出会い系はじめてみたら幼馴染とマッチングした話

さかな

13. 大学にて


「暑すぎです!クーラーとかつかないんですか?」

 今、丁寧に暑さを訴えたのは俺ではなく、おれの大学の友人の金城である。
 こいつは誰に対しても敬語を使う丁寧なやつなのである。
 もう少し詳しく紹介するとこいつはおれと同じ学部同じ学科、さらにはサークルまで同じときてよくおれとつるんでいる。
 筋肉がつきづらく良く言えば細マッチョなおれとは違い、こいつはラグビー部らしいガッチリとした体つきをしている。
 少し顔まわりの脂肪が多く、その脂肪取ればカッコ良いと言われるようになるだろうにと思いながら本人に告げたことはない。

「そう言えばですね。」

 む。
 途中で言葉を遮られてしまった。
 これから学部内自己紹介の時のどもりエピソードを披露しようと思っていたのに。
 話をかけられたので俺は金城の方を向き直る。

「昨日お前と一緒に歩いていた超絶可愛い女の子は誰なんですか?」

 俺の汗腺という汗腺から汗が噴き出す。よりにもよってこいつに見られるとは。

「なんのことだ?俺は昨日は…」

 金城が怪訝そうな目で俺を見つめてくる。言い逃れは難しそうだ。
 仕方がない。

「あれは俺の幼馴染なんだ。最近たまたまあってお茶でもどうかって」

こいつに俺たちが恋人のふりをしていることは伝えなくていいだろう。1ヶ月のことだし、バレるとサークルのみんなに知れ渡る。サークルのみんながこんな面白そうなことに乗っからないはずがない。

「お、ちっす。」

お、茜さんやん。
…って

「なんでお前がここにいるんだよ!」

 言い忘れていたがここは工学部のあるキャンパスの学生食堂である。

「いやー。ダーリンの話したら私の友達があってみたいっていうもんだから…。」

茜は中学生の茜よろしく熟語の入った外国人ウケの良さそうなTシャツを着ていた。おまえ、まだそんなん着てたのか。とツッコミを入れようとしたその時

「おっす。初めましてー!君が茜の彼氏くん?」

ショートボブで茶髪の目元のくりっとした可愛らしい女の子が茜の後ろからぴょんと現れ出た。

「お、お前彼女お前。」

「お前は日本語履修しなおせ。」

 参ったな。
 どこから手をつければ良いのやら。

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