世界の破壊を阻止せよ[運命を握るのは幼女?!]

千桜

偵察4【1軍 東~メタルエーデ~】

 騎馬隊1軍~毒地へ~

進行する度に粉塵が弧をえがいて空へと広がる。
 異常な程軽い粒子達は、人間が無責任に手放した残りカス。
 当たり前だが、鉱物には有毒なものも多数存在する。

 違法侵入を拒むかの如く、質の悪いイタズラ小僧のように体内を荒そうとしている。
 砂漠地帯でも耐えられるこの防護マスクが無ければ、任務を無事遂行するどころか、塵と成り果ててしまう事は創造に難くない。
 事実として、数多の鳥や小動物の死骸が転がっている。
 我々がお仕えしている王国、ハイリグスランドから見放されてしまった一帯…
 そこがメタルエーデだ。
 国家の領土ではあるが、完全に存在しないものとして放置されている。

生活を捨てた痕跡が残っている土地は悪事に利用するにはもってこいだ。
 では、そんな極地でこそこそと蠢く陰謀の手掛かりとは?
 
 広大な土地から気配を探ることは限りなく困難だ。

 (ん?)
 目の前に転がっていた血のような鉱物に、急に吸い寄せられて分析しようと試みた。
 瞬く間に目眩が強くなり、直ぐに飛び退いた。
 「皆!ここから離れるんだ。早く!!」

 隊長の急な指示に反射的に散らばる隊員達。防護マスクをつけているにもかかわらず
 刺激臭を認識した。

何が判断を狂わせたのか…?
 「ま…か…」

そこでムート・エーデルの意識はシャットアウトした。

 これはまだ絶望に堕ちるまでの序章に過ぎないのであった。

 


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