転生した俺は???級の一般人でした。

ノベルバユーザー335166

6、ギルドに登録するだけでも問題発生?!






「キューキュー……!」


俺の肩に乗り可愛い声で鳴いている生物。
ライシン。
皆はお気づきだろうが、あのライシンである。
現在、姿を変えたライシンは
とても愛らしい容姿に愛らしい声……
とてもとても可愛い動物へと変身していた。

まぁ、周りには可愛らしくキューキューと
鳴いているように聞こえるそうだが、
俺には脳内に”声”が聞こえていたりする。

『ここがラフレシアだ。綺麗な街だろう?』

そうだな。花をたくさん、あちこちで見かける。

『ここは豊かだ。治安もそこまで悪くはない。』

へぇ……まぁ確かに活気があるし。


それに、フードを被ってなくても
俺の顔を見て変な顔をする人は一人もいない。
そこはとても、嬉しかった。

あ、なんでこう言うやり取りが可能なのかと言うと
心で話しかけてもライシンには聞こえるそうだ。
思考が読めると言った方が分かりやすいかな?
ただ、ライシン本人が聞きたいと思わない限り
俺の心の声は本人に届かないらしい。

そんな訳でライシン自身もわざわざ
声に出さなくても話すことは可能なんだって。
頭に念?を送り込む方が楽だと言ってた。
全く便利な機能……スキルを持ってるよね!!
羨ましい……。

俺もそれが出来るようになりたいと
願えば、出来るようになったりするかなー。
もし、仲間が出来たら試してみようか……。
と、1つやりたい事を脳内メモした。

『そうだ。ここの食べ物は美味いぞ。』

へぇ。それは食べてみたいけど…まずは仕事!

『あ、そうだったな。忘れていた。』 

忘れてたって……意外と食いしん坊なの?

『だ、誰が食いしん坊なのだ!我に向かって!』

あ、図星ね分かった分かった。
それじゃあ、報酬入ったらご飯買って一緒に食べよう。
好きな物をご馳走するよ。
仲間になった記念に。

『本当か!!沢山頼むぞ……!!!』

わぁ……食べる気満々……。

『早速、ギルドへ急げ!アレン!!』

はいはい、分かりましたよ〜。
そうして、何とかギルドへ到着。

へぇ……茶色の建物で……それなりに大きい。
上を見あげれば看板にギルドって書いてある……。
そのまんまかい!
日本で使っていた文字ではなく
こちらの世界の文字でギルドと書かれている。
まぁ、どうでもいいけどさ……。
とりあえず、入るか。
扉を押して入れば中は人で賑わっていた。
えっと……まず、登録から??

『そうだな。登録からだ。』

分かった。
ギルドの中には受付が4つある。
とりあえず、登録受付と書かれた受付の場所へ。
ここは、1人も並んでいなかった。

「すみません、登録を。」

相手は可愛いらしい女性でフワッとした印象を受けた。
こう、話してるだけで癒しを貰えるような。

「はい。ご登録ですね。えっと……あの……すみませんが……貴方は何歳ですか?」

ん?

「10歳です。」

「じゅ……10歳?!」

彼女は驚いた声をあげた。
何をそんなに驚く必要が?

「何か問題が?」

「あ、あの……」

しどろもどろになっているギルドのお姉さん。
そこへ。おっさんが割り込んできた。

「おいおい、チビ助。お前みたいなガキが冒険者なんて出来るわけがねぇだろ。わざわざ、命を危険に晒すようなことするんじゃねぇ。それに、子供がこんな所へ来ていいはずがねぇ!!」

