絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0175★神護、白夜を腕に樹海と礫砂漠《れきさばく》の稜線を歩く


 期待を胸に、神護は生姜湯を飲み干し、水を注いで、コップ1杯の水分を摂取する。
 それを見ていた白夜も、コップを差し出したので、零さないようにと、少し少なめに入れてやる。

 お水をもらった白夜は、コクコクと飲み干し、神護にコップを差し出す。
 受け取った神護は、ちょっと考えてから、巾着袋の方に2つのコップを入れる。
 神護が出発できるように準備し終えたのを見計らって、白夜は言う。

 「父上 私の翼を見ていただけますか?
  生姜湯を飲み終わった頃から なんか少し
  根元にジクジクした 痛みがあるんです」

 その言葉に、神護は頷いて背後に回り、マントを外して、白夜の翼を確認する。

 「うん…ああ、見た感じからして、わりと大きくなっているな
  まるっきりのヒヨコの翼だったのが……
  今は少し翼らしい翼の姿になってきているぞ

  生まれたて翼に生えた羽毛の下から
  羽根を護る筒状のサヤが生えてきているぞ

  くすくす………サヤの一部なんて、もう割れてきているな
  翼が綺麗に生え揃うのも近いかもな

  あと、翼本体とそれを支える根元も
  ひと回りくらい大きくなっているな」

 神護に確認してもらい、自分の翼が確実に成長していると言われて、白夜は本当に嬉しそうに笑う。

 「本当ですか? 父上 そうだったら 白夜は嬉しいです
  翼として 変則的な顕現けんげんをしたんで 不安だったんです」

 〔良かった 本当に 私の翼は 父上の言う通りだった
  成長に必要な《魔力》や要素が足りなかっただけなんだ

  誕生時に 顕現けんげんできなかっただけで 足りてくれば
  大きくなるのなら安心ですね

  いずれは 私の祈願成就の《力》も 復活するやもしれない
  希望が出てきた いや 小さい願い事なら この翼でも
  叶えることが出来るかもしれない

  とりあえず 今の父上の願い事を さりげなく聞き出そう〕

 白夜がそんなことを考えているなど露知らず、神護は再び【ルシフェル】を呼び出して、保護に使う樹液を翼の根元へと塗り込んでいた。

 へぇ~…短時間で、随分と成長するもんだなぁ~…いや、マジで
 根元の太さが2倍くらいになってるもんなぁ~

 そのわりに、思ったより出血は少ないな、助かる

 翼自身も全体的に大きく成長しているようだし
 妙ないびつ感もないからな、うん良好だな

 背中の翼の根元の治療を施した神護は、白夜に状態を教えながら、マントをそっと付ける。

 「うん、そのセイで付け根の肉が、少し新たに裂けたようだな
  出血はそんなに無いが、新しく薬を塗っておくな」

 極力、翼にマントの布が接触しないように調節した神護は、白夜の前に回って抱き上げながら言う。

 「とりあえず、礫砂漠《れきさばく》の中を通る街道が近いのは
  ここから、もっともっと向こう側だからな

  今日は、もうここまで来ているから走らずに歩いて移動する
  この礫砂漠れきさばくと樹海もどきの稜線を探検しながら
  ゆっくりと進むとしようか?」

 「はい 父上」

 「よし、行くぞリオウ」




コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品