太陽の失われし世界
入学編 4
2620年 6月5日 第一学院
「しんどい」
「凛ちゃん?分かるけどそういう事はここでは言わない方が良いんじゃないかな?」
ここは魔法に関しての本が集まる魔法図書館。どの学院に常設されている。ここで勉強してるのは凛と鈴。一日の授業が全て終わり、ここでダラダラ過ごすのが日課となっている。
「もー!私の能力の事ばっかり聞いてくるのやめて欲しいな!」
凛は激昂する。ここ5日間、アリスの事ばかり聞かれていたのだ。
「ま、普通の魔法使いの私が言うのもなんだけど。そんな強い能力他に無いからねぇ…」
と鈴は言う。しかし、鈴も普通とは言い難いオリジナルの魔法を持っている。それが3位となる要因なのだが、彼女はそれを見せようとしない。
「ところでさ。鈴って何か隠してない?」
「な、何よ急に。何にも隠してないよ。」
「だってさ。普通の魔法使いだったら、3位は無理だよ。オリジナルの魔法とか、隠し持ってるんじゃない?」
凛が問う。が、しかし、鈴から言う事は無い。
「まっさかー!偶然だよ!偶然!」
「でも何か…」
「こら!図書館では静かにしなさい!」
図書館の司書である奈賀鏡花(ながきょうか)が近づいてくる。いつも本を読んでいる女性の先生だ。
「全く。あんたら、私がいるってのによくそんなに騒げるわね!風音先生に言いつけるわよ!」
凛鈴、慌てる。
「ちょ、ちょっと待って!」
「あ?タメ口か?1年?」
鏡花が威圧してくる。それに対し鈴は、
「それだと3年とかにはタメ口でも…」
「ほう。屁理屈か?良かろう。私の刀の錆にしてくれるわ!」
鏡花の魔法は自身の刀をスイッチとして発動する。何かを発動のキーとする魔法は大体が強力な魔法なのだ。もちろん鏡花の魔法も例外では無く…
「明鏡止水!」
鏡花が刀を床に突き刺した途端、一瞬で図書館内が凍てついた。そして…
「明鏡止水は時間を凍らせる。この氷の世界で私に切れない物は無いわ…と言っても、貴方達には聞こえてないでしょうけど。」
鏡花は明鏡止水を解除しようとし、違和感に気づく。
「何?あそこだけ、時間が止まってな…」
言い終わらないうちに、クラブの騎士が鏡花に襲い掛かって来る。
「…なるほど?アリスか。氷封斬!」 
氷封斬は切った相手の能力を封印する技。これは召喚された敵にも有効であり、そういった物を切った時、その召喚能力自体を封じることが出来る。それはアリスも例外では無い。
「?!クラブの能力が使えない!」
当然凛はこうなる。さらに、凛はダイヤの能力を使う事も不可能なのだ。何故なら、学院の教師にはある魔法道具が支給されているのだ。それは、相手の魔法、能力の対象にはならないという効果。つまり、対象を指定する必要があるアリスのダイヤの能力は使用不可なのである。
「鏡花先生の魔法を再現出来ない…?」
鏡花は迷い無く凛に突撃してくる。
「この世に咲く水晶の薔薇よ!今我の刀にその力を集約し、相手を斬り裂く必殺刀となれ!」
「水晶花斬!」
その刀は凛の身体を斬り裂き、凛は死へ…
「気がついた?」
「?!」
そこは図書館。そして、凛と鈴は何故か司書室へ移動している。
「全く。急に倒れるんだから…ほら、閉館の時間よ。行った行った!」
鏡花先生はそう言うと、凛鈴を外へ追い出す。
「…夢?本当に?」
「どうしたの?凛ちゃん。速く寮に戻ろう?」
鈴が心配そうに顔を覗き込む。
「ううん。大丈夫!速く帰ろう!明日は…」
そう。明日はかの2位と決闘である。
同年 同日 第一学院魔法図書館
「どうじゃった?凛の実力は?」
図書館にある大机。そこで風音は紅茶を飲んでいる。
「…正直、見当違いでした。でも、明鏡止水を耐えるとは…あと、ここは飲食禁止ですよ。」
風音はひょうひょうと言う。
「悪い悪い。しかしな。お前さんの刀に勝つというのも、並の人間じゃ難しいと思うぞ?」  
「…なるほど。じゃあ風音さん、」
唐突に明鏡止水を発動する。しかし、魔法は発動しなかった。
「はぁ…腕は衰えてないか…」
「当然じゃ。そもそも、対策しない方が馬鹿と言うものじゃ。お前さんの魔法はどれも強力だからな。」
「…本当にそう思ってます?」
「思っとる。今は私が勝ってるがな。しかし、お前さんが本気を出せば、どうなるかは分からん。」
「…あれは使いたくないです。」
「だろうな。どれ、良い茶葉を入手出来たんじゃ。1杯どうだ?」
「…頂きます。」
図書館で、ひっそりとしたお茶会が開かれる。
入学編 Fin
「しんどい」
