目が覚めたら悪役令嬢になっていたので最強のヴィランズになってみたかった(失敗)

————

聞いてない、聞いてないわ!①

 ひしっと子供たちと抱き合っていると使用人の一人が私にそう告げた。耳を澄ませると確かに馬車の音。

 どこかの公爵様と会議でもしていたのかしら? 父親の仕事を知らない娘ってヤバいのかもしれないしれないけれど、設定にないキャラクターの把握はできないわ。

 まぁこれからゆっくり知っていくことになるのだけれど。

 子供たちをとりあえずマベルに連れて行って貰って、一人で父親の帰りを待つ。

 姿勢は正して。なるべく気丈に。意地悪な顔も忘れないわ。

 しばらくすると、広間の扉がゆっくりと開いて恰幅の良い男性が姿を現した。

 豪華な衣服。きっちりと分けられた前髪に神経質さを感じた。クリスティーナにデレデレだとはきいていたけれど、本当にそうなのかしら……?

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品