絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0126★古の女神の神殿7 転生に失敗?


 ちょっと言いよどんでから、そう言った白夜に頷き、神護はその衣装を着せようとして、首を傾げる。

 「白夜、お前、随分と身体に痣が多いな?」

 神護のセリフに、白夜は自分の身体を確認する。

 「えっ? アザですか? 何処かな?」

 〔えっとぉ~……ぅん? 手首の外側に 赤い痣?
  足首にもありますね あと 何処にあるんだろう?〕

 「父上 手首と足首の外側に 痣があるのは判りました
  他にも こういう 赤い痣って どこにありますか?」

 誕生して間もないのに、はきはきとした利発な物言いに、神護はちょっと首を傾げてから答える。

 「耳にあるな……あと……背中の肩甲骨の辺り……
  って、言えばわかるか?」

 違和感の正体を知った白夜は、内心で絶望的な落胆に陥ってしまう。

 〔やはり 記憶を持っての転生は出来たが………
  失敗したようだな 背に翼の存在を感じないから…
  もしや…とは……思ったが…… くっ 無念だ〕
 
 「…てん…せい………しっ…ぱい……翼……失った…」

 愕然がくぜんとした白夜は、思わず本音を無意識にこぼれ落とした。

 そのセリフに、神護は思い出す。
 自分が手渡された卵が、飛翔族という有翼種族の卵だったというコトに…………。

 〔ぅん? 今、白夜はなんて言った?
  てんせい? それって………もしかして………
  あの転生ってことか? 

  つーと、やっぱり……ただの飛翔族の卵
  じゃなかったってことだよな…………じゃない

  ここは……とりあえず、生まれたてでまる裸の白夜に
  このお姫様のふわふわ衣装で良いから、着せないと……
  流石に、風邪引いちまうよな

  いや、こっちに風邪ってやまいがあるかしんねぇーけど
  生まれたての姿じゃ、身体に悪いは確かだろう

  幸い、このふわふわの衣装、背中が大きく開いているし……
  別に、マントもあるからな〕

 神護はショックを受けている白夜を抱き上げ、手早く下着をはかせて、お姫様の衣装を白夜に着せ付ける。
 そして、マントを付ければ、可愛いお姫様の出来上がりである。

 「白夜、お前が言う、転生とは輪廻転生のことか?
  それで……… すっげ~落ち込みしてっけど……

  お前は、何を失敗したんだ?

  とりあえず、白夜が話せることだけで良いから
  俺に説明しろよ……」

 白夜は、神護からの言葉を逡巡しゅんじゅんするが、自分で【守護者】として選んだことを思い出し、戸惑いを浮かべたまま頷く。

 「はい 父上が言う 転生で間違いありません
  私は 禁断の魔術書に記された【転生術】を

  我が身にほどこし 記憶と《力》を持って
  転生をしました でも 失敗しました…………」

 言葉を詰まらせる白夜の頭を撫でてやりながら、神護は先を促す。

 「それで、失敗って何を失敗したんだ?」

 神護からの問いに、白夜は俯いて、口惜しそうに言う。

 「翼が無いんです 飛翔族のあかしが………
  強大な《力》を有する翼を 私は失いました………」







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