悪役令嬢はモブキャラになりたい

チョスイチ(miz)

お茶会①

「お待ちしておりました。こちらでございます。」


私の家は帝都にあるのでお城まではすぐに着いた。



お城につくとメイドさんが待っててくれていた。



それにしても…

『おっきいな……。』

公爵の家も十分、豪邸で迷うほど大きいけど、やっぱり王家が住む家は何倍も大きい。



「こちらです。」



メイドさんが案内してもらった先は、綺麗な花がいっぱいある庭園だった。



「ローレン!久しぶり〜!」

私の母が王妃だと思われる人の所へかけよる。


「カーソンも久しぶりね〜!」

「何年ぶりかしら?」

「1、2年ぶりだと思うわ。」



お母様方が騒いでいらっしゃる…。


「あら、その子がカーソンの娘ちゃん?」

「そうよ、娘のアリア。」

『ごきげんよう、王妃様。アリアと申します。』

「すごく可愛いわねぇ〜。
この子がイアンよ。」


ママ友の会話って感じだ。
なんていうか、もっと堅苦しいのかと思っていた。

「お目にかかれて嬉しいです。アリア様。」

イアン王子が膝を着いたかと思えば、私の手を取り甲に口ずけした。

『!?』

実はゲームの攻略キャラで1番好きだったのが目の前にいるイアン王子なんだよね。
さすがにこれはときめかずにはいられない……。


でも、この世界だとこれが貴族の挨拶なんだよね。

『こちらこそお目にかかれて嬉しいです。イアン王子。』

イアン王子に負けないくらい気品さを出して微笑む。

今、少しだけ、イアン王子の頬が赤くなった気がした。


「じゃあ、お母さんたちはあっちでお茶しながら話してるからあなた達は遊んでても何してもいいわよ。」

「あ、今日ほかの侯爵の人とか伯爵の人もこのあと来ると思うのよ。」

「あら、そうなのね。なら、その子達とも一緒に遊ぶといいわ。」


「はい。お母様。では、アリア様と遊んでおりますね。」







(なんか、かってに話が進んでる…)



「アリア様、来て欲しいとこがあるのですが。」


『ええ。いいですよ!でも、イアン王子は他の子達と遊ばないのですか?』

「あ、えーと……その…。」

『あ、いえ。まだ他の子達は来てないですもんね。』

「はい!あのお願いなのですが聞いてくれますか?」

あれ、この王子ってこんなに可愛かったんだ…。
この頃からモテてるんだろうな…。

『はい、なんでしょう?』

「その、イアン王子じゃなくてイアンって普通に読んで欲しいです。」

(あっ、なんだそんなことか!………いやでも)

この人と親密になるのはちょっと……
でもここで断ったら悪役っぽくなってしまうんじゃ…。

『いいですよ!なら私のことも呼び捨てで大丈夫です!』

ここはこう言っといた方がいいと思った。

イアン王子の…じゃなくてイアンの顔がぱあっと明るくなった。

「ありがとう!アリア!」

(か、かわいい……)

天使みたいな笑顔を向けられては女子は誰でもドキッとするだろう。
反則的だ。


向こうの方でほかの女の子数人の声がした。
どうやら、他の子達がやっと着いたらしい。

『みんな来たみたいですね。』

なぜかしょんぼり顔のイアン。

(どうしたんだろう?恋の悩みとか?)

『どうしたのですか?皆さん来ましたけど……。』

「あ、そうみたいですね。」

みるからにくらい顔をするイアン。

「イアン王子様〜。どこにいらっしゃるのですか?一緒に話しませんかー?」

向こうの方から女の子達の声がする。

声が聞こえて、よりくらい顔をしている。
(これってもしや…)

『イアン、あそこのアーチのところを案内してくれませんか?』

「え…うん、いいよ!」

また、笑顔になるイアン。
こう言っちゃ悪いけど、わかりやすい。













「こっちにいくと…ほら!」

『わぁ、綺麗…!』

案内を誘ってよかったみたいだ。
イアンの笑顔も増えたし、なにより景色がいい。


「疲れたし、あそこの橋渡ったところで休もう。」


橋の向こう側には、白い大理石?のような物で出来てそうないかにも西洋の庭園にある小さな宮殿みたいな?感じのがある。
たしかこういうのをガゼボという。

『そうですね!』

イアンを元気づけるためなのに結局自分が1番はしゃいでしまっている。

だって、もともとは日本人だし。
公爵家も庭園はあるけどこんなに広いわけじゃない。

(やっぱりお城はすごい…な…)




で、1番私が聞きたいことをこれから聞こう。

『好きな人でもいるんですか?』

女子が来た途端すごくくらい顔をしてたし、これは恋の病なんだよね!

「え?」

『え、だって女の子達が来た途端なんかうつむいていたから…。』 


「違うよ。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





『え?』

(じゃあ、どうしてなんだろう。)

ていうか、図星であって欲しかった。
イアンがここで誰かに恋すれば主人公とくっつく可能性が薄れると同時に私が巻き込まれる可能性も低くなるから。


……私、普通に悪役令嬢かもしれない。



「実は、僕ね。あの子達が苦手なんだ。」

『え?どうしてですが?』

(たしかに気持ちは分かるかも?)

「会う度に僕についてきて帰るまで離れてくれないんだ。しかも、こないだ好きですって言われて……。」


話が進むにつれてイアンの顔がくらくなっていく。

あと、そういうことをやる人に1人思い当たる人がいる。

ゲームの中では悪役令嬢のアリア側につく人だ。
そして、アリアともっとも仲が良かった 
ルーシー・ライト だ。

悪役側で1番偉かったのはアリアでその次がルーシーだったくらい。
ルーシーは侯爵令嬢でアリアほど美人というわけでもないけど、口が強くて計画性が高い。まぁ、アリアを支える頭脳派だ。



『…ちゃんとことわったらどうですか?』

「で、でも〜。」

『い、いつかおさまりますよ。』

いや、多分収まらないと思う…。
でも、私的にはくっついてくれた方がいいんだ。




(私ってある意味悪役令嬢なのかな?)












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