隻眼の賢者

河野原ぺこ@垢停止中

八話 師匠の怒り

 僕、綯々柊花は王城の前に居た。本当許せないよね。成輝君にあんなことしたんだから。
僕は王城の5メートル位の大きさの門を身体強化魔法を使って蹴り飛ばした。

「敵襲!賢者が攻めて来たぞ!なんとしても魔王様だけは守れ!」

 僕の攻撃に気づいて兵士達や騎士達が門の方に集まって来た。

「「「ここからは通しません!!!!」」」

「とりあえず、うるさいから黙ってもらおう。『エリアパライズ』」

 僕は無属性魔法の麻痺範囲魔法を使って動けなくした。無実の人を殺したくないからね。

「「「か、身体が、動かん!?」」」

「そこでじっとしてね」

 僕は殺気を少しだけ放った。その場に居た者は僕の殺気で恐怖に支配されて喋れなくなった。まぁ、このぐらい朝飯前だね!さてと

「マグラは居るよね?さっさと出てきた方が良いよ。さもないと、王城の一部を破壊しちゃうよ?」

 僕がさらに殺気を強めると顔が真っ青になった魔王マグラがとてつもないスピードで飛び出てきた。

「トウカ殿••••••。どうかいたしましたか?」

「どうやら?僕のかわいい弟子が君の娘を助けたみたいなんだけど?知ってる?」

 魔王は少し考えて始めた。

「いえ••••••。ま、まさか!?あの子供が••••••」

 魔王の顔色がどんどん白くなっていく。

「そのまさかだと思うよ。それに君の部下は僕のかわいい弟子に拷問はしない。ただ話を聞くだけと言ったはずだよ。でも、僕が迎えに行った時拷問にあってたよ?ねぇ、この落とし前、どうしてけれるの?」

「うぅぅぅ。そんな事が••••••。すまない••••••」

「僕のかわいい弟子を傷めつけた騎士達はちゃんとした罰を受けるんですよね?ここでどうするか詳しく宣言してくださいよ」

「うぅぅぅ、分かった。拷問した騎士を処分する事を誓おう!」

「ん、それと僕のかわいい弟子に拷問しろと言った上官がいると思うんだけど?」

「そうなのか?クルドとマーレを呼んで来い!今すぐにだ!」

 魔王の一言で麻痺が解けた兵士達や騎士達が一斉に動き出す。その時、

「魔王様!助けに参りました!」

 一人の女騎士が走ってやって来た。そして、抜剣をした。

「マーレ。我は守らなくて良い。それより、クルドを連れて来てくれ••••••」

 いつの間にか僕の前に五人の騎士がいた。ん?四人は成輝君を拷問してたから知ってるけどもう一人は誰?

「「「「「申し訳ありません!」」」」」

 五人はいきなり頭を地面に突き刺すように土下座をした。

「な!?騎士長!なんで頭を下げているんですか?」

 確かマーレとか言った女騎士が騎士長と思わしき騎士に話しかけた。すると騎士長?が「お前も頭を下げろ!」と囁いていた。全部聞こえてる。

「貴方達?さっき、気絶させた騎士達だよね。僕のかわいい弟子のステータス見た?」

「「「「••••••見ました••••••」」」」

「なるほど、『カース』。これでよし。もし、君達が僕のかわいい弟子のステータスを口にしたら死ぬようにしたから。あと、拷問させるようにしたのは、騎士長?それとも副騎士長?それとも他の人?」

「「「「騎士長です!!」」」」

「うん、分かったよ。そこの騎士長!相当の罰を受けるんですよね?」

 騎士長は頭を下げて、

「辞職します。ですので、この国を滅ぼさないで下さい!お願いします!」

「分かったよ。明日、慰謝料を沢山貰いに来るからよろしくね。『テレポート』」

 騎士達と兵士達は安心感と共に膝を崩した。

「騎士長!何をしたのですか?」

「あの子供がアルフェリス姫を誘拐したと思って、拷問してしまった••••••。その子供が賢者の弟子だった••••••」

「なんて事だ。それは、怒ってしまって無理はないな••••••。魔王様、あの子供の慰謝料は騎士長の退職金とポケットマネーから出しますので安心して下さい」

「しかし、こちらからも金を払わんと何を言われるか分からんからな••••••。こちらで1000万カラ用意する。そちらは500万カラ用意しろ」

「分かりました。ほら、騎士長!退職届の手続きとお金の準備をしに行きますよ!」

「これから••••••。どうやって生きて行こう••••••」

「冒険者とかやればいいじゃない?」

「うぅ。安定した給料が入ってこなくなる••••••」


◇◇◇


 俺は師匠の家で服を替えて待っていた。

「師匠••••••。大丈夫かな?まぁ、賢者だし大丈夫でしょ。それより、街を破壊してないかな?」

 師匠の事だから、感情に任せて荒れ狂っていると思う。一日一緒に居てそう思った。

「ただいま」

「おかえり!師匠!大丈夫だった?」

「何当たり前の事言ってるの?大丈夫に決まってるじゃん。僕を攻撃したら王都の結界解けちゃうからね。それより結構な額の慰謝料がくるよ!やったね!」

 結構たくましい。まぁ、伊達に86年も生きるだけはあるな。

「それじゃあ、ご飯の準備するから待っててね」


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