転生した俺は???級の一般人でした。

ノベルバユーザー335166

10、ブラックカードS世界最速保持者







現在、門の前でカリオンが街の人達を遠ざける為に尽力をつくしてくれていた。

「街の者達!!会うのは後にしてくれるか!!彼は今からギルドにクエスト報告に行かねばならんのだ!!」

そういう掛け声にしぶしぶ納得したのか
街の人達は右と左に分かれ、
人…2人ぐらいが通れる道を開けてくれた。

「ありがとう!!」 

そして、カリオンは

「アレン、行(ゆ)くぞ。」

そう告げて、街の人達の開けてくれた道を通る。
通る度に、

「ありがとう!!」 

「後で店によってくれ!サービスする!!」

「うちもだ!!」

と歓迎ムードだった。
俺……有名人にはなりたくない。顔バレの。

『いいじゃないか……ふふふ……』

うわ……めっちゃ楽しんでる……。
1人だけ……なんて奴だ。

『まぁまぁ、これで飯もたくさん食べられるな…!』

ライシン……お前はそっちが目的か!!
そんなこんなでライシンと会話していれば、
カリオンのお陰で何とかギルドに到着。

「カリオン、ありがとう。」

「別に構わない。何かあれば俺に相談してくれ。いつでも駆けつけよう。」

「助かります。それじゃあ。」

「あぁ、またな。」

そう挨拶して、俺は中へ入る。
フレイお姉さんいるかなぁ〜……。

『お前は、あの女の事ばかりだな。』

別にいいだろ?目の保養だよ。

『ふぅん?本当にそうなのか?』

それだけだよ。
受付口に着けば、

「アレンさん!!この度は何と申したら……。」

アワアワとしているフレイお姉さんに声をかけられた。

「いや、気にしないで。”たまたま”だから。」

「それでもです!」

「えっと……それより、カネンソウの納品したいんだけど……後、魔物と。」

「えっ……あ、はい……!!」

持ち物から取り出して、カネンソウを素手で渡す。
案の定、あの時の兵士と同じような光景が。

「キャァァァァッ!!ば、爆発が……!!って……あれ?」

「素手で触っても爆発しないようにしてあるから大丈夫だよ。」

「へ?……ツンツン……本当だ……爆発しない……。あの、これは一体どうやって?!」

「えっと……企業秘密です。」

「ひ、秘密……そうですよね……。」 

あれ、何かションボリしてる?
頭をフルフル振ったフレイお姉さんは
気を取り直したかのように

「確認しますね。……ちゃんと10束ありますね。クエスト報告ありがとうございます。クリアです。報酬はこちらです。銅の縦長コイン5枚と銅の丸いコインが3枚になります。あの、このカネンソウひんやりしてるんですけど……。」

「あ、言い忘れてた。そのカネンソウを元に戻したい時は……。あ、言えないんだった。ちょっと待って。」

持ち物からノートと鉛筆を取り出し、

”カネンソウの前で解除と唱えると普通のカネンソウに戻る。見分け方はキラキラしてる方が素手で触っても大丈夫。”

「はい。これ。」

「あ、ありがとうございます。……確かにキラキラして見えますね……。分かりました。報告しておきます。」

「宜しく御願いします。」

「では、お受け取り下さい。」

「あ、ありがとうございます。」

えっと、価値は?分かんないなぁ……とりあえず収納したが3桁目が少し変わったぐらい?
後で確認しよう。

「次は魔物なんですけど、クエストで対象のものがいたらそれで納品?とかしたいんですけど可能ですか?」

「勿論。大丈夫ですよ。見せて貰えますか?」

「はい。徐々に出していきますね。」

そして、数が数なだけに途方にくれるかと思いきや……。フレイお姉さんは優秀だった。

とりあえず、持ち物一覧に書かれた魔物の名前を片っ端に伝えれば何ランクのクエストの魔物ですね、何頭狩りました?と聞かれ受け答えをし、魔物を取り出して見せる。そして……F、E、D、C、B、Aランクの全ての項目依頼を達成し最終ランクのSまで到達してしまった。

魔物を見るフレイお姉さんは……興奮しっぱなしで小さな子供のように目を輝かせて、その魔物に対する説明もしつつ仕事を完璧にこなしたのだった。

「アレンさん!今回の魔物にはびっくりしました!狩った状態がもの凄くいいです!!!生きてるんじゃないかと錯覚するくらいに!!血がひとつもついていないなんて……神業(かみわざ)としか言えません!!アレンさんのお陰で多くの研究が進みそうです!!」

