絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0198★成長する翼1



 神護は、ホタルの卵全部に、愛情を注ぎ、慈しむように撫でる作業を終わらせた、ふと白夜の方を見る。
 と、風糖ふうとう李紅りくも食べ終えて、リオウのお腹の部分に縋るようにして眠っている姿を目にする。

 「白夜?」

 そっと呼びかけるが、熟睡しているらしく、神護の呼びかけには応えなかった。
 神護はちょっと考える。

 ふむ、完全に熟睡しているなら、無理に起こさない方が良いな
 そうだ、今の内に背中の翼の成長具合を確認しておこう

 神護は、そっと白夜のマントをめくり上げ、その背中でかすかにパタパタさせている翼を見詰める。

 ん~…ちっと血が出てるな…白夜本人の自覚はなさそうだけど
 また少し成長したみたいだ、この分なら、まだまだ成長しそうだな
 飛翔族の正常な翼の大きさが、いたいどの程度かはわからないが
 うまく行けば、飛べるくらいになるかもな

 翼の成長を確認した神護は、体内に眠る【ルシフェル】を呼び出し、その翼の根元を保護する為に、樹液を塗りつけてからマントを直す。
 そして、神護は白夜をそっと抱き上げ、膝に乗せてリオウに寄りかかる。

 「おやすみ リオウ」

 そう声をかけて、神護も眠りについた。



       ****



 朝と呼ぶには少し早い黎明の頃、神護は白夜の微かな呻き声で眼を覚ました。

 「どうした? 白夜?」

 神護の声に、白夜が涙目で答える。

 「また 背中が痛いんです 翼の根元が…… くぅぅぅ……
  こんな痛み 転生前には… 感じたこと ありませ…ん…ぅぅ…」

 つらそうな白夜を、ちょっと可哀想だなと思いつつも、膝から降ろして、ソッと立たせる。

 神護は、白夜の背後に回り、翼に僅かな負担も掛からないように、マントをそぉ~っと外して、リオウの背中へポイッと投げる。
 リオウは、そんな神護と白夜の様子に頓着せず、一度は開いた、眠たそうな双眸をそのまま閉じてしまう。

 …っ……あぁ~あ…根元の部分が裂けてるな……こりゃ…また……
 随分と盛大に成長したもんだなぁ~……マジで痛そうだわ…

 背中を見て黙っている神護に、不安を感じた白夜が問い掛ける。

 「父上 私の翼 どうなっていますか?」

 白夜の声に潜む不安感を感じて、神護は一応深刻そうに言う。

 「ああ、すっごく成長しているぞ
  特に、翼の根元部分が2倍以上の太さになったな

  見た目てきには、普通の鳥の翼に比べると
  ちょっと、ずんぐりむっくりしているかな?

  お陰で、根元の皮膚がけっこう裂けてるな
  そのセイで痛みを感じたんだろう、とりあえず…《治癒》…と

  今はまだ、大丈夫だけど、今度、これだけ盛大に成長すると
  ドレスの背中を、翼の為に切らないとダメだな

  大きくなった翼の根元が………傷口が、確実に当たるな

  それまでに、あの礫砂漠れきさばくを渡る旅商人のキャラバン隊と
  出会えれば良いんだがなぁ………」

 白夜は、神護からの説明にほっとした。




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