絶滅危惧種のパパになりました………~だから、保護して繁殖をしようと思います~

ブラックベリィ

0026★ビャクヤの隠れ家処分 1軒目から2軒目へ移動

 さて、この家のモノは片付けた
 空間移動の軌跡が残るキケンはあるが…………

 ぶどう酒への未練と、外で《魔力》を使用すると、遮蔽するモノがないので、敵の魔術師や神官達に《魔力波》を感知される危険がある為に、一瞬のためらいのあと、ビャクヤは覚悟を決める。

 そう、棚に大切にしまっておいたぶどう酒の壷を、移動用に用意していた《呪陣》へと全部移動する。
 そして、もって来た大きな袋もその《呪陣》の中に入れる。

 弓と矢を装備し、一応、もしも転移先に、敵兵士が出現した時の為ように、ビャクヤは愛剣を手に《呪陣》の中央へと移動する。

 この家の移動用の《呪陣》は、大量のぶどう酒を運ぶ為に、大きく作られていたのだ。
 ビャクヤは愛剣の先で《呪陣》の中央を軽く、トンと叩いた。

 次の瞬間、その部屋からビャクヤと大量のぶどう酒が綺麗に消えていた。


              ***


 後日、しらみつぶしに捜索する方針に変更され、この家を調べに来た黒き河の黒鼠族こくそぞくの兵士達は、ここにビャクヤが存在していたことには気づかなかったのは、たしかな事実だった。


 ただ、何もないが、大量にぶどう酒壷を置く棚があった為………。

 「ふむ、住人はなしか………
  ぅん? これは………」

 石畳の床に、わずかに残った灰に気が付いた部隊長に…………。

 「隊長、この家に住んでた者って
  すっげー酒飲みのようですね」

 そう言って、少し前まで使用していたとわかる、ぶどう酒用の棚を指差す。
 顔を上げた部隊長は、あらためて壁一面のぶどう酒棚に、頷く。

 「どんだけ、酒飲みだったんだ?

  いや、まぁいい、ここは…………
  我等に怯えた 小隊の商人が
  逃げた家だろう…………

  流石に あの飛翔族の皇子が
  大酒呑みとは思えんしな」

 飛翔族の皇子達が
 そんなに酒飲みとは聞いてないからなぁ………
 ここは、酒飲み商人でも住んでいたんだろう

 捜索を担当した、部隊長がそう呟いたのは、ビャクヤの知らないことだった。





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