絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0241★どうやって、取り戻そうか?



 理解わかっている この得体の知れない 我が身に巣食う
 この 暗くて寒いモノの正体は 間違いなく罪悪感だ

 禁断の【転生術】を行って 記憶と《力》を持ったまま転生し
 絶対の安心感を与えてくれる 父上という極上の【守護者】を得て

 私だけが こうして安全な場所で ぬくぬくと生活していることへの
 けして消せない罪悪感だ……

 弟達の現状を 女神の神殿の銀水晶が映し出した時から
 時折感じていた 抜けない棘のような痛みを伴う罪悪感

 そして 今日 私の祈願成就の《力》が健在であると………
 いや 元来より増していると 馬車を手に入れたことで判った
 すまないグレン すまないシレイ 今少し待っていてくれ

 腕の中でを震わせた白夜に気付いた神護は、優しく問い掛ける。

 「どうした? 白夜? 何か気になることでもあるのか?」

 ひとりで抱えるには大きくなりすぎた不安感と罪悪感に、白夜は自分の気持ちを隠せないことに気付いて、切なそうな瞳で答える。

 「はい とても…グレンと…シレイのことが… 脳裏から離れません
  捕らえられている弟達のことが どうしても気になって……
  こうして 私だけが父上に護られ ぬくぬくしていることに………」

 言葉を途切れさせながら、今の不安定な気持ちを口にする白夜に、神護は優しく微笑わらって言う。

 「少し前にも言ったろう、白夜
  お前の弟達を、取り返せば良いだけだって
  そしたら、弟達も転生させれば良いじゃないか

  なに、あの旅商人・アデルから得た情報は、ほぼ間違い無いようだからな
  彩湖さいこ王国の東の端にある美里みさと街に、グレンが居るのは
  ほぼ確定しているんだから………

  そして、グレンを捕らえたヤツは、飛翔族の皇子の一人を捕らえたと
  見せびらかす為に、日中は街中にいるらしいからな

  なら、グレンを力づくで取り返せば良いだけだろう
  そんなに、気に病むな白夜、俺は出来ないことは言わないぞ

  そしたら、もう1人のシレイも奪い返せば良いだけだ
  どうやら、波璃湖はりこ王国の西にある蝦蟇野がまや街に
  居るようだからな

  クスクス………さて、どうやって奪い返そうか? 白夜?
  魔法戦でも良いが……こう…もっと……衝撃的に奪うか?

  クックククク………いっそうのことさぁ…また、あの恐竜並みの
  巨大虹色オオトカゲとかを見付けて誘導してやるか?

  簡単だぞぉ~…こっちには、ヒリュオンの子供のリオウがいるからな

  後は、ホタルの視界を使って、誘導するヤツを探すだけでイイんだから
  あの恐竜のような、巨大な虹色オオトカゲを見つけたら
  その目の前を、リオウに走らせればイイだけだからな

  どっちの王国も、大混乱しそうだよなぁ~…そう思わないか、白夜?
  あれだけ大きい怪物級の巨大虹色オオトカゲが襲ってきたらさぁ~

  くすくす………他にも効果的な生き物が居たら、ガッツリと誘導して
  どちらの王国にも侵入するように仕向けてやるか?」

 楽しそうに、普通ならとても出来そうにないことを簡単に言う神護を見上げる白夜は、自分の中に現われた、澱んだモノ悔恨というなの不安が綺麗さっぱりと消失していることに気付く。

 ああ 本当に 父上ならそれぐらい 簡単にやりそうだよなぁ~……
 そんなコトを想像しただけで… 私の中の真っ黒なわだかまりが消えている

 不思議なほど 父上の言葉は 私のこころの中にするっと入って来て
 優しく私を癒してくれる

 他者が聞いたら それこそ荒唐無稽にしか聞こえないようなコトも
 父上が言うと 本当に実現できそうだ

 待っていてくれ グレン シレイ かならず お前達を取り戻すから……

 不安感が解消した白夜は、再び眠気に襲われて双眸を閉じた。








コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品