そう、言われた。
子供だからダメ?理不尽極まりない。

「魔物が危険だからダメなのか?」

「それもあるが……ギルドが実力もない奴を登録する事はまずない。大人ならまだしも、チビ助みたいな子供にはな。」

「ふぅん、なら。実力を見せれば良いんだよな。 」

ギロッと睨めば案の定、

「……お、おう……」

ちょっとオドっとした返事が返ってきた。

「ギルドの可愛いお姉さん。」

「へ?!///か、可愛いお姉さん?!って私のことですか……?!?!」

「他に誰がいるわけ?それより、実力を見せれば俺も冒険者として認めてくれるんだよな?」

「は、はいっ……!!」

「分かった。なら、”アレ”を見せる。ただし、ここには入らないから外で出す。いい?」

「え、あ、はい……。あれとはなんでしょう?」

「まぁ、見てみたら分かるよ。じゃあ来てくれる?可愛いお姉さん。」

「ふぇっ!////あ、あ、はいっ……!!」

そうして、ギルドのお姉さんと共に外に出た。
中にいた野次馬達も見物するためか
ドバッ!!っと出てくる。
それに便乗して、何事だって?!って興味を
持った外の人達も見物人に増える。
ギルドの隣は広い広場があったので……

「お姉さん、ここで出すね。」

「は、はい……。」

右下の〇、えっとこれは…。
よし次からはこれをボタンって呼ぼうかな。
ボタンを押して、一覧を表示。
そこから、持ち物を選択して、
1番下までスクロールし、例のあれを取り出す為…
ポチッと目的の表示されているところを押すと

────────────────────── 
取り出す
捨てる
渡す
食べる
──────────────────────

この4つの項目が出てきたので、
勿論、取り出すを選択。
すると一瞬で目の前に
イノキシの丸焼きがでてきた。
その場がシーンと静かになる。
あれ?これじゃダメだったの?!
だって、図鑑にはとても恐れられている魔物って書いてたのに!
あのギルドの可愛いお姉さんは
ワナワナと肩を震わせている。
え、ど、どうなっている?!
この子……、イノキシ駄目……!?

「す、凄いです……!!!」

彼女の発言した一言目がそれだった。
そして、興奮したかのように語り出す。

「こんなに、大きいイノキシを見れるとは!!有り得ません!!このギルドに務めてこんなに立派なものを見たのは初めてです!!恐らく、この魔物の推定ランクはA!!冒険者数人でも苦労するでしょう……!!ただ焼けているせいでとてもいい匂いがしますが、素材には使えませんね……惜しい……。本当に君がこのイノキシを?!」

「あぁ、勿論。」


そう答えると同時に外野から疑いの声が上がった。


「こんなバケモン、こんなちっこい野郎が倒せるわけねぇだろ!!」

「ありえねぇ!」

「どっかから、パクったんだろ!!」

「それか、横取りしたんだ!!」

「それに、コイツどっから取り出したんだ!?」


最初の発言した人に反論するなら、
俺は10歳の割には高い方だから!
ここの世界の基準は知らないけど前世の日本と
あまり変わらないだろう。
最後は疑いの声ではなく、驚きからの声だった。

いやいや……横取りとかパクるって
こんな大きな物体をパクれるはずかないだろう……。
頭のネジ、イカれてるのかな……この人達……。
そう考えてたら、ギルドのお姉さんが反論した。

「皆さん聞いてください!!パクる、横取り、それは簡単に出来るようなものじゃありません!!冒険者から物を横取りするなどこの子供に出来るはずがありません!!魔物も難易度は高いですが、横取りを実行する方がもっと難易度は高いです!!であるからして、この子が言っていることは事実!!疑いをまだかけるとおっしゃる方は、今!!申し出てください!!」

また、シーンと静かになる。

「反論がないということは、認めるという事で宜しいですね!!」

そう声を張り上げた可愛いお姉さんは、
俺の元へ寄ってきて、

「すみません。街の皆さんがあらぬ疑いを……」

「いや。気にしてない。それより、庇ってくれてありがとうございました。」

そう、俺を述べつつ微笑んだ。
とても、嬉しかったから。
だって、よくよく考えてみれば
こんなに小さな子供…まぁ、少し身長は高めだよ?
今日、何度言ったことだろう……。
だけど、未成年である子供が
こんなに巨大な魔物……(一応、凄かったみたい)
を目の前に出して、これは俺が狩りました。
なんて、突拍子もないこと信じてくれる方が
不思議だよね。街の人の反応が正論。
何か裏があるんじゃないか……ってね。

