絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0035★街中で聞こえてきた話し


 嶺鳥れいちょうの卵を買いに出たビャクヤは、そこらじゅうで闊歩かっぽする黒鼠族こくそぞくの兵士達に注視ちゅうしされないように、何気なく歩いて行く。

 そんな中でこえて来る、飛翔族の話しに、ビャクヤは無意識にゴキュッと喉を鳴らしていた。

 そう、皇子のひとりが捕まったらしいという噂を聞き………。
 ビャクヤは背筋に、冷たい脂汗が流れるのを感じた。

 どちらだ? 捕まったという皇子は?
 グレンか? シレイか?

 だが 立ち止まるな ビャクヤ
 今ここで正体がバレたら 確実に捕まる

 そう自分に言い聞かせ、ビャクヤは嶺鳥れいちょうの卵を売っていそうな店を探す。

 ちなみに、今のビャクヤは、街中に出た時ようの姿で、見た目がキツネの獣人なので、大きい袋を背負っていても、不自然に見えなかった。

 背中の翼は、極限まで畳んでいる為、そうロコツに翼が目立つことは無かったので、マントで充分に隠されていたし、変化の術のお陰で、気づく者は居なかった。

 ビャクヤは、なにくわぬ顔で、ハンターギルドが出展している店を訪れた。

 この地、竜ケ崎りゅうがさきのハンターギルドの店には、結構なモノがそろっていた。

 目的の嶺鳥れいちょうの卵を見付け、ビャクヤは内心ホッとする。
 もし、ここになければ、自分で獲りにいかなければならなかったから…………。

 小さなカゴに綿が詰められ、丁寧にソッと乗せられた嶺鳥れいちょうの卵をジィーとみる。

 ふむ この手前の卵が
 ひときわ艶やかだな
 よし コレにしよう

 首を傾げたビャクヤは、その中のカゴの1つを手に取り、カウンターで購入する。

 確かにかなり高価ではあるが、ビャクヤにはどうってことの無い金額だった。

 嶺鳥れいちょうの卵を手に入れたビャクヤは、ハンターギルドの店を出た。

 そして、その足で封印されし【竜ケ峰りゅうがみね】へと向かう。

 竜ケ崎りゅうがさきは、ふもとの街とは言っても【竜ケ峰りゅうがみね】までは、かなりの距離があるのだ。

 過去には、飛竜の営巣地だったと言われる山の奥深くにある、今は、訪れる者も無い《封印》されし神殿へと向かった。

 そう、禁断の魔術書に書かれていた【転生術】を行うために…………。





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