女神と一緒に異世界転移〜不死身の体と聖剣はおまけです〜

子供の子

第78話 ノリノリなノリ

 暇だなあ。
 どうするかなあ。
 誰かの部屋に特攻でもかけようか。


 と考えていると、自分がギャルゲーの主人公になったかのような気分だ。


 ちなみにこの船は自動航行だ。
 途中でツィード海峡みたいな魔境はないから、操舵師は必要ないのである。この世界の魔法ってどれくらいまで発展してるんだろう。


 日本の――というか元の世界の科学とどっこいくらいなのかな。
 でも戦闘機とか見た事ないしなあ。


 どうでも良いや。
 そもそも科学がどれくらいまで進んでるのかもしらない。


 俺の一番新しい科学知識は青色発光ダイオードだ。何が凄いのかも知らないけど。何が凄いのあれ。青いフィルム貼ったら青くなるんじゃないの。とか言ってたら怒られそうだからやめとこう。


 青と言えばミラだな。
 ディーナも青と言えば青だが、ディーナはどちらかと言えば水色だしミラは藍だ。
 見た目はまあまあ違う。


 ……ミラのところに行ってみるか。
 魔法学校通ってたらしいし、なんか面白い魔法使えるようになっているかもしれない。



















「夜這いにでも来たの?」
「まだ夜じゃないし夜這わねーよ」


 ミラの部屋に行くと、扉を開けて早々そんな事を言い放った。
 本当に夜這いしにきてやろうか。でも夜はラリアとの特訓もあるしなあ。


「いや、お前魔法学校ってとこに通ってたらしいじゃん」
「そこでボクが寝取られてないか確認しにきた、と」
「ちげーよ」
「半端じゃない自信だね。自身に対して」
「そう言われるとそうでもない気がしてくるが……」


 確かにこいつが魔法学校でどんな奴と絡んでたかは知らないんだよな。中に男がいたらどうしようか。とりあえずぶっ飛ばそうか。


「大丈夫、安心して。ボクは基本ボッチだったから」
「それは安心して良いのか」
「して良いよ。孤立してたわけじゃないし」
「違いが微妙で絶妙だな」


 しかも良い意味で微妙なのかどうかも分からない。まじで絶妙だ。そうか、こいつ友達いないのか……
 まあ初対面で俺の首ぶっ刺してきたという前科もあるし、コミュニケーション能力は普通に低いのかもしれない。今考えるとただのやべー奴だよなこいつ。


 俺じゃなかったらあれで死んでるもん。


「流石にボクだって全ての人間に対しての初対応がナイフで首を刺すってわけじゃないけど」
「こんにちはって話しかけたらうっせー黙れブスくらいは言いそうだと思ってたよ」
「うっせー黙れまでは言うかも」
「コミュニケーション能力皆無じゃん……」


 俺はこいつを真人間にするために努力するべきかもしれない。


「でもそうしたらボクってほら、可愛いからモテモテになっちゃうよ」
「それは困るなあ」
「普通に困るんじゃなくて自分で自分を可愛いと言った部分に突っ込んで欲しかったかなあ」
「お前のキャラはブレブレだからいちいち台詞を真に受けないんだよ」


 未だにこいつのキャラが分からない。ノリで生きてるんじゃないだろうか、こいつ。


「ノリでというかノリノリで」
「表情に出せよ」
「ボクっていう一人称もノリで」
「ノリノリだな」
「いえーい」


 無表情だった。
 こいつただの変な奴なんじゃないだろうか。
 俺はとんでもない奴を嫁にしてしまったのかもしれない。


「俺なんでお前のところに来たんだっけ」
「夜這いに来たんじゃないの?」
「そんな動機ではなかったはずだ……そうそう、お前魔法学校通ってたんだよな」
「ボクが寝取られてないか確認しに来たの?」
「やめろ、話題がループする。なんか面白い魔法でもないかなって思って」


 こいつと話してるだけでも相当面白いが。
 それはそれでこれはこれだ。


「面白い魔法ね。特にないかな」
「そりゃ残念だ」
「帽子の中から鳩を出すくらいで」
「それは手品だろうが。ていうか本当に出来るのか?」
「出来ない」


 ノリだけで生きている女、ミラ。
 ノリで死にそうで怖いなこいつ。


「魔法学校へ行って何か得たものとかあるのか?」
「真の友情を」
「お前さっきボッチだったって言ってたじゃん」
「特に得るものはなかったかな。改めてボクは魔法に向いてないって分かっただけ」
「ふぅん。やっぱ向き不向きとかあるんだな。俺も向いてないみたいだし」
「そもそもボクは魔力が少ないからね。ユウトはその点では恵まれてるほうだと思うけど」
「魔力が多くても垂れ流しじゃあなあ」


 ファイアーボールが爆弾になりかねない。
 魔眼に注ぐ分の魔力も考えれば、やはり魔法は使わない方が良いのが現状だ。その爆発が俺だけに及ぶのならまだしも、周りも巻き込むからなあれ。


