女神と一緒に異世界転移〜不死身の体と聖剣はおまけです〜

子供の子

第61話 また追加

 次の日からなんとなく――というか確実に、ディーナのボディタッチが増えた。気付いていない訳ではない。が、気付かない振りをしないといけない。


 嫁三人もいるし……
 不倫は駄目だし……
 とか思いつつも、やはり美少女に迫られれば心は揺れる。


 三日に一度セレンさん達と会わなければ絶対既に折れてる。


 鋼だ。
 鋼の意志を持つのだ。


「めんどくせぇ。さっさとくっついちゃえよ」


 と。
 唐突にルクス先生が言い放った。
 夜の特訓中の事である。


「ぶふっ。何のことですか?」
「吹き出しといてとぼけるな。ディーナの事だ」
「…………なんであなたが知ってるんですか」
「あたしはこの学校の保険医だからなぁ。恋の相談とかも受ける訳だ」


 ……なるほど。
 ディーナから相談を受けてたのか。
 いつの間に……


「あれは真剣だぞ。剣術を習ってるお前なら、真剣って言葉にどれだけの意味があるか分かるだろ」
「…………」
「フるならフるでさっさとしてやれ。一つの恋に――叶わぬ恋に縛っておいて良いほど、あの子は器量の小さな人間じゃない」
「……分かってますよ」
「あたしにはあの子とくっつかない理由が分からないんだがな。もしかしてお前も同性愛者なのか?」
「違いますよ……。俺、嫁がもういるんです。三人」
「で?」
「で? ……って……」
「だから何だよ。四人目の妻を娶っちゃいけない法なんて無いぞ?」
「いや、こう色々とまずいじゃないですか。三人が納得するかしないかとかもあるし……」
「お前の嫁は四人目が増えたくらいでへそ曲げる器の小ささで、ディーナはその三人に納得されない程適当な生き方をしてる人間か?」


 ……四人目が増えるのは『くらいで』で済む問題なのか?
 俺が日本の常識に囚われすぎているのだろうか……


「もっと下半身に正直に生きろよ」
「女性にそんな事言われる日が来るとは思いませんでした」
「あたしは自分が男だったらいいのにと何度も思うからな。男のくせに女の子を拒む理由が本気で分からん。ホモならまだしも」
「ホモじゃないですって」
「なら決まってるだろう」
「…………」


 決まってる、か。

















「ディーナ。俺には三人の嫁がいる。それでも良いか?」
「ふえっ!? な、何が!?」
「ルクス先生から話を聞いて俺も決めた。ディーナが良いならまず三人のところへ連れて行く。三人の許可を貰えれば正式に付き合おう」
「えっ、ちょ、ちょっと待って。えっ? …………良いの?」
「いいんだよ。お前が良ければな」


 後はセレンさん達の方だが……
 まぁなんとかなるだろう。
 なんとかするさ。


 という訳で、セレンさんとミラが拠点としている場所までディーナを連れて飛んだ。
 飛んだってのは比喩でなく翼を使って飛んだって事だ。
 ……と、今更説明しなくても良いか。




「ほら連れてきた」


 二人の元へディーナを連れてきた時に、二人が示した反応はそんな感じだった。


「もう少しかかると思ってましたけど、早かったですね」
「ユウトの節操の無さは知ってるし」


 俺節操ないの?
 結構我慢したつもりなんだけど。


「ここに来る時の態度で、あぁ学校に素敵な子がいるんだっていうのは気付いてたので、今更ですよユウトさん。私たちから言おうと思ってたくらいですし」
「そう……なんですか……」


 俺の一人相撲だったのか……
 なんだったんだ俺の葛藤は。


「ゲート、今繋げるのでちょっと待っててください」
「ゲート?」
「あー……この人、色々魔法使えるんだ。慣れて」


 聞きなれない単語に首を傾げるディーナにそう伝える俺。
 そう言うしかなかった。


 ゲートの先は当然、


「お、ユウト達じゃないか? うん? 誰だそいつ」
「もう一人増えるんだ」
「そうか。で、何か用か?」


 こういう奴の所だ。


「こいつはパルメ。三人いるって言っただろ。そのうちの一人で、元竜王」
「竜王!?」
「慣れてくれ」


 もうこう言うしかなかった。


「ではユウトさんはここまでで」
「はい?」
「ここから先は男子禁制です。はい、早く寮に戻らないと」
「ええええ」
「明日の朝一番でディーナちゃんを連れに来てくださいね」


