エリートヤンキーの嫁にならなきゃいけないのですが

千桜

7話 心の芯

 荒鷲君自ら製作したというレッドのワンピースは情熱が具現化したような純粋な印象を与えてくる。
 損得無しに作られたそれは、お金の以上の価値があると思う。
 「コンテストにはもう出られないと思う。」
 弱々しい呟きはやけにくっきりと店内に余韻を残した。
 虚ろな瞳には何も映っていないかに見える。
  どういうこと?確かに出席率の低さは学校中の誰もが認識しているが、大小問わず、驚異の入賞実績を叩き出しているため、特待生扱いになっているはずだ。
 ふらっと学校に来て、いつの間にか出来上がっている作品を置いて帰ることから「神出鬼没の荒鷲」の異名も保持している。
 良い意味でも悪い意味でも噂の的の彼が、出席停止や退学になったとは聞いたことがない。

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