メイドと武器商人
メイドと定位置
「ご主人様、冷たいです」
「水かけたからね〜」
のんびりとした様子でご主人様は手にしていたカップを口元へと運びます。
現在、私はきているメイド服共々全身がびしょ濡れ状態。服のいたるところから水滴が落ち、自慢の金の髪からも雫が溢れており足元に大きな水溜りを作り上げています。
「姉様、タオル」
「ありがとうございますフィル」
おずおずと私にタオルを差し出してくる妹に礼を告げるとタオルを受け取り髪を拭きます。
「ですがフィル。なぜ水浸した姉様より先に頼まれてもいないご主人様のコーヒーを入れたのでしょう?」
私の胸が熱くなった瞬間にフィルが魔術回路に魔力を走らせ、私に向けて大量の水をぶちかましてきました。その水量は立っていることができない量で私はフィルの操る水流に飲み込まれされるがままに流されると玄関から外へと放り出されたわけです。
地面を転がされ、泥だらけになった私がお屋敷のリビングに戻るとそこにはすっかりくつろぎ状態でソファに座りカップを傾ける我がご主人様とその斜め後ろの私の指定席に控える我が妹が目に入ったわけです。
「メイドとは主の意向をくむべし、って母様から教わった」
「ご主人様はあなたのご主人様ではないでしょう。あとそこは私の居場所! 定位置です!」
「でもメイドとしてならフィルのほうが完成度高いよね〜」
「はぅあ⁉︎」
特に悪意もなく放たれたご主人様の言葉が私の胸を易々と抉ります。
思わず膝をついた私ですが体をよろめかしながらも立ち上がります。
「で、ですがご主人様をお守りするのは私です! 私なんですぅぅぅぅ!」
「姉様、そんな泣きながら言わなくても」
「もちろんだよリップス。君以外にぼくの護衛は無理だよ」
フィルが若干引いたような顔をしながら私を見ているわけですが私としてはご主人様から認めていただいた言葉だけで十分です!
「硬いしね!」
……認められてますよね?
「で、フィル。君の本当の要件は?」
「母様からの言伝です。約束のものができたのできてほしいと」
「なるほどなるほど」
メルエムアンからの伝言をフィルから聞いたご主人様は顎に手をやり考えるような素振りを見せると手にしていたカップをソーサラーへと置き、考えをまとめたかのように指を軽く鳴らします。
「わかったよ〜 リップス」
「はい! なんでしょうご主様!」
呼ばれた私はすぐさまご主人様の前に膝をつきます。おそらくは私に犬の尻尾などが付いていれば千切れんばかりに揺れていたでしょう。
「地下の四番倉庫にあるトランクケースを三つ持ってきてねぇ。あとついでに着替えて来なよ〜 泥だらけだし」
「了解しました!」
即座に立ち上がっり腰を折るようにして一礼すると体内を循環する魔導液体を増量さし私の肉体の強度を跳ねあげます。
そして一気に強化された足で踏み込みます。
普通の人間ならば体が耐えきれないであろう速度でも私の体ならば問題ありません。
そうして私は瞬きをする間も無くご主人様の前から音もなく姿を消したのでした。
「水かけたからね〜」
のんびりとした様子でご主人様は手にしていたカップを口元へと運びます。
現在、私はきているメイド服共々全身がびしょ濡れ状態。服のいたるところから水滴が落ち、自慢の金の髪からも雫が溢れており足元に大きな水溜りを作り上げています。
「姉様、タオル」
「ありがとうございますフィル」
おずおずと私にタオルを差し出してくる妹に礼を告げるとタオルを受け取り髪を拭きます。
「ですがフィル。なぜ水浸した姉様より先に頼まれてもいないご主人様のコーヒーを入れたのでしょう?」
私の胸が熱くなった瞬間にフィルが魔術回路に魔力を走らせ、私に向けて大量の水をぶちかましてきました。その水量は立っていることができない量で私はフィルの操る水流に飲み込まれされるがままに流されると玄関から外へと放り出されたわけです。
地面を転がされ、泥だらけになった私がお屋敷のリビングに戻るとそこにはすっかりくつろぎ状態でソファに座りカップを傾ける我がご主人様とその斜め後ろの私の指定席に控える我が妹が目に入ったわけです。
「メイドとは主の意向をくむべし、って母様から教わった」
「ご主人様はあなたのご主人様ではないでしょう。あとそこは私の居場所! 定位置です!」
「でもメイドとしてならフィルのほうが完成度高いよね〜」
「はぅあ⁉︎」
特に悪意もなく放たれたご主人様の言葉が私の胸を易々と抉ります。
思わず膝をついた私ですが体をよろめかしながらも立ち上がります。
「で、ですがご主人様をお守りするのは私です! 私なんですぅぅぅぅ!」
「姉様、そんな泣きながら言わなくても」
「もちろんだよリップス。君以外にぼくの護衛は無理だよ」
フィルが若干引いたような顔をしながら私を見ているわけですが私としてはご主人様から認めていただいた言葉だけで十分です!
「硬いしね!」
……認められてますよね?
「で、フィル。君の本当の要件は?」
「母様からの言伝です。約束のものができたのできてほしいと」
「なるほどなるほど」
メルエムアンからの伝言をフィルから聞いたご主人様は顎に手をやり考えるような素振りを見せると手にしていたカップをソーサラーへと置き、考えをまとめたかのように指を軽く鳴らします。
「わかったよ〜 リップス」
「はい! なんでしょうご主様!」
呼ばれた私はすぐさまご主人様の前に膝をつきます。おそらくは私に犬の尻尾などが付いていれば千切れんばかりに揺れていたでしょう。
「地下の四番倉庫にあるトランクケースを三つ持ってきてねぇ。あとついでに着替えて来なよ〜 泥だらけだし」
「了解しました!」
即座に立ち上がっり腰を折るようにして一礼すると体内を循環する魔導液体を増量さし私の肉体の強度を跳ねあげます。
そして一気に強化された足で踏み込みます。
普通の人間ならば体が耐えきれないであろう速度でも私の体ならば問題ありません。
そうして私は瞬きをする間も無くご主人様の前から音もなく姿を消したのでした。
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