冷酷無比な殺し屋が一人の高校生となって異世界転生するとこうなる

Leiren Storathijs

訓練

俺達をは国王にワープされると、円状に広い地面は砂の訓練場に来た。

訓練場には、既に鎧を纏った男剣士が訓練場の端っこにおり、俺達が来るのが嫌だったのか、大きく溜息を吐きながら、木のベンチに座る。

???「はぁ……マジで30人いるし……どんだけ人使い荒いの……?」

俺は、王国関係者なら許してくれるだろうと思い、その男に情報分析をする。


名前:エクペディス・フェヒター
愛称:エクス
種族:人間
職業:王国騎士所属特別教官、2級剣士

Lv65
体力:12000/12000
魔力:9800/9800
攻撃力:2600
防御力:1400
俊敏力:280
運:80

スキル:不明
<情報分析は許可されていない>


許可……?スキル発動に許可が必要なのか?いや、もしくはロックをかけているのか……。

エクス「……えっと?葛城君って言うのかな?人の情報、特に王国関係者はみんな情報分析を悟る能力持ってるから、注意した方が良いよ?」

葛城「バレたか……」

すると、最初に霧咲がエクスに挨拶をする。

霧咲「霧咲勇人です。今回勇者に選ばれました。訓練の程よろしくお願いします!」

それを聞くとエクスは、すぐに木刀へ持ち換え、霧咲に木刀を渡すと、もう一本の木刀の先を霧咲へ向ける。

エクス「あーうん。じゃあ早速実戦行ってみよっか。訓練なんかより、すぐに力を付くから。大丈夫、木刀使うし、ガンガン殴って来て良いよ」

霧咲「いきなり!?わ、分かりました!では、参ります!うおおお!」

剣と言う名の武器さえも持った事が無いのか、霧咲は片手で木刀を持ち上げ、ぎこちない動きでエクスに殴り掛かる。

エクス「あー、これ駄目だわ……やっぱり最初からの方が良いのかな?」

エクスは霧咲の攻撃を軽く受け流し、木刀を使うまでも無く、重心を崩した霧咲の腹に膝蹴りを打ち込む。

霧咲「ぐはッ」

神月「勇人大丈夫!?」

仕方がない……殺し屋の戦い方を見せてやるか……。

葛城「おい。次は俺だ……」

エクス「へぇ〜さっきの情報分析して来た子かぁ。良いよ?来な」

と言っても俺も木刀は初だ。だから要らん。素手で十分だろう。

俺は木刀持ちながら、エクスに突っ込み、攻撃直前に地面に木刀を捨て直後、エクスが霧咲に打ち込んだ同じような膝蹴りを顔面に打ち込む。

エクス「がッ!?……お、おー……やるねぇ……君だけどうやら戦闘は初めてじゃないようだね」

葛城「殺し屋だからな……さぁ、お前もかかって来いよ」

エクス「ふーん。まぁ、情報分析もされちゃったし、無闇にやっちゃいけない意味を教える事も込めて、ちょっとやっちゃいますか」

するとエクスは、木刀を両手で構えると、思いっきり地面を蹴り、一気に俺との間合いを詰め、木刀を俺の肩から斜めに振る。

しかし俺はその木刀を、反対方向の斜めに下に避け、木刀が振り切られた瞬間に、下から顔面に蹴りを与える。

エクス「チッ……!余り舐めるなよ……!っと」

エクスは、顔面を蹴られた直後、俺の足を掴み、手前に引き胸の方に俺の足を固め、俺は宙吊り状態になる。

葛城「殺し屋はあらゆる事を想定しながら体を動かす……」

俺は宙吊りの状態から、エクスの脚を掴み返し、膝の外側の関節を横から拳を入れる。

エクス「がッ!君ねぇ……ッ!」

エクスは俺の足を離し、バランスを崩すと、俺は続いて軽くジャンプしながら、エクスの顔面を鷲掴みし、地面に叩きつける。

エクス「ちょ……!あのさ!」

その態勢から、こめかみに拳を一発。頭の方向に向き直ると、無理矢理立ち上がらせ、後ろに倒れる角度で頭の手を離す。

エクス「お、おい!」

最後に、後ろに倒れようとしているエクスの後頭部目掛けて、蹴り飛ばす。

エクス「がぁッ!……」

エクスは、その場で気絶した。

葛城「弱いな……」

そこで霧咲が苦しそうに立ち上がりながら叫ぶ。

霧咲「ちょ、ちょっと!何してくれるんだ!幾ら君が強いと言えど、教官がいなくなってしまっては、訓練が出来ないではないか!」

葛城「なら……俺がこれから教官だ」

例えどんなに弱い人間だとしても、弱い者に教わっては意味が無い。況してやすぐに実戦訓練など、馬鹿にも程がある。

霧咲「はぁ?……ちょっと何を言っているのか分からないのだが……」

葛城「何が世界の危機だ。確かにここの国王は桁違いに強い。しかし何故自分から動こうとしない?それに対しなんだこの弱い教官は?こんなもので戦闘訓練になると思えば、我々人間を舐めているのも大概にしてほしい」

此処の国王は見た目からしては70は超えている明らかにお爺さんだった。しかし、あれ程の老体でありながら桁違いの力を持ち、老けよる能力低下もしているようには見えない。

