冷酷無比な殺し屋が一人の高校生となって異世界転生するとこうなる

Leiren Storathijs

自由行動

俺たちはギアリッグを解放後、ギアリッグの王、アヴァンから特注の武器を手に入れた。それから次の行動について話しあっていると謎の青年、本名は分からないがアンノウンと名乗る青年がアヴァンの元に現れ、直後ギアリッグに万を超える魔王軍を召喚した。

しかし普通ならば絶望的な状況に対してアヴァンは、魔王軍の襲来に慣れており、今回ばかりは数の多さで危なかったが、アヴァンが渡した武器の中でも神月に渡した魔道書が役に立った。

結果、神月による大魔法で状況は一変し、アヴァンの全力の一撃により、魔王軍は一瞬で消滅した。

仁道「おいおいおい!何してくれてんだぁ!?てめぇがやった攻撃の所為で危うく死ぬ所だったじゃねぇか!装備も一瞬で塵になっちまったしよぉ!」

先程までゴツい装備をしていた仁道がアヴァンの炎により塵となって消え、上半身が丸裸で煤まみれになっていた事に、アヴァンは大笑いする。

アヴァン「ガッハッハッハ!いやぁ、すまねぇすまねぇ……直ぐに新しい防具を弁償してやるから心配すんな。と言っても、特注されたのは武器だけだからな。防具はこのギアリッグに売ってる防具を新調してやるよ」

仁道「ったくよ……王国から貰った良い装備だったってのによ」

天野「気に入ってたのかよ!」

アヴァンは笑いを止めると、神月の方を向いて言う。

アヴァン「いやぁにしても、姉ちゃんの魔法最高だったな……あんな魔法まで魔道書に入れてたなんて知らなかったぜ……」

葛城「あんな魔法?とはなんだ。いや、確かに古代の力を研究したとは言っていたが、まるで予想以上の力を目の当たりにした様な口ぶりだな」

アヴァン「おう。そうだな……その魔道書に入ってる魔法はあくまでも古代の力って事は分かってはいるが、何せ未知の力だからな。実験とかはせず、何となく有力そうな魔法をそこに入れただけなんだよ」

神月「な、なるほどねぇ〜……まぁ、私は今ので魔法の感覚は若干だけど掴めた気がするし……」

これはまた予想外な成長だ。魔法は持っているが、発動の仕方が分からないと役に立つまで道は遠いと思っていたが、若干でもコツを掴めたなら、専門的な訓練をすれば更なる成長が見込める。

アヴァン「おぉ!どんな感じだ?」

神月「こう……なんというか、魔法を詠唱している時、自分の中で魔力が増していくのを感じたのよ。んー、魔法発動の条件が一つ一つ揃いながら鍵が開けられる感じ?」

アヴァン「へぇ〜そりゃコツというより、最早魔法発動の原理を理解していると言っても過言ではねぇな」

神月「え!?原理まで?」

アヴァンが言うに、魔法とは一部無詠唱があるが、殆どが詠唱が必要らしい。全ての魔法には必ず詠唱する為の言葉が決められており、詠唱を一言でも間違えれば、全く別の魔法になったり、不発で終わってしまう様だ。

しかし、詠唱と言っても一文一句正確に読まなければ行けないという訳では無く、それらの詠唱に近い言葉であれば、半ば適当な詠唱でも短縮する事も出来るという。

神月「うーん……しっかり説明してくれたのは嬉しいけど……感覚だからね……」

瑠璃川「いやいや!神月ちゃん感覚だけでも凄いよ!あたしなんか感覚どころか、折角ヒーラーなのに戦闘も支援すら出来て無いんだから……」

葛城「ならこれを置きに魔法学校でも行ったらどうだ?」

神月「え?良いの?そんな時間無いんじゃ……」

葛城「時間が無い?誰がそんな事言った。そして俺にわざわざ許可を求めなくて良い。前から暇があれば、魔法学校でも行っても良いかと考えていたしな。それに……全員のレベルをそろそろ合わせよう思う。戦闘参加不参加がバラバラのせいで恐らく全員のレベルの差が激しい筈だ」

敢えて全員のレベルを把握済みとは言わない。情報分析スキルだけでも伝えても良いとは思うが、それで仲間の能力も丸わかりなのでは無いか?と疑われれば、このパーティーなら特に厄介な事になる。

霧咲「確かに。僕も王国を出発してからまともに戦闘に参加させて貰っていませんからね。控えメンバーによる割合経験値しか貰っていませんし、全員で訓練場などに行って、レベルを揃える。という事でしょうか」

葛城「あぁ、そう言う事だ……」

現在の全員のレベルからして、仁道と俺だけレベルが飛び抜けている。と言っても、俺のレベル42に全員のレベルを揃えるのは時間がかかり過ぎる。仁道のレベル35で揃えるのが妥当だろうか。

例え、戦闘参加不参加があって何故こんなにレベルが開いているのか。それはずっと後方支援をやりながらも敵を優先的に倒していた意外にも理由がある。もう一つは、強敵の撃破だ。

一人でもその戦闘に貢献すれば経験値がバランス良く分け与えられるものの、俺は危険だからと言ってメンバーからワザと外していた。それがこの様な結果を招いてしまったのだろう。

元いた世界にて殺し屋をやっていた時は、多少の味方はいたが、これといって一緒に同行するなど依頼を進めるにあたって支障でしか無い為、必要最低限の連絡手段だけ持って、基本単独行動だった。

