魔女メルセデスは爆破しかできない
魔女は魔女と決闘を開始する
「それでは決闘を開始するわ〜」
アリプルプスの間の抜けた声が広間に響く。
すでに幾人もの魔女の魔力を注ぎ込まれて作られた結界の中にメルセデスとベロニクはそれなりに距離が離れた状態で対峙していた。
片ややる気、闘気が満々という様子で短杖を構えるベロニク。
片ややる気なんて皆無。瞳がどんよりと濁っているメルセデス。
そんな2人の姿、いや、厳密には瞳が濁ってやる気を全く感じさせないメルセデスの姿を見て結界の外で見守る魔女たちはもう嫌な予感しかしなかった。
簡単に言うとメルセデスは全くやる気がないというか、もうプッツンとキレていた。
基本的にオドオドとしていてドジばかりするメルセデスであるが一応生物学上では人間(魔女)である。
ビクビクする魔女でも怒りというのは溜まって行くものなのである。
そしてそれが現在爆発しているのだ。
メルセデスはキレると瞳が死んだ魚のように生気を失う。
それは同じように魔女学校で学んでいた者たちにとってはトラウマのような記憶でしかない。
しかもタチが悪いことにキレている間のメルセデスはキレて暴れまわっていた時のことなど微塵も覚えていないのだ。
これだけならアィヴィも別にメルセデスから離れない。
問題はメルセデスがすでに両手に持つ物にあった。
その手にあるものこそが幾人もの魔女へとトラウマを植え付け、さらにはメルセデスと敵対という発想を駆逐し尽くした魔女メルセデスの最強の武器だった。
そんな武器を手にしたメルセデスを前にベロニクは短杖を構え決闘の開始を待っていた。
そんな対照的な二人をニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら一際高い玉座に腰掛けながらアリプルプスはゆっくりと片手を上げる。
「では魔女としての技能を死なない程度、あ、魔女だから死なないわね? 存分に振るいなさいな。はじめ!」
アリプルプスの宣言と共にベロニクが短杖を横薙ぎに振るう。
振るわれた軌跡上に幾つもの眩い光の球が発生する。
「ライトニングショット!」
それらの眩い光の球が弾けたような速さで同時に発射されメルセデスへと迫るがメルセデスは手にしていた武器をそれに比類する速さでベロニクへと向ける。
カチンっと軽い音が鳴り響き、その広間にいた誰の耳にも入ってきた。
「ぎぃぃやぁぁぁぁぁぁぁ!」
攻撃を仕掛けたはずのベロニクが絶叫が上げ、そしてメルセデスへと直撃するであろうと思われたライトニングショットはメルセデスの直前で一つ残らず消失する。
「「「えっ……」」」
その場にいた半数の魔女が驚愕の視線をベロニクへと向けていた。
普通に考えれば攻撃を仕掛けられた側であるメルセデスが悲鳴をあげるはずであった。そう、普通であれば。
しかし実際には悲鳴を上げたのは短杖を持っていた手から血を流しながら膝をついているのはベロニクであり、メルセデスはというと武器をベロニクに向けたまま何事もなかったかのように立っていた。
「っ! チャージライトニングスピア」
血を流しながらも再びベロニクが戦意を漲らせながら短杖を振るう。
今度は球体ではなく輝く槍が三本作られるとベロニクを守るようにベロニクの周辺を回りながら浮遊する。
「ほう。魔法のストックとは!」
「まだ若いのにそれも上級魔法とは」
「これからが楽しみな若者ね」
ベロニクの使った魔法を見てそれなりのお年の魔女たちは関心の声を上げていた。
それほどにベロニクの使った魔法は完成度の高いものだったからだ。
「今度こそ仕留めますわ!」
「え、これって殺すような決闘だっけ?」
やる気がないメルセデスであっても痛いのは嫌なので一応確認したわけなのだが、それに対しての返事は光り輝く三本の槍だった。
アリプルプスの間の抜けた声が広間に響く。
すでに幾人もの魔女の魔力を注ぎ込まれて作られた結界の中にメルセデスとベロニクはそれなりに距離が離れた状態で対峙していた。
片ややる気、闘気が満々という様子で短杖を構えるベロニク。
片ややる気なんて皆無。瞳がどんよりと濁っているメルセデス。
そんな2人の姿、いや、厳密には瞳が濁ってやる気を全く感じさせないメルセデスの姿を見て結界の外で見守る魔女たちはもう嫌な予感しかしなかった。
簡単に言うとメルセデスは全くやる気がないというか、もうプッツンとキレていた。
基本的にオドオドとしていてドジばかりするメルセデスであるが一応生物学上では人間(魔女)である。
ビクビクする魔女でも怒りというのは溜まって行くものなのである。
そしてそれが現在爆発しているのだ。
メルセデスはキレると瞳が死んだ魚のように生気を失う。
それは同じように魔女学校で学んでいた者たちにとってはトラウマのような記憶でしかない。
しかもタチが悪いことにキレている間のメルセデスはキレて暴れまわっていた時のことなど微塵も覚えていないのだ。
これだけならアィヴィも別にメルセデスから離れない。
問題はメルセデスがすでに両手に持つ物にあった。
その手にあるものこそが幾人もの魔女へとトラウマを植え付け、さらにはメルセデスと敵対という発想を駆逐し尽くした魔女メルセデスの最強の武器だった。
そんな武器を手にしたメルセデスを前にベロニクは短杖を構え決闘の開始を待っていた。
そんな対照的な二人をニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら一際高い玉座に腰掛けながらアリプルプスはゆっくりと片手を上げる。
「では魔女としての技能を死なない程度、あ、魔女だから死なないわね? 存分に振るいなさいな。はじめ!」
アリプルプスの宣言と共にベロニクが短杖を横薙ぎに振るう。
振るわれた軌跡上に幾つもの眩い光の球が発生する。
「ライトニングショット!」
それらの眩い光の球が弾けたような速さで同時に発射されメルセデスへと迫るがメルセデスは手にしていた武器をそれに比類する速さでベロニクへと向ける。
カチンっと軽い音が鳴り響き、その広間にいた誰の耳にも入ってきた。
「ぎぃぃやぁぁぁぁぁぁぁ!」
攻撃を仕掛けたはずのベロニクが絶叫が上げ、そしてメルセデスへと直撃するであろうと思われたライトニングショットはメルセデスの直前で一つ残らず消失する。
「「「えっ……」」」
その場にいた半数の魔女が驚愕の視線をベロニクへと向けていた。
普通に考えれば攻撃を仕掛けられた側であるメルセデスが悲鳴をあげるはずであった。そう、普通であれば。
しかし実際には悲鳴を上げたのは短杖を持っていた手から血を流しながら膝をついているのはベロニクであり、メルセデスはというと武器をベロニクに向けたまま何事もなかったかのように立っていた。
「っ! チャージライトニングスピア」
血を流しながらも再びベロニクが戦意を漲らせながら短杖を振るう。
今度は球体ではなく輝く槍が三本作られるとベロニクを守るようにベロニクの周辺を回りながら浮遊する。
「ほう。魔法のストックとは!」
「まだ若いのにそれも上級魔法とは」
「これからが楽しみな若者ね」
ベロニクの使った魔法を見てそれなりのお年の魔女たちは関心の声を上げていた。
それほどにベロニクの使った魔法は完成度の高いものだったからだ。
「今度こそ仕留めますわ!」
「え、これって殺すような決闘だっけ?」
やる気がないメルセデスであっても痛いのは嫌なので一応確認したわけなのだが、それに対しての返事は光り輝く三本の槍だった。
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