「いっ……いえッ……!///わ、私は当然の事を言ったまでです……!!///」

そう言ってくれる彼女の表情がとても気になった。なぜなら……
何故か彼女の頬は赤い……耳まで赤い……。
思わず聞いていた。

「あの……顔が赤いんですが……大丈夫ですか? 」

「ふぇっ?!///あ、赤くありませんから!!だ、大丈夫ですっ……!!お手続き致しますッ……!!」

「そうですか?なら、良いんですが……。手続きしてくれるんですか!ありがとうございます。すみませんが少し待って貰えますか。」

さっきのは杞憂だったのだろうか。
まぁいいか。彼女は大丈夫だと言っていたし。

「あ、はい。」

と返事がきた。
すぐ俺は心の中で唱えた。


収納!


イノキシの丸焼きは、一瞬で消えた。
よし、これで持ち物に入ったかな。
この光景を見た人達はまた、声を上げた。
あの巨大な物をどうやって一瞬で消したのかと。
極当たり前の反応だった。
そんな人達を置いて、ギルドの中へ。

 
「こちらの書類に記入をお願い致します。」


俺は紙とペンを受け取る。


「分かりました。」


えっと……職業はと……一般人だな。
次は……名前。アレン・スコッティと……。
年齢、10歳。
この3つでいいみたいだな。


「書けました。」

「ありがとうございます。では、確認しますね。」

「お願いします。」


黙って見守る。


「あの!職業に、一般人はないと思います!貴方ほどの実力のある人が!!」

「え。」


そ、そこ?!
でも、一般人だし……。


「えっと……何なら認めて貰えます?」

「とりあえず……冒険者で!!」

「えっと……じゃあ、それで。」

「はい!!」


それから待つこと数分。


「ギルドに登録完了しました。まずは、最低ランクからのご依頼を受けることになるのですが……。簡単な説明をしますね。最高ランクはSから最低ランクFまであります。ただ、アレンさんはFランクのみ受注可能です。ランクをクリアしていく事に上位のランクも受注可能になります。」

「なるほど。とりあえず、Fランクの依頼はどんなのがあるんですか?」

「採取から狩りまで幅広くあります。こちらが、現在応募中になりますお仕事です。」

えっと……確かに採取……と狩りだな……。
とりあえず……採取からにしようかな……。
狩るにしても、素材欲しいから剣で戦えるように
なりたいし……。

「とりあえず、採取からお願いします。」

「はい!分かりました!近くの草原にありますので危険はないかと。まぁ、スコッティさんなら危険な魔物が出ても大丈夫だと思いますけどね。」

「いやいや……力を過信しすぎるのは良くないし。あのお名前聞いても?」

「あ、申し遅れました!ラフレシアのギルド担当、フレイ・キャランドと申します。宜しくお願いします。スコッティさん。」

「スコッティじゃなくて……アレンって呼んでもらってもいいですか?」

「あ、はい。ではアレンさんと呼ばせて頂きますね。」

「お願いします。可愛いフレイお姉さん。」

「か、かわッ……?!///大人をからかわないで下さい!///」

「え、本当に可愛いよ?」

『アレン……お前は天然のたらしだったのだな。』

え?いやいや、天然のたらしって……。
俺、女心分からない男だよ?
なんせ、人付き合いも無理だった人ですよ?
それにギャルゲーで全員にフラれたからね?!

「も、もういいです…!///さっさと行ってきてください!///」

「じゃ、行ってきます。」


頭を下げてギルドを出たのだった。


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