「凛ちゃん?分かるけどそういう事はここでは言わない方が良いんじゃないかな?」
ここは魔法に関しての本が集まる魔法図書館。どの学院に常設されている。ここで勉強してるのは凛と鈴。一日の授業が全て終わり、ここでダラダラ過ごすのが日課となっている。
「もー!私の能力の事ばっかり聞いてくるのやめて欲しいな!」
凛は激昂する。ここ5日間、アリスの事ばかり聞かれていたのだ。
「ま、普通の魔法使いの私が言うのもなんだけど。そんな強い能力他に無いからねぇ…」
と鈴は言う。しかし、鈴も普通とは言い難いオリジナルの魔法を持っている。それが3位となる要因なのだが、彼女はそれを見せようとしない。
「ところでさ。鈴って何か隠してない?」
「な、何よ急に。何にも隠してないよ。」
「だってさ。普通の魔法使いだったら、3位は無理だよ。オリジナルの魔法とか、隠し持ってるんじゃない?」
凛が問う。が、しかし、鈴から言う事は無い。
「まっさかー!偶然だよ!偶然!」
「でも何か…」
「こら!図書館では静かにしなさい!」
図書館の司書である奈賀鏡花(ながきょうか)が近づいてくる。いつも本を読んでいる女性の先生だ。
「全く。あんたら、私がいるってのによくそんなに騒げるわね!風音先生に言いつけるわよ!」
凛鈴、慌てる。
「ちょ、ちょっと待って!」
「あ?タメ口か?1年?」
鏡花が威圧してくる。それに対し鈴は、
「それだと3年とかにはタメ口でも…」
「ほう。屁理屈か?良かろう。私の刀の錆にしてくれるわ!」
鏡花の魔法は自身の刀をスイッチとして発動する。何かを発動のキーとする魔法は大体が強力な魔法なのだ。もちろん鏡花の魔法も例外では無く…
「明鏡止水!」
鏡花が刀を床に突き刺した途端、一瞬で図書館内が凍てついた。そして…
「明鏡止水は時間を凍らせる。この氷の世界で私に切れない物は無いわ…と言っても、貴方達には聞こえてないでしょうけど。」
鏡花は明鏡止水を解除しようとし、違和感に気づく。
「何?あそこだけ、時間が止まってな…」
言い終わらないうちに、クラブの騎士が鏡花に襲い掛かって来る。
「…なるほど?アリスか。氷封斬!」 
氷封斬は切った相手の能力を封印する技。これは召喚された敵にも有効であり、そういった物を切った時、その召喚能力自体を封じることが出来る。それはアリスも例外では無い。
「?!クラブの能力が使えない!」
当然凛はこうなる。さらに、凛はダイヤの能力を使う事も不可能なのだ。何故なら、学院の教師にはある魔法道具が支給されているのだ。それは、相手の魔法、能力の対象にはならないという効果。つまり、対象を指定する必要があるアリスのダイヤの能力は使用不可なのである。
「鏡花先生の魔法を再現出来ない…?」
鏡花は迷い無く凛に突撃してくる。
「この世に咲く水晶の薔薇よ!今我の刀にその力を集約し、相手を斬り裂く必殺刀となれ!」
「水晶花斬!」
その刀は凛の身体を斬り裂き、凛は死へ…
「気がついた?」
「?!」
そこは図書館。そして、凛と鈴は何故か司書室へ移動している。
「全く。急に倒れるんだから…ほら、閉館の時間よ。行った行った!」
鏡花先生はそう言うと、凛鈴を外へ追い出す。
「…夢?本当に?」
「どうしたの?凛ちゃん。速く寮に戻ろう?」
鈴が心配そうに顔を覗き込む。
「ううん。大丈夫!速く帰ろう!明日は…」
そう。明日はかの2位と決闘である。
同年 同日 第一学院魔法図書館
「どうじゃった?凛の実力は?」
図書館にある大机。そこで風音は紅茶を飲んでいる。
「…正直、見当違いでした。でも、明鏡止水を耐えるとは…あと、ここは飲食禁止ですよ。」
風音はひょうひょうと言う。
「悪い悪い。しかしな。お前さんの刀に勝つというのも、並の人間じゃ難しいと思うぞ?」  
「…なるほど。じゃあ風音さん、」
唐突に明鏡止水を発動する。しかし、魔法は発動しなかった。
「はぁ…腕は衰えてないか…」
「当然じゃ。そもそも、対策しない方が馬鹿と言うものじゃ。お前さんの魔法はどれも強力だからな。」
「…本当にそう思ってます?」
「思っとる。今は私が勝ってるがな。しかし、お前さんが本気を出せば、どうなるかは分からん。」
「…あれは使いたくないです。」
「だろうな。どれ、良い茶葉を入手出来たんじゃ。1杯どうだ?」
「…頂きます。」
図書館で、ひっそりとしたお茶会が開かれる。
入学編 Fin
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