霧咲「葛城君……」

天野「へへっまぁ、良いんじゃねぇの?あんな奴と訓練してたら俺ら今頃どうなっていたか。でも!こんなめちゃくちゃ強え葛城とだったら一気に強くなれるかもな!」

仁道「そうだな……ってな訳で、俺が副教官だぁ!力が欲しければ俺に教われ!」

そう言って生徒の半々で仁道が副教官で力を教え、俺は生き延びる方法を教える事にした。

瑠璃川「じゃあ、葛城教官!よろしくお願いします!」

葛城「俺は教官だが、教官では無い。これより最低限の技と生き延びる方法を教える。と言っても体術を教える訳では無い。全て俺の言葉で教えよう」

霧咲「くっ、勇者たる僕が、君に教わる事になるなんてな……でもこうでもしないと僕はいつ死んでもおかしくない。君が殺し屋と言うことも信じられないが……どうか僕に君の生き方と言う物を教えてくれ……!」

神月「勇人が人に頭を下げるなんて……一体貴方は……?」

こうして、俺と仁道の訓練が始まる。

葛城「ではまずお前らに一言言う事がある。俺は、別に剣術や体術を知っている訳では無い。そして俺達に元々付いているスキルの使い方も知らん。そして、この擬似武器召喚……これも俺の慣れからによる発動だ」

神月「じゃあ私はこの魔法はどうやったら使えるようになるの?」

葛城「知らん。自分で考えろ……瑠璃川もだ。俺の事を教官と言って張り切っているようだが、生き延びる方法以外教える事は無いからな」

瑠璃川は、そんなの分かってましたみたいな顔をしながら、戸惑いながら敬礼した。

瑠璃川「え?り、了解しました!葛城教官!」

葛城「全く……では始めよう。先ずは精神について話そう。人間は元々何をして生きてきた?天野」

天野は、苦手分野だったのか、頭を指で突きながら必死に考え込む。

天野「は!?えーっと……え?普通に生きて来たんじゃね?」

葛城「人は、最初動物を狩って生きて来たんだ。それも俺らが生まれるずっと前の話だがな……そして人類と言う物は、その時から、弱肉強食、食物連鎖の頂点に立っていた。それはどうしてだと思う?力の差的には、人間よりも強い動物はいたはずだ。なのに何故鯨や象さえも人間に勝つ事は出来ない?神月」

神月は前に腕を組みながら当たり前のように答える。

神月「それは脳があったからじゃないの?人間の脳って本当に便利よねぇ」

葛城「そう。人間には様々な事を考える事が出来る脳を持っていたからだ。当時いたマンモスの巨体でさえも、倒されても突っ込むような脳筋ではなく、どうしたら優位な状態で戦えるか?と言う事考えに考えて、敵を誘い出す罠を作り、より高いダメージを与える為に武器を作り、自分達も守る為に、壁を作った。もし彼等が脳筋だったら、我々人類はもっと早めに滅んでいただろうな」

そこで霧咲がメガネを直しながら言う。

霧咲「葛城君。途中で済まないが、そんな当たり前な事言われても何とも思えないんだが?」

俺は徐ろに武器召喚し、また霧咲に銃を向ける。

葛城「ならお前はこの状況をどう打破する?逃げるか?避けるか?反撃するか?普通の人間なら考える事が出来てもそんな事をすぐには実行出来ない。逆に考えている間に殺されるだろう」

霧咲「た、確かにそうだな。済まない……」

俺は銃を下ろし、話を続ける。

葛城「そう。訓練なら考える時間はたっぷりある。しかし、実戦ではそうとはいかない。さっきも言ったように、だったら人間は、巨大な生物と会った瞬間に倒す術を考えたのか?そうでは無いな?俺達はそこで脳を使った。学習し、考えたんだよ」

天野「なるほどー!さっぱり分かんねえけど、面白え!」

俺は武器召喚し、銃にゴム弾を込める。

葛城「では実践してみよう。天野、考えろ。俺今からこのゴム弾でお前を撃つ。当たったら当然死んだと思え」

俺は銃を天野に向けると直ぐに撃つ。

天野「え?ちょ、え!?痛え!」

葛城「遅い……。俺が考えろと言ったら必死に頭を回せ。俺が説明している間充分考える暇はあった筈だ」

天野「え、えぇ〜?」

葛城「次、瑠璃川。撃つぞ」

瑠璃川「え、あたし!?ちょ、いったぁ〜……」

葛城「常に自分が次来る事を想定しろ。だから目の前の存在に気付かずいつのまに死んでいく奴らが居るんだ。さて、次は……」

そこで霧咲は少し身構える。俺は霧咲に銃を向けると、撃つ瞬間に神月にターゲットを変える。

神月「え……」

霧咲「麗奈!危ない!」

霧咲は、瞬時に神月に飛び込み自分を犠牲にした。

葛城「ほう?これは素晴らしい瞬発力だ。だが、無意味だ。神月、もしこれが実弾だったら、次に何が起こると思う?」

神月は一瞬だけ目を見開き、答える。

神月「私が……殺される……」

葛城「そう言う事だ。霧咲。お前は自分の命を犠牲にした挙句、神月を守れていない」

霧咲「いや、あの状況はああするしか無いだろ!」

葛城「いや?俺が瑠璃川を狙っている間、お前が横からタックルすると言う選択肢もあった。ただその時、相手の反射神経が良ければそれも意味が無くなるが、自分の命を犠牲に味方を守るより、圧倒的に生存率は高い」

霧咲「くっ……でもタックルして良いなんて言って無いだろ」

葛城「言って無いな。だが、タックルするなとは一言も言って無い。分かっていた筈だ。これは、その時の状況をどう打破したらいいかを考える実践であると」

霧咲は少しニヤリと笑って言う。

霧咲「そうか……そこまで言うなら試したい事がある。僕にその銃を。此処にいる、神月、天野、瑠璃川の分も作ってくれ……」

葛城「分かった……」

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