俺が頼んだ能力は神達の中での普通じゃない!!

白林

愛の城

ーーぴっちゃ、ぽちゃっ、ぴっちゃっ
水の音?
うっすらと目を開ける。

「んぅ……」

 ここはどこだろうか?
長椅子が縦にズラっと並べてある。
そのひとつに私は横になっていた。
見たところ教会だろうか。

 確か、私は吸血鬼に血を吸われて……。
ゆっくりと椅子から立ち上がると足元にヒヤッとした感触が伝わる。

 よく見ると教会の床一面に水が張ってあった。

「なんで、水が……?というか、この服……?」

水面には、私の姿が写っている。
前に着ていたパーカの姿はなく、白いドレス姿で、だ。

「動きづらい……」

 どうやら寝ている間に着替えさせられたようだが、ドレスがひらひらしていてものすごく動きづらい。

丁寧なことに髪型も編み込みにさせられていた。

しかし、そうボヤいても、もとのパーカ姿に戻るわけでもなかった。

「悠太……」

きっと、心配してくれてる。
多分……そうだと、いいな。

教会から出ようと、出口に向かって歩き出したその時だった。

「あら?何処へ行くの?私の可愛い花嫁」

「ミラージュ……」

「ミラージュ?ふふっ。ああ、それは偽名よ。本当の名前はアリスって言うの」

見つかってしまった。

「ふふ。やっぱりそのウエディングドレス、すごく似合ってるわ。とっても可愛い」

早く、ここから出なければ。

「水よ……氷柱になれ」

こうなったら、自力で出るしかない。
覚悟を決め、呪文を唱える。
しかし、水は凍ることも氷柱になることもなかった。

「なん、で……」

「ふふっ。ここには私の血で結界を張ってあってこの空間にマナは存在しない。だから魔法は使えない」

ここは彼女のテリトリー。こちらが不利だ。

「……アリス、お願いここから出して……」

「ダーメ。ここは私と貴方の愛のお城なの。それに、1回逃がしてしまったら次に捕まえるのが難しくなるわ」

アリスはにっこりと笑うと、少しずつこちらへと近づいてくる。

「私はあなたを知ってる。私ならあなたを守ることが出来る。あなたを追う者全てから」

「なにを、言って……」

「あなたは私の花嫁になればいい。そうすれば何にも恐れることなく暮らせる。私ならあなたを幸せにしてあげることが出来る」

アリスが指を鳴らす。

体が、動かない……!

「さぁ、初夜を楽しみましょう?大丈夫。初めは痛いかもしないけれど、慣れれば自分からオネダリするようになるわ」

アリスが、私を押し倒す。

ポチャンっと音を立てて水の張っている床へ身体が倒れた。

アリスの指が、私の首筋をすぅっとなぞる。

「ひゃっ……」

「ああ、綺麗な首筋……とっても美味しそう。でもダメね今日はこれ以上吸ってしまったら危ないもの……仕方ないわじゃあ、これで…」

「ふにゃ……!」

アリスの唇と私の唇がくっつく。

それから数秒たって、やっと唇が離れた。

「はぁ……はぁ……」

「やっぱり可愛い……はむっ」

「んひゃん……!?」

次は容赦なく舌が入ってくる。
「ん……ひゃ…!」

唾液が吸われる……。
だんだんと頭がぼんやりしてくる。

「ぷはぁ〜♪うん、おいしっ。じゃあ、次は……」

「ひゃっ……どこ、さわってぇ」

「う〜ん?お・な・か♪」

滑るようにしてお腹に指が這っていく。

「夜はまだまだこれからよ……ふふっ」

アリスが楽しそうに笑った……。

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