スラム街で暮らしていたら我儘お嬢様に雇われました

THEO

ボディーガードとしての仕事

俺が不知火家のボディーガードになって次の日。
俺は玲葉に館の案内をしてもらうことになった。
「ここが貴方の部屋よ…あ…名前聞いてなかったわね。なんていうの?」
「名前はない。生まれて親に捨てられて名前もつけられなかったからな」
「そうなのね…じゃあ私がつけてあげる」
「いいのか?」
「でも夜まで待って。ちゃんと考えたいから…いいかしら?」
「ん?あぁ…構わないよ」
「てか…なんでいきなりタメ口?」
「なんとなく」
「昨日は敬語ですごく可愛かったのにね〜」
「うるせぇ!」
俺がそう言うと玲葉は苦笑していた。
「貴方にとって黒歴史ってやつね…じゃあこの館を一通り案内するわね」
と俺は玲葉に館のいろんなところを案内された。
図書館や大浴場、食堂の場所を案内してもらい全ての部屋を案内してもらったら俺は自分の部屋に戻り小説を読みながら休憩していた。
小説は素晴らしい。
いろんな世界に入り込むことができる。
と小説を読みながら俺はそんなことを考えていると…
「来て早々ダラダラ過ごすのは良くないと思いますよ…」
「昨日玲葉と一緒にいたメイドか…」
「呼び捨て…私のやお嬢様には敬語で話した方がいいと思いますよ」
「玲葉はそう言うところが気に入ったんだろ?メイド長の出る幕じゃあないと思うが?」
「いえ。私はお嬢様のメイドです。
そのメイドが出るのは合ってると思いますが?」
「そうかそうか」
俺は適当な返事をし小説を読む。
「真面目に聞いてますか?」
「いちよう耳には入れてるよ」
「やっぱ貴方…ボディーガードに向いていませんね。死んでください」
と笑顔でナイフをこちらに向けてきた。
「俺は戦闘能力に至っては皆無なんだ。
そんなもんもって来られたら即死だよ」
「戦闘能力もないのにどうしてボディーガードにしたのかしら?お嬢様…」
「顔がイケメンだからじゃないか?」
と俺はキメ顔をする。
「貴方殺しても私捕まりませんよね?」
また笑いながらナイフを出した。
「それは俺は分からん」
と俺は小説を読みつつ答えた。
「まぁ私は仕事があるので失礼します。
貴方もちゃんと仕事をして下さいね」
「ほいほい…わかってるよ…」
と俺が返すとあのメイドは俺の部屋を立ち去った。
「あれ?小百合来てたの?」
と入れ替えになるように玲葉が俺の部屋に入ってきた。
「あー…うん。まぁ」
「…なんかあったの?」
「めんどくさいこと…」
「小百合って意外と頭固いのよね…。アレ治んないのかしら?」
「アリャ〜無理だな。もやは病気レベルだ」
「そこまで言っちゃかわいそうよ」
「まぁ…少し疲れてるみたいだからもう少し後にまた来るね」
「あーわかった」
「あー後…貴方の名前…紗羅季でどう?」
「すげー嬉しいよ!良い名前ありがと!」
「…喜んでくれてよかった…」
そして顔を赤く染めつつ玲葉は俺の部屋を出て行く。
そして物音一つしなくなった俺の部屋ではにやけながらも俺が一人読書をしていた。

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