絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0168★とにかく下山《げざん》しよう


 「ああ…あれだけたっぷり食べても、眠気はないな
  それに、ここで十分に休憩も取れたからな……

  白夜の場合は 栄養が入ったことで、翼が成長する為に
  睡眠を欲しているんだろう

  抱っこしてやるから、そのまま寝ちまえ

  この樹海もどきの中では、どんなキケンな生き物が居るか
  全然わからないからな

  さっさと【竜ケ峰りゅうがみね】を降りた方が良いだろう

  それに、俺は、いいかげん調味料や着替えが欲しい

  たしかに、焼いただけの素材の味やまんまでも食べれるが
  俺は、味付きの方が好きなんだ
 
  つーことで、とにかく下山げざんするが良いか?」

 神護の言葉に、半分眠りをかぶりながら、白夜はコクコクする。

 「はい 父上 白夜も香辛料使った料理が食べたいですぅ~………
  すぅ~ すぅ~…… くぅぅ~…………」

 白夜は、そう呟くと同時に、ガクンッと寝落ちしてしまった。

 それを予測していた神護は、そんな白夜をひょいっと軽々と抱き上げて、自分のマントで包む。

 その間、一心不乱に身繕いしていたリオウは、嬉しそうにスクッと立って、神護が動くのを待っていた。

 神護は、剣帯にさげた剣と短剣以外を、全部腕輪の中へと放り込み、リオウを振り返る。

 「行くぞ、リオウ」

 神護の声掛けに、嬉しそうに答える。

 「ガウゥゥ~……」

 リオウの応えと同時に、神護は小川の側を下流に向かって走り出す。
 当然、リオウも楽しそうに神護の後に続いた。

 神護は、リオウの気配にホッとしながら走り続ける。

 流石に、1人黙々と走るのと、ペットが一緒じゃ…気分が違うな
 そりゃ~白夜が腕ン中にはいるけどよぉ~…伴走してくれる
 ペットがいると、それだけで気分が違うからな

 ちょっとウキウキしながら、神護はひたすら小川の側を走り続ける。

 勿論、余計な生き物に絡まれたくないと《小結界》を、自分と側を走るリオウに掛けて走っていたことは言うまでもない。

 ちなみに、普通の《結界》はその場に停止して、選定した場所に使うモノである。

 だが、神護には、魔法や魔術の根本的な常識が無かったので、ラノベの知識と思い付きだけで《結界》を施したままで移動していた。
 
 移動しながら《結界》の魔術を使うことは、理論上は出来なくは無い。

 場所ではなく、移動する固体に《結界》を施す為、膨大な《魔力》を消費することになるのだ。

 そして、膨大な《魔力》と欠けた常識の為に、神護は何気なく非常識なことをしながら、ただただ街に向かって走るのだった。









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