており、机に座る人物の姿が見えなくなるほどの量なわけです。さらに言えば書類は机の上だけでは積み上げることもできないので仕事部屋の至る所に積み重ねられています。
正直な話、毎日少しづつでも書類仕事をしてくださればこんな芸術的なまでの書類による白い空間などは出来上がりませんがご主人様はその…… 気分屋で書類仕事がとても嫌いなので全くやってくれないわけです。
「ふんふんふふーん♪」
そんな書類仕事大嫌いなご主人様が! 仕事部屋に入ると窓から即座に逃げ出そうとしていたご主人様が鼻歌を歌いながら書類仕事をしています。
今日は特に外に出ての取引などがないとはいえご主人様が屋敷にて大嫌いな書類仕事をしているわけなんです! 今日はいつもブーたれていられている姿からは想像ができないほどの活力に満ち溢れています!まぁ、ブーたれてるご主人様も可愛いのですがやる気に満ち溢れたご主人様というのもまた良いものなのです。良いものなのです!〔大事なことなので二回言いました〕
ご主人様のペンを持つ手が閃く度に書類が宙を舞います。いや、決して遊んでいるわけではないんですがね。現に落ちてきた書類を掴み軽く目を通すと不備が見当たらないくらいに完璧に仕上げられているわけですから。
私はというと物凄い速度で宙を舞う書類を次から次へと掴み取ると項目ごとにまとめていきます。けっして遊んでいるわけではないのです。
そんな風にご機嫌なご主人様が塔の如く立ちふさがる書類を鼻歌混じりに恐ろしい速度で仕事を片付け、私が宙を舞う書類を掴み片付けていると控えめなノックが響きます。
「どうぞ」
私が短くも了承の返事を返すと音を立てないように注意しながら扉が開かれ、隙間から顔を出したの我が妹筆頭の無表情顔のフィルでした
「姉様、フルーティ様、準備できたよ」
「万端ですか?」
「ん、姉様の百倍はできるから万端」
親指を立てながらそんなことを言ってきます。
さ、さすがに百倍はないはずです。確かに私は家事が苦手ではありますがさすがに百倍は……
「フィルご苦労様」
「ん、これくらいできるメイドたるフィルには余裕」
すでに机の上の書類はほぼなくなり、顔が見えるようになったご主人様がにっこりと笑いながらフィルに労いの言葉をかけると無表情顔でありながらも少しばかり頰を赤らめながらフィルが照れたように答えます。
ああ、ご主人様からの労いの言葉!
私は戦闘面で労いの言葉をかけていただいたことは幾度もありますが家事について褒められた記憶は全くありません。
一度料理を作ってキッチンを半壊、さらに作った料理をご主人様にお出ししてからは「ケーキとお茶を入れる以外はキッチンに入るの禁止!」と言い渡されてしまいましたし。
なぜか私がケーキやお茶以外の物を作ろうとするとキッチンが消し飛んだりするのは謎ですね。
閑話休題。
屋敷には私以外の人がいることはほとんどありませんがなぜフィルがいるのか? それは私が家事が全くできないということもなくはありませんが母様たるメルエムアンの提案です。
母様曰く、「娘が箱入りになる状態はまずい!」とのことで家事ができない私を使っているご主人様の屋敷に定期的に妹達を派遣してくるわけです。
母様は自分の作った娘がが大好きでたまりませんからね。自分が気に入り、且つ娘を預けても問題ない人物にしか娘を譲ったりはしませんしね。
といっても母様が娘を譲ったりしたのは片手ほどの数しかりません。それほどに母様の眼はきびしいのです。
フィルから聞いた話では母様の屋敷では他にもメイドたる妹が沢山いるため大した仕事がないので家事のできないメイドがいるご主人様の屋敷は順番待ちになる位の人気スポットになっているそうです。いろいろと姉としては複雑な心境です。決して私が家事のできないメイドではないはずです。
「そろそろ時間かな?」
手にしていたペンを置き、椅子にもたれかかるようにしながら大きく伸びをするご主人様。その視線は部屋に備え付けられている柱時計へと向けられています。
「はい、もう少しで予定の時刻になります」
「ホストだからゲストを待たすわけにはいかないよね」
軽やかに椅子から飛び降りるとご主人様は部屋の扉へと向かい歩き出します。今日の仕事はこれまでのようです。ですが普段のご主人様の仕事量から考えるのであれば今日だけでざっと三カ月分の仕事をしているわけです。十分と言えるものです。
「ではご主人様の着飾りを開始しましょうか」
「ん!」
「え……」
ウキウキとして扉を開けようとしていたはずのご主人様が急に戸惑いの声をあげます。はて、どこに戸惑う要素があるというのでしょうか?
「ホストはゲストをもてなすモノです。ならば然るべき服装というものがあります」
「え、このままでよくない?」
「そんなヨレヨレの寝巻きのままで客人の前に出ると?」
「勿体無い」
 
フィルはどうやらご主人様を着飾る気満々のようです。その捕食者の気配を感じとったご主人様はすかさず扉を開けはなち逃亡を試みます。
それを追うようにフィルも扉から飛び出しご主人様を追いかけていきます。
「まぁ、ご主人様は体力がありませんからすぐに捕まるでしょう」
しばらくして私の予想通りにご主人様の悲鳴が屋敷内に響き渡るのでした。
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