絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0252★少し周りを見る余裕が出たかな?


 俺達が乗る馬車の馬達も、後ろの2台の馬車の馬達も
 本当に、よぉ~く訓練されているよなぁ

 お陰で、俺が細かい指示しなくても、一定速度で走ってくれる
 さっきもそうだったけど………素直なイイ子達だよなぁ
 いや、あの旅商人・アデルから良い買い物したよなぁ~………

 う~ん…そろそろ白夜のことも気になるし………少しくらいの間なら
 御者台に俺が居なくても、このまま目的地に向かって走ってくれそうだし

 本当に、訓練済みなだけあって扱いやすい良い馬達だよなぁ~
 後で、きちんと血統書もあったようだから、名前の確認して
 ちゃんと呼んでやらないとな

 どんな生き物だって、名前を呼んで可愛がってもらいたいものだからな

 ああそうだ、彩湖さいこ王国の東の端にある美里みさと街に
 あのアデルって商人の親類縁者が居るとか言ってたよな

 そこで、色々と新しい物を購入しよう
 扱っている物の品質が良いだろうし………

 そんなことを考えながら、いい加減、延々と何の変哲もないサバンナ風景を見ながら街道を走ることに飽きた神護は、再び馬車の中に入ったのだった。
 御者台からの、出入り口に入ると………。

 その出入り口の部分は、履物やマントなどを置く棚が設置されていた。
 先刻入った時は、そこまで意識が回らずスルーしたモノだった。

 そして、よくよく見ると、その棚の間には、堅い樹で作られた遮蔽板が入っていた。
 勿論、強化魔法が施された板である。

 それは、野盗などに襲われた時、馬車内部に容易く侵入されないようにという、防衛の意味合いのモノで、いざという時は、ソコから引き出して閉めるのだ。

 普通の引き戸の後ろに、強化魔法で補強された遮蔽板で閉められるようになっているのだ。

 だから、その遮蔽板より、出入り口は少し狭くなっていたりする。
 いや、テプテプの商人が通れるぐらいなので、神護クラスの体型だと2人どころか、3人は優に通れる広さである。

 当然、身体の大きなリオウもすんなり通れるほどだ。
 だから、よほどの大柄な者でも無い限り、出入りは不自由しない造りになっていた。

 この世界の住人からみれば、小柄な神護には、なんのことはない広さである。
 神護は、緊急時ではないので、出入り口に設置されている棚に、履物を脱いで置く。
 ただ、少しだけ、神護はこの履物が苦手だった。

 なぜなら、この世界の履物は、足にぴったりとフィットさせる為に、革紐を膝まで編み上げているだ。
 神護は、それが少し煩わしかった。

 何度も行ったり来たりしている間に、何時の間にか足のクツが変わっていたことに気付いたのは、数日前だったりする。
 それまでは、たしかに履き慣れたカジュアルなシューズだったのだが………。

 剣と魔法のファンタジー世界らしいここでは、それが一番戦闘に適した姿であるということは、与えられた知識と、実際の経験で知っていた。
 だから、神護は横着することなく、きちんと履物を履いているのだ。

 少し窮屈な感じのする履物の編み上げた革紐を解き、下駄箱となっている棚の一部にしまった神護は、足触りの良い絨毯に目を細める。

 本当に、あのアデルって名乗ったテプテプコロコロした体型だけあったな
 ブチハイエナ獣人の旅商人は、本当に良い物を入れておいてくれたようだ

 ん~…っと……やっぱり、もっとしっかりとした明かりが欲しいかな?
 流石に、見えるコトは見えるけどちょっとつらいな

 白夜をベットに寝かせに入った時も、その後の白夜のが急成長した時も
 慌てていたんで、クツを脱がずに出入りしてしまったな
 まぁ…もっとも、どうせずっとサバンナや礫砂漠を歩いてたからな

 せいぜいが砂やホコリ汚れ程度のセイか、あまり気にならなかったな
 これが湿ったところ歩いたドロ足だったらちょっと気になったけど

 お陰で、出入り口の棚の存在に気付く余裕が無かったからぜ
 馬車ン中に入るんだから、クツを脱ぐって思考もなかったし……








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