しかし今回は、大勢の行動が不慣れだったせいか我ながら、不注意だった。

葛城「という事だ……アヴァンよ。俺はいずれ魔王を倒さなければならない。その為に訓練が必要だ。神月の魔法学校も含めて良い場所は無いか?」

アヴァン「そうだな……なんなら、六大英傑全員が必ず赴いた共通の場所がある。ここギアリッグより、北東へ街道沿いに進んで、歩いてなら……1週間くらいかねぇ?そこに、神聖ゲーヴェル王国という場所がある。この世界で最もでけぇ王国だ」

霧咲「い、1週間!?ちょっと遠すぎません?」

葛城「確かに。ベリックに行った時の様に、馬車は手配出来ないか?」

アヴァン「んー出来るっちゃ出来るが……なんせ遠いし、その先には強力な魔物が現れる。一応安全ルートも兼ねて、歩いて1週間って言ったつもりなんだが……それでも早く安全に行きたいならそれなりの金はかかる」

葛城「安心しろ。金ならある。ベリックにてギアリッグの坑道を開通させた報酬として1億金貨を持っている」

アヴァン「ガッハッハ!そういやそんなもんあったな!いや、俺らも坑道が塞がってた所為で流通が滞っていたからな……その金はいらねぇ。ただで俺の育てた兵士を一人、貸してやるよ」

そういうと、アヴァンの後ろの扉から一人の鎧を着た兵士が出て来た。名をウルクと言い、軽く挨拶してくる。

ウルク「ウルクです。宜しく。あー、ほんと普通の兵士なので、あまり期待はしないで下さい」

アヴァン「こうは言っているが、俺の信頼する手練れだ。少なくともお前らの戦闘力を合計してもこいつには及ばねぇな」

葛城「情報分析スキル使って良いか?」

ウルク「えぇ、良いですよ」

要らぬ所で敵は作りたくない。俺は許可もらい早速ウルクに情報分析を掛けたが、ウルクのステータスを見て、少し驚いた。


名前:ウルク
年齢:22
種族:人間
称号:ギアリッグ特別訓練兵

Lv:100
体力:20000
魔力:18000
攻撃力:10000
防御力:8000
俊敏力:4800
運:20

スキル:
・突陣 Lv 5
・天煌裂牙 Lv 2
・地穿壊斬 Lv 2
・煌滅斬 Lv Max



ギアリッグ特別訓練兵……普通に見ればただの訓練兵だ。しかし、訓練兵にしては、育ち方が異常だと俺には見えた。我々を遥かに超えるステータスに見た事が無いスキル。

まず俺たちがたとえそのゲーヴェル王国で特訓しても絶対とは言えないが到底到達出来ない力だろう。

葛城「アヴァン?まさか兵士一人一人がこんなステータスでは無いだろうな?」

アヴァン「おうよ!良く気が付いたな。今まで全ての魔王軍の襲撃は俺が防いで来たが、もしいつか俺が死んだら、こいつら全員の力に任せるつもりだ。だから……ざっと全員、俺と同じくらいまで鍛えるつもりだ……」

天野「いやいやいや!アヴァンみたいな奴が万人いるとか、魔王軍超えちゃうって!」

アヴァン「超えて何が悪い?ガハハハハ!!」

葛城「まぁ、こんな奴が護衛に入るとは心強い。ならばゲーヴェル王国へ行こう。戦闘メンバーにそろそろ入るだろう瑠璃川と神月はもう少し待ってくれ」

瑠璃川と神月を控えメンバーに馬車に積み込もうとするとウルクがそれを止める。

ウルク「葛城君だったかな?そろそろ入れるという事は、出来るだけ早くレベルを揃えたいからだろう?ならこの二人も戦闘メンバーに入れると良い」

葛城「いや、霧咲と天野は度胸で何とかなるが、瑠璃川と神月にあたってはまともに魔法さえ放った事が無い。挙句に俺たちの支援も役に立った事無いんだ。それをこれから行くゲーヴェルの道中に現れるであろう強敵と戦わせるのは危険だ」

ウルク「大丈夫。前衛、後衛、どちらも守ってあげるから」

例えウルクのステータスがあっても前衛と後衛を同時にフォローなど普通の人間がやる事では無い。前衛は攻撃に。後衛は前衛の支援。これこそが普通の体勢の組み方だろう。しかし同時フォローとは、前衛の攻撃に同乗しつつ、後衛の支援を支援する事になる……。

どうやら俺の頭では理解出来ない事をこの男は、平然と仕出かそうとしている様だ。ただ、もし本当にそんな事が出来るのであれば心強いという言葉でも足りない程の期待が出来る。まぁ、例えウルクが護衛中死亡してもすぐに俺の考えた編成に直せば良い事だ。

どんな編成にしろ、俺の死角の守りとなる仲間の被害は最小限にしたい。

葛城「そこまで言うなら言う通りにしてやろう。ただ一つ言うが、予想外な事態が起きて、ウルクが倒れようとも俺は置いて行くからな」

俺は睨みながらウルクにそう伝えると、ウルクは何故かニコニコしながら、大丈夫と答えた。

葛城「何故笑う?」

ウルク「いやごめん。瀕死でも置いてかれるなんて、アヴァンと同じ事するんだなーって思って」

アヴァン「ガハハハハ!おうよ!仲間の助けなんかに頼ってちゃあ、いくら訓練しても強くなれねぇからな!うし!じゃあ行ってこい!」

ウルク「はっ!では、行って参ります」

全員がアヴァンに手を振り、馬車に乗り込むとすぐに馬車は発進した。

コメント

  • ノベルバユーザー558342

    続きが気になります!更新楽しみに待ってます♪

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