俺が頼んだ能力は神達の中での普通じゃない!!

白林

フクロウからの手紙

ーーおかしい。ティナが帰ってこない。

 いや、セリカも帰ってないからおかしいことはないのだが、それにしても時間がかかりすぎてる。

まぁ、一位と二位の補佐官だ。
当たり前なのかもしれない。
でも、心が、何故かざわつく。

あの時、ティナを待たずに帰ったことを後悔する。

ーーコンコンッ
 俺しかいない部屋、そこに窓をノックする音が聞こえる。
玄関ではなく、リビングにある小窓だ。

 誰かが石でも投げたのかと思い目を向けると、そこに居たのはーー1匹のフクロウだった。
その足には手紙がついている。
それをフクロウは器用に口を使い俺に渡す。

 セリカ宛だろうか……。
そう思い宛名を見ると、俺とティナ宛になっている。

 その手紙を読み、俺は急いでギルドへと走った。

この手紙に書いてることが本当なら、それならティナはーー!

 ギルドの中はさっきまでの騒がしさは何処かに、しんと静まり返っていた。

「悠太、君。どうしてここに?」

「セリカ……これは、この手紙はどういうことだよ」

俺が問いかけると、セリカは気まずそうに俯いた。

「それは……その手紙は、真実だよ」

僅かな沈黙。それを破ったのは俺でもセリカでもなかった。

「なんの騒ぎだ。セリカ」

鍛えられた筋肉。どこから見ても間違えるわけない。

「ティナは、どこだ?」

そう、セリカはあの手紙は真実だと言った。

ーーあの、俺たち2人に届いた合格通知が。

 本来は喜ぶことだ。
でも、今回に限っては別だ。
こいつの、ギルスが最後に行った合格発表。
あれが嘘で、最後に呼び出されたティナが帰ってこない。

「ティナは、ここにはいない。」

「どういうことだ」

「ティナは、連れ去られた……」

連れ去られた……。
嘘をついているようには見えない。
なら、言葉通りの意味なのだろう。

「俺のせいだ。俺が気を抜いていたせいで」

言葉の途中でグラッと、そのその巨体が傾く。
それを、セリカ・・・が受け止めた。

「ダメだよギルス。まだ血も抜け切ってないんだから。絶対安静って言われたでしょ?」

血……?抜けきる?何の話だ?

「悠太君、中に入って。詳しく説明するから。ギルスはもう戻って」

「だが、今回のことは俺が!」

「足でまとい、って自分でわかるでしょ?」

セリカがギルスを睨む。
その視線は今までで見たことの無いものでどれほど緊急事態なのかを思い知らされる。

「入って、中に一位と二位が居るから指示に従って。本当は私も一緒にいたいんだけど、このバカがちゃんと部屋に戻りそうにないから、一緒に部屋に連れていく。本当は関わって欲しくないけど、補佐官に選ばれた以上関係ないとは言えない……」

セリカはそれだけ言い、ギルスに肩を貸しそのままこの場を立ち去る。

最後にこちらをちらっと振り向き、「気をつけて」とそれだけ残して今度は本当に姿を消してしまった。

 俺は意を決して、ノックを三回する。

「入れ」

中から男性のものらしき声が聞こえる。
俺は意を決して、ドアを開けた……。

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