 初めて撃った時もセレンさんがいなければどうなっていたことか。


 いや、セレンさんがいなければそもそも撃つこともなかったか。
 マッチポンプというやつだな。


「ユウトは」
「うん?」
「ユウトは魔法学校へも行くの? 剣術学校も中途半端な形で出る事になっちゃったけど」
「うーん」


 魔法学校。
 心惹かれるものはあるが、ミラの話を聞いてみると、行ってみて有意義な事はあまりなさそうなんだよな。
 ぶっちゃけて言えばセレンさんにだって教わる事が出来るし。


 剣術学校でそうだったから今言えることだが、また中途半端なところで投げ出す――という形になる可能性もあるし。


「多分行かない。魔法、使えたらかっこいいと思うけどな」
「セレンがいるしね」
「セレンさんいるしな」


 これは後で聞いた話で、本人には確認をとっていないただの風の噂なのだが、竜の海にエルフが攻め込んできた際、俺とパルメ、セレンさんはそれぞれ一人で各方角を完封した。


 ……俺は厳密には一人じゃないか。
 まあそれは置いといて。


 その時にセレンさんはなんと、相手方に一人もけが人を出さなかったという。
 いやこれは全員殺したからけが人がいないとかいう頓智じゃなくて、普通に誰にもけがさせずに完封したのだとか。


 何をどうしたらそうなるのか分からないが、実際やれるであろうだけの力を持っている。


 そんな人がいるのに、しょぼい魔法が使えるようになったところでどうなるんだ、というのも確かにそうである。
 もちろん使える事に越したことはないだろうけども。
 あのファイアーボールだって何かでどこかで使えるかもしれない。
 使いどころは思いつかないが。


「無詠唱ならまだしも、ユウトはそれすら出来ないしね」
「お前自分が出来るからって大きい顔しやがって。小さいくせに」
「ユウトもそんなに身長高い方ではないよね」
「言うな」


 俺は断じて小さくはない。
 大きくもないけど。
 平均くらいだ、平均くらい。


「それに俺は身長の事を言ったんじゃない。おっぱいの事を言ったんだ」
「おっぱいならユウトよりはボクの方があるね。無しと有りくらいの差があるね」
「男におっぱいは無いだろう……」
「太っている人とかはたまにボクより大きかったりする。削ぎ落したくなるよね」
「よねって言われても。猟奇的過ぎるだろう」
「強制的に痩せさせる薬とか開発しようかな」
「開発出来たらお前は億万長者だよ」
「ただし副作用で胸が膨らみます」
「……それは女性的にはありなんじゃないか?」
「有りか無しかで言えば有り」


 デメリット無しのスーパー凄い薬じゃねえか。
 男は飲めないけど。


「飲み薬だなんて一言も言ってないよ。塗り薬だ」
「変なとここだわるなお前」
「しかも異性に塗って貰わないと効果が出ない。……あ、親族は無しで」
「思いつきで設定を足してくな」
「稀に皮膚が緑色になる人がいるくらいだからきっと売れるはず」
「微妙なラインだな……」


 ギリギリ試そうと思うか思わないかの。


「皮膚が緑になるのは塗った人だから塗られる人には全く何の害も無いね」
「なんだその妙な副作用は」
「巨乳が好きな男を緑色にすれば相対的に貧乳の価値が上がると思って」
「こういうのもなんだが、普通巨乳を消そうと思わないか?」


 俺より成績良い奴が全員テスト休めば俺が一位取れるのに、みたいな発想で。


「巨乳を消してったらいずれ自分に行き着くかもしれないし」
「無いよりは有るって言ってたもんな……」


 悲しくならないのだろうか、自分で。


「悲しくなってきたからやめよう」
「別に俺は胸の大きさで女性の価値を測らないが」
「セレンもパルメも巨乳だし、ディーナもああ見えて結構あるんだよ」
「まじか」


 ディーナは並みくらいだと思っていたのだが。
 隠れ巨乳だったか。
 気付かなかった。


「ボクも隠れてるだけで巨乳かもしれない」
「それは無いのを俺は知ってる」


 直に見たことあるからな。
 紛れもない貧乳だった。


「貧乳って凄まじい言葉だよね。貧しい乳って。何の恨みがあってそんな事を言い出したんだろう。控え目にボクの怒りを表現すると言い出しっぺを見つけて八つ裂きにしたい」
「控え目なのはお前のむ……いやなんでもないです」


 本気で睨まれたのでやめておく。
 触らぬ神に祟りなしだ。
 触らぬというか障らぬというか。


「ボクの胸は揉む程はないけど、触ることくらいなら出来るよ」
「自らネタにしていくなら俺を睨みつけるなよ……」


 やっぱノリだけで生きてるなこいつ。
 ディーナなんかもノリは良い方だけど、こいつはノリが良いと言うかノリノリなんだよな。ノリで乗ってる感じ。


「いえーい」
「せめて何か動きをつけろよ」

「女神と一緒に異世界転移〜不死身の体と聖剣はおまけです〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く