好き同士ってめんどくさい

Joker0808

第21話

「……そうだけど……」

「もぉ! いつまそんなウジウジしてるの!」

「だって……悠人が……」

「悪いのは悠人君だけじゃ無いでしょ!! 素直にならない彩も悪いわよ!」

 アーネの言う事も一理ある。
 私がもっと早くに素直になっていれば、こんな事にはならなかったかもしれない。
 でも、なんかそれは負けた気がするから、なんか嫌だった。

「す、素直って言われても……ど、どうするのよ……」

「簡単よ! 大好きって言いながら悠人君の胸に飛び込めば! これですべて解決よ!!」

 大好きと言いながら……悠人の胸に飛び込む……。
 ま、まぁたしかにそれは悪くないわね……悪くないって言うか……そのまま悠人の事を押し倒すのも有りかも……。

「彩、鼻血出てるわよ?」

「え? あ!」

 これは……あれよね……のぼせただけよね……。
 べ、別に悠人の事を想像して鼻血とか出してないし!!
 私はアーネより先にお風呂から上がり、部屋に戻った。
 アーネはもう少しゆっくりとお風呂に入るらしい。
 なんでもこっちの世界のお風呂は珍しいらしい。

「はぁ……悠人は……」

 私はふと窓の外にある、隣の悠人の部屋を見る。
 まだ明かりが付いている。
 何してるんだろ? 勉強? 悠人に限ってそれは無いか……。
 あーあ……悠人と前みたいに話し出来たらなぁ……。 そんな事を思っていると、ベッドの上の私のスマホが鳴った。

「ん? 誰かな……」

 村北さんだろうか?
 そんな事を考えながら、私はスマホのロックを解除して確認する。
 誰かからメッセージらしい……一体誰だろう?
 ぼーっと考えながら、私は差出人を確認する。

「えっと……差出人は……え!?」

 私は差出人の名前を見て驚き、思わずスマホを落としそうになってしまった。
 差出人は村北さんなどでは無く、以外な人物だった。 
「ゆ、悠人から!?」

 ヤバイ! なんか緊張してきた!!
 私は自分の心臓の音が早くなるのを感じながら、呼吸を整えメッセージを確認する。

【さっきの事で話しがしたい、今から話せないか?】





「こ、これで……いいよな?」

 俺はメッセージを送信し終えて、送ったメッセージを確認していた。
 
「だ、大丈夫だ……へ、変な事は送ってない!」

 俺は自分にそう言い聞かせながら、スマホをベッドの上に放り投げて、そのままベッドに寝っ転がる。
 もしも断られたらどうしよう……。
 そんな事されたら、俺は本格的にショックを受けてしまう。
 てか、多分死にたくなると思う……。

「はぁ……やっぱり送らなきゃ良かったかな?」

 いや、しかし……何もしないよりはきっと良いはずだ!
 今までは何もしなかったから、何も起きなかったが、今は違う!
 これからは変えて行くんだ!
 諦め掛けていた恋が実るかもしれないんだ!
 誤解を解いて彩との仲を元に戻す、これが今の俺の目標だ!

「そうだ、こんな事で嫌われてたまるかよ……」

 大体、さっきのアレは誤解なんだ。
 話せば彩だってわかってくれる!
 俺はそんな事を考えながら、彩からの連絡を待っていた。
 すると、少しして俺のスマホの通知音が鳴った。
 俺は直ぐさまベッドから飛び上がり、スマホに飛びつく。
 俺は直ぐにスマホのロックを解除し、メッセージを確認する。

【話したくない】

「えぇ………」

 いや、すんなりいかないとは思ったが……話すのも嫌かよ……。
 しかし、こんなところで諦める俺ではない!

【さっきの事を説明したい】

 俺は直ぐに彩にメッセージを送る。
 彩からも直ぐにメッセージの返信が来た。

【別に説明される理由ないし】

【誤解されたままが嫌なんだ】

【誤解って何が? 私関係ないし】

 うっ……なんて返信すれば良いんだ……。
 確かに俺たちは付き合っている訳では無いし……彩に関係ないと言えばそれまでだ。
 だが、俺は誤解されたままじゃ困るし……あぁぁぁぁ!! なんて返信すれば良いんだ……。
 女子とのやりとりってこんなに難しかったっけ?
 はぁ……仕方ない、メッセージでだけでも説明を……ん?
 俺がそんな事を思っていると、俺が返信をするよりも早く彩からメッセージが来た。

【どうしてもって言うなら、コーラ一本で話し聞いてあげる】

「マジか!」

 俺は驚き、思わず声を出してしまった。
 なんでいきなりこんな事を言い出したのだろうか?
 まぁなんでも良い!
 これで彩と話しが出来る!
 俺は直ぐに彩に返信をする。

【わかった、今からコンビニで買ってくるから少し待ってて】

【うん】

 俺は急いでコーラを買いに近くのコンビニに走った。 早く誤解を解きたい一心で、俺は何も考えずにコーラを買って家に帰って来た。
 そして、帰って来て気がつく。
 考えてみれば、今から彩と話すのか?
 時間は夜の21時、時間も遅いが彩は大丈夫なのだろうか?
 てか、どこで話すの?
 彩の誤解を解きたい一心で俺は他の事を考え忘れていた。
 そんな事を考えていると再び彩からメッセージが届く。

【外出て】

「外?」

 俺は彩に言われるままに外に出る。

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