 セレンさんにゲートに押し込まれ、俺は締め出された。
 ええ……
 大丈夫だろうか。


 俺の見ていないところでディーナを始末するとかじゃないよな……?
 ……とりあえず戻るか。


 無人の宿から飛び出し、寮へ帰る俺だった。


 そして。
 次の日。


「ユウト君、凄い人たちに囲まれてたんだね……」
「そうだな」
「ユウト君も凄い人だったんだね……現竜王だなんて……」
「名前だけな」
「なんか色々よく分からないけど、みんな良い人だったよ」
「だろうな」
「……その……これからよろしくお願いします」
「あぁ。こちらこそ」


 と、言う事だった。

















 学年一位ディーナと学年二位(俺)の交際はすぐに学校中に広まった。いつの間にそんな順位が出来ていたのか知らないが、ディーナが一位で俺が二位というのは周知の事実だったようだ。


 ちなみにディーナは知っていた。


 二位(俺)にダブルスコアをつけての一位らしい。
 剣術の腕で言えば確かにダブルスコアが付いてそうだが。


 それにしても、俺が学年二位なのか。
 ほとんど身体能力だけでの評価だよなこれ。


 嬉しいような嬉しくないような。
 微妙な気分だ。


 ディーナ一位は納得である。
 この学校は最長で三年制らしいが、その三年目の人たちと比べてもディーナは見劣りしない。どころか、三年目の人たちと比べても強い。


 学校最強との噂も名高い。


 これがもっとバチバチした学校なら三年生の一位の人とバチバチするのかもしれないが、そんな事はない学校なのでへー一位なんだー二位なんだーで終わりである。


 何かイベントが起きても良さそうなものだが。


 要するに何が言いたいかと言うと、俺もディーナも学校内でそれなりの知名度があって、それなりに顔が知れてたのでこのスクープが広がるのも早かったという事だ。


 どこから広まったのやら。
 火のないところに煙は立たぬと言うが、煙が広がるの早すぎるだろう。


 まぁ。
 付き合い始めたところで、何かが変わった訳でもない。


 今までもまぁまぁ親密にしてたし、これと言った変化はない。
 座学では隣に座り、実践形式では組む相手だ。


 肩書きが付いただけみたいな。


「あ、ユウト君。背筋背筋」
「む……」


 また曲がっていたか。
 背筋が曲がってしまうのはもう生来の癖だな。
 猫背というやつだ。


 ずっとそうだったのをすぐに矯正するのは難しい。
 だからと言って泣き言ばかりは言ってられないが。


「でも、本当にだいぶ良くなってるよ。木刀での打ち合いも段々わたしも余裕なくなってきてるし」
「そうだと良いんだがな」


 まだ魔王に勝てるレベルまで達しているとはとても言えない。
 聖剣は支援バフ用で、日本刀を主武器にしようと思っているのだが、恐らく魔王を倒す時のトドメは聖剣での超必だろう。


 あれも数発は撃てるようにしとかないといけないな。
 避けられたり耐えられたりすることも想定の範囲内にしておかなければ。


 聖剣に力を留めたまま振るという手段もあるが、あれは集中力がかなり必要だ。戦闘の序盤から使えるものではない。
 ルクス先生にも言われたが、初撃は躱される事前提だ。


 日本刀で出来るだけ削って、聖剣でトドメを刺す。
 これが一番理想的な形だ。


 日本刀は振れば振るほど威力が上がるしな。
 ちなみにリセットの基準は鞘にしまう事。
 だから鞘に仕舞わずに影に突っ込んである。


 魔王と戦うのがいつになるか分からないが、その時には日本刀での一撃もかなりの威力になっているだろう。


「ユウト君、背筋背筋」
「あ、あぁ」


 まだまだ先は長そうだ。

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