俺が頼んだ能力は神達の中での普通じゃない!!
結果発表
 あのペーパー試験から、十分くらいがたった頃、再びギルスが姿を表した。
「待たせて悪かったな。では今から、選抜試験の合格発表をする。名を呼ばれた者は最後にここに残るように。それ以外の者は速やかに退場するように」
 ついにこの時が来た。
「では名を発表する……」
少しの間……。
そして、その名前は呼ばれた。
「ティナそれからミラージュ・イルミアお前ら二人だ」
 俺の名前は、呼ばれなかった。
まぁ、当然の結果だろう。
十分もかかっていない俺の試合で、実力が分かるはずがない。
冒険者試験に受かっただけで、目標は達成している。
欲を言えば選抜試験も受かりたかったがこの場合、ティナが受かっただけでも十分だ。
俺がティナの方をちらっと見ると目が合った。
この場合俺は悲しそうに振る舞えばいいのだろうか?
きっと、ティナのこの後に続く言葉は「ごめん」か「大丈夫?」のどちらかだろう。
空気が悪くならないうちに、俺が言葉を紡ごうとすると、ティナの口から思わぬセリフが出た。
「悠太……もう、帰ろ?」
この言葉に驚いたのは俺だ。
俺に哀れみの表情を見せるわけでもなく、同情しているわけでもない。
その顔はまるで、興味を失い、どこか落胆したかのような、おもちゃに飽きた子供みたいなそんな感じだ。
「悠太……?」
ティナが首を傾げる。
「ティナ、お前合格したんだぞ?最後残らなきゃだろ?」
 こういう場合は、名前が聞き取れてなかった。だとか、ドキドキして初めのギルスの話がよく覚えてない。だとかきっとそういうのだ。
しかし、俺がそう言ってもティナは驚くことも喜ぶこともなかった。
ただ一言
「うん。知ってる……」
だけだ。
「ならなんで帰るなんて……」
「?だって……二人で合格しなきゃ、意味無い……」
そういう事か。
俺と違ってティナは二人で合格することが目標だったのだ。
「でも、ティナはちゃんとここに残っておいたほうがいい。俺は、先に帰って、待ってる」
俺はそう言ってギルドを出る。
少し走って、見覚えのある『何でも屋』とかかれた店を見つけ、立ち止まると息を整わせた。
心臓がドクドクと早鐘をうっている。
あんな事を言われたのは、初めてだった。
あっちの世界にいた頃じゃ、考えられない。
何も無かったあっちの世界じゃ。
普通なら、二人のうちどっちかが試験に落ちれば、気まずくなるだろう。
その時になんて言うか。
「気にすることないよ」とか「ごめんね」とかあるいは沈黙が続くかもしれない。
じゃなかったら同情した「二人で一緒に合格したかったね」などだ。
なのに、ティナは「もう帰ろう」だ。
一人の合格じゃなくて二人の合格。それを純粋な心から言える人は何人いるだろうか?
誰かにそう言って欲しいと思ったことは無かったし、言われることもないと思っていた。
なのに、いざ言われてみると、心が暖かくなった。
そうなれたことに、俺はひどく安心した。
……自分が×××じゃなかったことに。
「待たせて悪かったな。では今から、選抜試験の合格発表をする。名を呼ばれた者は最後にここに残るように。それ以外の者は速やかに退場するように」
 ついにこの時が来た。
「では名を発表する……」
少しの間……。
そして、その名前は呼ばれた。
「ティナそれからミラージュ・イルミアお前ら二人だ」
 俺の名前は、呼ばれなかった。
まぁ、当然の結果だろう。
十分もかかっていない俺の試合で、実力が分かるはずがない。
冒険者試験に受かっただけで、目標は達成している。
欲を言えば選抜試験も受かりたかったがこの場合、ティナが受かっただけでも十分だ。
俺がティナの方をちらっと見ると目が合った。
この場合俺は悲しそうに振る舞えばいいのだろうか?
きっと、ティナのこの後に続く言葉は「ごめん」か「大丈夫?」のどちらかだろう。
空気が悪くならないうちに、俺が言葉を紡ごうとすると、ティナの口から思わぬセリフが出た。
「悠太……もう、帰ろ?」
この言葉に驚いたのは俺だ。
俺に哀れみの表情を見せるわけでもなく、同情しているわけでもない。
その顔はまるで、興味を失い、どこか落胆したかのような、おもちゃに飽きた子供みたいなそんな感じだ。
「悠太……?」
ティナが首を傾げる。
「ティナ、お前合格したんだぞ?最後残らなきゃだろ?」
 こういう場合は、名前が聞き取れてなかった。だとか、ドキドキして初めのギルスの話がよく覚えてない。だとかきっとそういうのだ。
しかし、俺がそう言ってもティナは驚くことも喜ぶこともなかった。
ただ一言
「うん。知ってる……」
だけだ。
「ならなんで帰るなんて……」
「?だって……二人で合格しなきゃ、意味無い……」
そういう事か。
俺と違ってティナは二人で合格することが目標だったのだ。
「でも、ティナはちゃんとここに残っておいたほうがいい。俺は、先に帰って、待ってる」
俺はそう言ってギルドを出る。
少し走って、見覚えのある『何でも屋』とかかれた店を見つけ、立ち止まると息を整わせた。
心臓がドクドクと早鐘をうっている。
あんな事を言われたのは、初めてだった。
あっちの世界にいた頃じゃ、考えられない。
何も無かったあっちの世界じゃ。
普通なら、二人のうちどっちかが試験に落ちれば、気まずくなるだろう。
その時になんて言うか。
「気にすることないよ」とか「ごめんね」とかあるいは沈黙が続くかもしれない。
じゃなかったら同情した「二人で一緒に合格したかったね」などだ。
なのに、ティナは「もう帰ろう」だ。
一人の合格じゃなくて二人の合格。それを純粋な心から言える人は何人いるだろうか?
誰かにそう言って欲しいと思ったことは無かったし、言われることもないと思っていた。
なのに、いざ言われてみると、心が暖かくなった。
そうなれたことに、俺はひどく安心した。
……自分が×××じゃなかったことに。
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