「そうですか、なら良かった。」

「それと!!アレンさんに嬉しいお知らせが!!全てのランクをクリアしたので……こちらのカードを贈呈します!!」

そう言って渡されたのは、ブラックのカードにSrankの文字と俺の名前が金色の文字で書かれたカードだった。

「これは……?」

「このカードは最高ランクのクエスト以外にも、他の方からクエスト依頼を受注したりする事が可能になるカードです。勿論、危険なクエストにも挑戦できます。このカードがあれば!!どこの街のギルドでもクエスト受注可能ですし、パーティに誘われたり、強さの証となるカードなんです!!とても便利なものなんです!!しかも!!このカード……世界で数名しか持っていません……!!!もし、持っているとしても白色のカードのSrankの方々のみです。」

「えっと、白色のカードは黒色より下なの?」

「はい。白色も十分凄いですが……黒色はそれと比較にならないくらい凄いカードなんです……!!私ブラックS(エス)カード初めて見ました……!!」

「へぇ……」

そんなに凄いものなんだ。

「ブラックS保持者、世界最速ですよ!?たった数時間で!!こんな貴重な場面にいさせて頂けるなんて……私は幸せ者です!!」

「そ、そう……ですか。」

そんなに、熱く語られても俺……理解できない…。
ただ、フレイお姉さんは幸せそうだった。

「あ!!クエストの金額の報酬を渡さなければ!!すみませんが私に着いてきてもらえますか?」

「はい。」

フレイお姉さんは、受付口からこちらへ出てくると右にある部屋に俺を案内した。

「かなりの金額ですので…」

部屋に入った瞬間に見えたのは金色。

「金貨750枚になります。」

「750枚……?」 

「はい!!こんなに大金を取り扱うのも初めてで緊張しました!」

これのどこが大金なのかよく分からないが……
金はあるに越したことはないので収納した。

「いっ、一瞬で消えた……。」

「直したから。」

「そ、そうですか……凄いですね……。」

「とりあえず、お世話になりました。」

「い、いえっ!」

「あの……フレイお姉さんは、まだ仕事ありますよね?」

「いえ、今からお昼休憩なんです。」

「なら、俺にこの街の名物とか教えて貰えません?お腹空いてて。」 

「勿論、構いませんよ!私でよければ。」

「えぇ、お願いします。」

「はい!お任せ下さい!では、荷物取ってきます!!」

「ギルドの外で待ってます。」

「はい!では、また後で。」

そして、ギルドの外で待つことに。
よし、女の子を人生で初めて誘った!
しかも……歳上。
ギャルゲーをやった時もデートには普通に誘えてたんだよな。でも、最終……最低カス野郎!って暴言と平手打ちを食らってバットエンドになるんだよなぁ……。
何でだったんだろう……。
あ。後、殺されたりもしたな…。あれは怖かった。
突然、ライシンが話しかけてきた。

『おい、アレン。飯が食べれるのか?』

うん。フレイお姉さんがオススメ教えてくれるって。穴場の美味しいお店も紹介してくれるかも。

『楽しみだ……!我はたくさん食べるからな?』

はいはい。たくさん食べて。

『ふふふふふ……』

不気味に笑うのやめろ!!

『すまんすまん、つい。』

つい……じゃねぇよ!!
ん?俺の口調……じゃなくて”オレ”の口調に……。
口調についても考えないとな…安定しなさすぎだ。
そんな事を考えていたら、

「すみません!お待たせしました!!」 

「あ、フレイお姉───」

……ギルドのオレンジ色の制服ではなく、多分……私服。ピンク色のフワッとしたワンピース姿で現れた。 

「アレンさん?どうかしました?」

「な、何でも。」 

この世界に転生出来て良かった……ありがとう。
興味がなかったとはいえ、夢がなかった訳ではないからな。って誰に言い訳しているんだろう俺は。

「アレンさん、ガッツリ食べます?それとも、ちょこちょこ食べます?」

「えっと……ちょこちょこ食べたいかな。」

「分かりました。じゃあ屋台で食べていく方向で。こちらです。」

そして、フレイお姉さんの案内のもと屋台へと向かった。


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