捻くれ男子とボクっ娘

きりんのつばさ

7話目








葵の“デートしない?”という発言から数日後の休日僕は近くの駅にいた。

「まさか本当になるとは……」

スマホを見て、現在待ち合わせの時間の10分前であることを確認した。外で遊ぶということを今まで殆どしてこなかったので服も適当に選んできた。


〜〜数日前

「デートだと?」

「そうだ、デートだよ。ちなみにデートの意味はーー」

「別に意味は理解出来ているからいい。
ーー理由を聞きたい」

「そんなの簡単だよ、キミとボクが付き合っているからに決まっているじゃないか」

「偽だがな」

「まぁまぁお決まりの言葉を言わない。というか村井君がまだボクらのことを疑っているから、その証拠を見せつけてやろうと思ってね」

「はぁ……呆れる」

「ゴメン……」

「お前にじゃない、村井にだよ
ーー分かった、暇だから付き合ってやる」

「ほ、本当かい?」

「どうせ友達もいない暇人だからな」

「助かるよ、ありがとう」

〜〜

とデートに至る会話を頭の中で振り返っていると

「ーーやあ、待ったかい?」

「ん? 葵か」

声をかけられた方を見るとそこには今回の発起人である葵が立っていた。

「あぁキミの彼女である葵だよ?」

「偽のだがな……てかお前って」

「どうしたんだい?」

「服装も口調に似ているな」

そうのなのである。
葵の服装は男性が着てそうな服である、葵自身の見た目もありポニーテールにしている長い髪が無ければも美少年に見られなくもない。

「まぁボクもこっちの服装の方が落ち着くんだよね。スカートは足元が落ち着かないんだよ」

「へぇ……」

まぁ確かに葵はスカートよりも今の様なパンツ姿の方が個人的には似合っていると思う。

「にしても流唯、キミの場所はすぐ分かったよ。
ーーだって周りに誰もいないからね」

今日、待ち合わせした場所の駅はそれなりに人が多くて、待ち合わせの場合は結構苦労するとの噂を聞いていたのだが僕にはどうやら全く関係無かったみたいだ。

「慣れた、今更だがな」

大体半径3メートル以内に人は近づいてこないというのは前からなので今更これぐらいで傷つかない。
……無論、強がりではない。

「ねぇ流唯」

「なんだ?」

「今日はすまないね。休日にわざわざ付き合ってもらって」

「別に暇だから構わない」

「まぁそんなキミに今日付き合ってもらうお礼としてご飯とかはボクが出そう」

「……それ普通逆じゃないか?」

なんかこういうデートと呼ばれるイベントは男性が出すと漫画やアニメで聞いた事がある。だが葵は僕の質問に首を振り

「世間的にはそうだろうね。でもボクらは本当の関係じゃない。キミにはボクのわがままに付き合ってもらっているからね」

「まぁ確かにな」

「だから今日はボクが出そう。なに、お金は心配しないでくれ、お小遣いは余ってるいるからね」

「……いいのか?」

僕は恐る恐る聞いた。
……見た目は不良な僕だが最低限の良心は持っているつもりなのでやや良心が痛む。

「本人が良いと言っている時は素直に甘えたまえキミは」

「ならそうさせてもらおうか」

「うむ、良い心掛けだね」

「……良い心掛けかこれ?」

多分世間的にはあまりよろしくない気がする。だが葵は僕のそんな思いなど知らずか

「では行こうか流唯、まずは映画だ」

目の前にある大型商業施設を指した。
ここにはは大小様々な店が入っており、ゲーセンや映画館も中に入っており、休日は沢山の人が集まる。

「お前の金だし、場所は任せる」

と僕達はその施設に入っていくのであった。



「色々やっているんだな今って……」

「さぁ流唯、何を見たいかね? 
恋愛系でムードを高める? アクション系でテンション上げる? ホラーで彼女であるボクの意外な一面を見るかい?」

「……何故か最後だけ説明違う気がするな」

と僕は葵が買ってきたポップコーンとドリンクが入ったプレートを持たされながらそう呟いた。流石に金を出した上に買ってこさせるのは申し訳無かったので僕が2人分並んで買いに行ったのである

「何言っているんだい、その人の意外な一面を見たらその一面にドキッとするものだよ?」

「漫画とかでよく聞くな。
ーーまぁ僕の場合は意外な一面を見せる前に誰もこの外見のせいで近づいてこないけどな」

「……何故自分で悲しい方向に話を持っていくんだいキミは。
まぁでもどの映画を見たいんだい?」

「逆に聞くが葵が見たいのはあるのか?」

「はっはっはっ、実はボクはだね。映画よりもポップコーンを食べるのが好きなんだよ〜だから何でも映画は構わないんだよ〜ポップコーンもらっていいかい?」

……なんだよそれ。今まで生きてきて始めて見たぞそんな性格のやつ。

「ほいよ」

と僕がポップコーンが入った容器を前に出すと葵はそこかに手を伸ばしてポップコーンを取って食べた。

「はむはむ……うむ、やはり美味しいね。
だから映画は何でもいいよ
ーーなんならホラー行こうか?」

「僕は構わないが」

「が?」

「ーー何故足が震えている?」

葵は上半身は普通にしているが足がとても震えている。それはもうとても。

「はっはっはっ〜気のせいだよ気のせい」

僕が言った事など御構い無しにポップコーンを食べる葵。

「ホラーにするか」

「はっはっはっ〜流唯。
ーーホラー怖いのでやめてもらえませんか?」

「……だろうな」

だってその足の震え普通じゃないからな。
というか何故苦手なら自分から映画の選択肢に入れたのかととても疑問に思う。

「ギャップ萌えさせてあげようと思ったけど
ーー予告編で無理」

「予告編で無理なら尚更ダメだろ……映画見たいのはお前に任せる。
僕は特に苦手なのはないから」

「あれキミってホラー大丈夫なの?」

「毎日自分の顔を見ていたら並大抵のホラーなんかじゃ驚かなくなった」

あまりにも目つきが悪い自分の顔を毎日嫌でも見なきゃいけないのだから並大抵のホラーなんかじゃ驚かなくなった。

「……聞いているボクが悲しくなってくる理由だね。というかキミは何故大体の理由がそんな捻くれているんだい。じゃあカップルらしく恋愛ものを見ようか」

「分かった、映画の券は買ってくるが時間は一番近い時間帯で大丈夫だよな?」

「うん、よろしく。あと追加でポップコーンを1つ」

と空の容器を渡された。

「……いつの間にそんなに食べた」

「さっきから喋りながらボチボチと」

そう言えば葵の手にポップコーンが無かった瞬間は無かった気がすると今更ながら思った。どれだけポップコーン好きなのだろうかこいつは。

「はぁ……分かった買ってきてやる味は同じやつか?」

「大丈夫だよ、よろしくね」












コメント

  • Qual

    ここまで見ましたー!
    ボクっ娘好きなんで更新楽しみです(*^^*)
    部活の後輩の方もお待ちしておりますm(*_ _)m

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