目が覚めたら悪役令嬢になっていたので最強のヴィランズになってみたかった(失敗)

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聞いてない、聞いてないわ!③

 私は怪訝な目で父親を見ていると気を取り直したのか、威厳のある表情を作り直して私をにらんだ。

「クリスティーナ。何度言ったらわかるんだ。勝手に物事を進めたらいけない」

 何度言ったらわかるんだ、ですって。クリスティーナったら以前も何かしたみたいね。

「動物が飼いたいからと農場を契約したり、家の敷地を広げたり地下に遊技場を作ったり……次は子供か! もうなにも驚かんぞ!」

 思っていた以上に破天荒なお嬢様ね。もしかして私、乙女ゲームじゃなくてアドベンチャーゲームでもしてたのかしら? いや、もしかしたら語られていないだけでなかなか凝った設定だったのかもしれないわね。このクリスティーナ、めちゃくちゃに面白い人じゃない! ますますヴィランにならなきゃいけない気がしてきたわ。

 結局、父親も快諾(なのかな?)してくれたみたいだし、これからは本格的に奴隷商人になるために頑張らなくちゃ。まずは実績を作らなきゃ。それも一か月で。
 そういえば、本当のヒロインとの顔合わせがもうすぐだったはず。いつも通りの高慢ちきな態度でわめくのもなんだか嫌だわ。
どうせなら、とっておきの挨拶をしなくちゃ。

 ……別に殺しはしないわよ。

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