天災殺しの異世界無双

マシュまろ

第5話 盗賊団

*スキル「空中徒歩」で少しずつ降下していくともめているのではなく、複数人で構成された集団に、ひとりの少女が襲われているようだった。集団は10人くらいで全員格好はバラバラだったがそれぞれが武装した男性だった。

「あれは山賊とか野盗の類いかな?」

降下しながら様子を見ていたマガンは襲われている少女を見た。服を男達に破かれているところを見ると何をこれからされるか安易に想像がついた。

「まずいな」

マガンは誰も自分の事に気付いていないのを確認すると、スキル「転移」を使い少女に掴みかかり下卑た笑みを浮かべている男達の後ろに転移をした。

*少女は涙を流しながら、自分がこの後どうなるのか悟っていた。神がいるなら多分死ぬほど憎んだだろう。自分が何をしたんだと。彼女の名前はカリン。フォックスヒュームと呼ばれる狐の耳と尻尾を持った獣人であった。姉のためにここから先にある王国に買い物をしに行こうとした矢先、この盗賊団に襲われた。山の外まで逃げてはこれたがとうとう捕まり、服を破かれ、道をふさがれ、まさに絶対絶命の状態だった。

(ごめんね。お姉ちゃん…)

逃げるのを諦めて静かに目を閉じようとした時、

「よう。こんなところで何してるんだ?」

空から天使が降ってきた。

*急に後ろに現れた男に盗賊団は驚いていた。その隙にマガンはスキル「神眼」を使って、盗賊団の詳細を確認した。

【マカルル山の盗賊団】
R級
マカルル山にいる盗賊団。実力は下だが、逃げ足は速い。

(マカルル山…俺がさっきまでいた山か。こんな山ゲームにはなかったな。)

マガンが首を傾げていると、集団の中から髭を生やした男が現れた。

【マカルル山の盗賊団リーダー】
R級
マカルル山の盗賊団のリーダー。リーダーと言っているが実力は下。逃げ足が速い。

「おい!テメェ、俺達が誰だかわかって声かけてんのか!ああん!」

吠える盗賊団のリーダーを無視しながら後ろで怯えた様子でマガンを見る狐耳の少女を見る。マガンは少女に優しく微笑むと、今度は未だ吠え続けている盗賊団のリーダーの方に顔を向けた。

「テメェ、俺たちのこと舐めてんのか!オイ!」

今まで散々無視されていたのがよほど気に入らなかったのか、マガンが顔を向けたと同時に殴りかかってきた。だが、マガンは涼しい顔で殴りかかってきた盗賊団のリーダーの拳を右手で受け止め、さらに受け止めた拳を自身の圧倒的な力でぐちゃぐちゃに握り潰した。

「あああああ!お、俺の手がぁぁあ!」

潰された手を見て痛みと恐怖で叫ぶ盗賊のリーダーを余所目にマガンは拳を握りしめて盗賊のリーダーの溝うちに正拳突きをくらわせた。盗賊のリーダーは凄まじい音と共に悲鳴をあげる暇もなく空の彼方に飛んでいく。残った盗賊団のメンバーと襲われていた少女はその一部始終をただただポカーンと見るしかなかった。だが、マガンの行動はまだ終わらない。次は残された盗賊団のメンバーを見る。それに気付いた盗賊達は我先にと逃げ出そうとするが、逃げる前にマガンは右手を盗賊団に向けスキルを使う。

「スキル【殺意LV1】【狂気伝染】発動」

マガンがスキルを発動させると同時に逃げようとしていた盗賊達は顔を真っ青に染め、全身から汗を流し、泣きながら声にならない悲鳴を叫びつつ一目散に逃げていく。マガンを背に逃げる盗賊達を襲われていた少女はただただ見ていた。



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